コラム 2021.07.23. 07:07

“おでこ直撃”が完封を呼び込む…?ヤクルトの3大「珍事件」をふりかえる

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体を張ったプレーで完封をアシストした雄平

体(おでこ)を張った完封アシスト


 プロ野球の長い歴史の中で起こった「珍事件」を球団別にご紹介していくこの企画。

 今回は、東京ヤクルトスワローズ編だ。




 ヤクルトといえば、野村克也監督時代から古田敦也に池山隆寛、広沢克己ら“キャラが立つ”選手が多かった印象がある。

 そして、21世紀になっても、その伝統はしっかり受け継がれている。

 今回は「結果オーライを呼んだ珍事件」と題し、過去20年間の中から、そんなヤクルトらしさが漂う代表的な珍プレーを集めてみた。



 本塁打性の大飛球をフェンスギリギリでジャンプ捕球を試みたが、打球がおでこにゴツンと直撃…。

 本来ならば失点をしてもおかしくない状況なのに、結果的にこの珍プレーが吉と出て、チームにまさかの完封勝利をもたらしたのが、2014年5月7日の広島戦だ。


 6-0とリードしたヤクルトは、先発の石川雅規が5回まで広島打線をわずか1安打に抑える好投。

 ところが6回、先頭の石原慶幸に死球を与えた後、二死から菊池涼介にライトへ大飛球を打たれてしまう。雄平が懸命に追いかけ、フェンス際でジャンプしたが、捕球に失敗。打球はスタンドに消えていった。


 本塁打と判定され、スコアボードに「2」が入ったが、その直後、雄平が「自分のこめかみに当たった」とアピール。

 ビデオ判定の結果、フェンスを直撃して跳ね返ってきたボールが雄平のこめかみに当たり、スタンドインしたことが判明。エンタイトル二塁打に訂正された。


 もし、跳ね返った打球が雄平に当たっていなければ…?

 ボールが外野を転々とする間に一塁走者の石原が生還していたはずで、エンタイトルになったのはヤクルトにとって最良の結果だった。

 そして、失点が記録されるのと、6-0の二死二・三塁からの再開では、石川のモチベーションに与える影響も雲泥の差だ。

 「ホームランじゃなくて、ラッキーと思った」とひと息ついた石川は、次打者・丸佳浩を遊ゴロに打ち取り、ピンチを無失点で切り抜ける。

 また、体(おでこ)を張ったプレーで石川をアシストした雄平は、9回二死一・二塁のピンチでも、梵英心の右翼線への飛球をスライディングキャッチ。石川に完封勝利をプレゼントした。

 投手から外野手に転向して5年目。かつての最速151キロドラ1左腕が、苦労の末、チームの中心選手に成長したことをアピールした試合でもあった。


世にも不思議な物語…


 打った本人もまったく想定していなかった“奇跡のサヨナラタイムリー”が飛び出したのが、2003年6月1日の中日戦だ。


 9回表、ファーストを守っていたトッド・ベッツの2つの悪送球で2-3と逆転されたヤクルトはその裏、二死からアレックス・ラミレスが敬遠四球で出塁。代打・小野公誠が左前安打で続いたあと、古田敦也も敬遠され、二死満塁となった。

 このチャンスで打席に立ったのが、8回に代打で送りバントを決め、サードの守備固めに入っていた城石憲之。

 直球一本に狙いを定めていた城石は、エディ・ギャラードの初球、142キロ直球に「しめた!」とバットを出しかけたが、「思ったより内側に来た」ことから、反射的に手首を返してバットを止めようとした。

 だが、それよりも早くボールがバットを直撃。「あっ!」と思ったときには、もう遅かった。


 ところが、ここから世にも不思議な物語が幕を開ける。

 「止めちゃったんですけど、芯に当たっちゃいました」(城石)

 快音を発した打球は三遊間を抜け、代走の三塁走者・野口祥順に続き、同じく代走の二塁走者・飯田哲也が逆転サヨナラのホームイン。

 安打で奇跡のお膳立てをした小野は「あり得ない。漫画だな」と目を白黒。古田にも「日頃の行いがええんだろう」と冷やかされたヒーローは「ええ、真面目な生活をしてますから」と胸を張った。


宮本慎也のイチかバチかの好走塁


 捕ゴロにもかかわらず、相手のもたつきに乗じて二塁から一気に決勝のホームを踏む好走塁を見せたのが、宮本慎也だ。


 2011年6月29日の巨人戦。4-4で迎えた6回一死、四球で出塁した宮本は送りバントで二進。

 次打者・相川亮二も四球を選んで一・二塁となったが、代打・宮出隆自はフルカウントから巨人バッテリーの間、やや三塁寄りにボテボテのゴロを転がした。

 通常なら投手が処理して一塁に送球すれば3アウトでチェンジになるところだが、宮出の打席で金刃憲人をリリーフしたばかりのマイケル(マイケル中村)は、この日がシーズン初登板とあって不慣れな連携プレーに戸惑い、対応が遅れてしまう。

 そこで、仕方なく捕手の阿部慎之助が捕りに行ったが、タイムロスが災いして一塁はセーフ。

 直後、本塁がガラ空き状態になった隙を見逃さず、いち早くスタートを切っていた二塁走者・宮本がイチかバチかで突っ込んだ。

 「咄嗟の判断です。ホームが空いたんで。頼むから(一塁に)投げてくれと思いました」の狙いは見事に当たり、ヤクルトは勝ち越し点を挙げた。


 小川淳司監督も「宮本の走塁は大きかった」と賛辞を贈った神走塁だったが、試合は5-4の7回に長野久義の右前安打をウラディミール・バレンティンが後逸するチョンボをきっかけに、同点に追いつかれてしまう。

 結局、延長10回の末に5-5の引き分け。勝利を呼んだかに見えた好走塁も、味方の拙守で帳消しになってしまった。


文=久保田龍雄(くぼた・たつお)

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