コラム 2021.07.24. 08:08

日本選手権でサヨナラ弾!JR四国・水野達稀はフルスイングが魅力の遊撃手

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JR四国・水野達稀選手 [写真提供=プロアマ野球研究所]

社会人野球・日本選手権で強烈なインパクト


 大阪ガスの連覇で幕を閉じた『社会人野球日本選手権』。

 全体的にロースコアのゲームが多く、事前の評判通り好投手が多い印象を受けたが、野手で最も強烈なインパクトを残した選手と言えば、JR四国の遊撃手・水野達稀になるだろう。




 持ち前のスピードとパンチ力を生かし、社会人では入社直後からショートのレギュラーに定着。1年目の都市対抗では、社会人を代表する投手である守安玲緒(三菱重工West/当時は三菱重工神戸・高砂)から本塁打も放っている。

 昨年の都市対抗にも、四国銀行の補強選手として出場。2回戦のパナソニック戦では決勝の適時二塁打を含む3安打の大活躍で、チームの準々決勝進出に大きく貢献。

 社会人球界を代表する内野手の一人として、この夏の日本選手権に臨んだ。



▼ 水野達稀(JR四国)
・21歳
・遊撃手
・170センチ/71キロ
・右投左打
・丸亀城西

<各塁へのベスト到達タイム>
・一塁到達:3.92秒
・二塁到達:7.69秒


今夏も発揮した大舞台での強さ


 丸亀城西高時代には、3年夏に「1番・遊撃」として香川大会で5割近い打率をマーク。甲子園出場に大きく貢献した。

 しかし、甲子園では初戦で日南学園(宮崎)に0-2で完封負け。水野自身も4打数無安打に終わっている。当時の取材ノートには、「守備のスピードは抜群だが、バットの動きに無駄が多く、高いレベルでのミート力は課題」という記述が残っている。


 それでも、社会人に進んでからは早くから主戦として活躍。上述した通りに大舞台でも存在感を発揮し、迎えた今年の日本選手権。ここでも水野は大きなインパクトを残す。

 相手の三菱重工West先発はドラフト上位候補と見られている森翔平だったが、第1打席でレフト前に先制の適時打を放つと、第3打席ではサードへの内野安打で出塁。この時の一塁到達タイムは3.92秒と、十分に俊足と言われる基準を満たす数字だった。

 そして最大の見せ場は、同点で迎えた9回の裏。マウンドには、ドラフト候補の八木彬が上がっていた。

 水野は八木が2球目に投じた高めの146キロ(※筆者のスピードガン計測)のストレートを完璧にとらえると、打球はライトスタンドへ飛び込むサヨナラ本塁打となった。


フルスイングが最大の長所


 都市対抗や日本選手権で一発を放っていることからも分かるように、大きな魅力となっているのは、小柄な上背からは想像がつかないパンチ力だ。

 高校3年夏の時点では169センチ・69キロ。今年の日本選手権では170センチ・71キロで登録されており、数字的にはわずかに増えた程度だが、見た目の体つきは明らかにたくましくなっている。高校卒3年目ながら、社会人の中でも引けをとるものではない。

 そして、前述したように、抜群のスピードがありながらも、決して当て逃げするようなスイングをすることなく、全身を使って常にフルスイングできるのが最大の長所である。

 ただし、高校時代のプレーでも触れたように、少しバットを引いて反動をつける動きが大きい点は気になるところ。より高いレベルのストレートや変化球に対応するためには、もう少し小さい動きでも強く打てるようになる必要はあるだろう。


 ショートの守備に関しても、プレーのスピードは素晴らしいものがあるが、ハンドリングとスローイングはともに少し軽率なところがあるのは課題である。

 それでも、フットワークの良さと地肩の強さはあるだけに、ここから鍛えていけばまだまだ上達する可能性は高いだろう。


 今年はどのカテゴリーも野手の有力候補が全体的に少ない印象で、そういう意味でも、今年で21歳と若く、スピードとパンチ力を備えた水野の存在は非常に貴重である。

 大舞台で圧倒的な結果を残せるというのもまた魅力で、今後の活躍次第では上位候補に浮上してくることも十分に考えられる。


☆記事提供:プロアマ野球研究所
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