ペナントレースは1週間後に再開
連日のメダルラッシュでコロナ禍のニッポンに明るい話題を届けてきた東京五輪も最終盤に入った。
関西スポーツ紙も、もちろん「超」が付く“五輪モード”。例年ならば1年365日、息をするほど当たり前に一面を飾るタイガースの記事もごくわずかだ。
それでも、グラウンド上では連日、後半戦に向けたエキシビションマッチが行われており、若手は必死にアピールを続けている。
京セラドーム大阪で行われた8月3日のオリックス戦。先発したものの5回を投げきれなかった藤浪晋太郎の後を受け、2番手で登板した浜地真澄は、与えられた1イニングを1安打・無失点に封じた。
翌日のスポニチ。女子フェザー級で入江聖奈が金メダルを獲得し、体操の新エース・橋本大輝が個人二冠を達成したことなどを大々的に伝えた紙面の中に、右腕に関する記事はなかった。ただ、それはあくまで紙面上での話。“0行”の扱いでも、本人にとっては大きな一歩になった。
後半戦の切り札となるか…?
「やってきたことは出せていると思いますし、その中で課題もしっかり見えてきているので、前には進んでいるのかなと思います」
これは登板後、球団広報を通じて配信されたコメントだ。
取材制限があり、これまでのように選手個々の現状の取り組みなどを聞くことや、把握することは叶わない。ただ、本人が口にした「前進」は、直球にあるのではないかと思う。
春先の本人の言葉を見返しても、「直球に重点を置いてやっている」と強調してきた。この日、球速は常時140キロ台の後半を維持。一死二塁で迎えた佐野如一には、4球すべて直球を投じて最後は151キロで見逃し三振。全17球のうち13球を直球が占める“パワーピッチ”で結果を残した。
「今日は変化球でカウントを取れなかったり、まっすぐも打たれた(=スティーブン・モヤの二塁打の)ボールは弱くなってしまったので、そこは修正ポイントとして投げていきたい」
反省を口にしながらも、裏を返せば痛打されたボールを除けば、直球に関しては一定の手応えを感じているのだろう。
長距離砲のT-岡田を詰まらせ、モヤも直球2球で追い込んでいた。その詰めの部分が一軍では命取りとなるが、成長過程の“現在地”は首脳陣へしっかりと示したように映った。
本来は先発型も、4月から二軍で中継ぎに配置転換。1イニング集中で平均球速はアップした。
開幕から一軍昇格の声はかからなかったものの、二軍でチーム最多の31試合に登板。地道に結果を積み重ね、この五輪ブレークでチャンスを得た。
浜地だけでなく、この期間に二軍から数選手が招集され、エキシビションマッチで登板機会を与えられている。
一戦一戦が生き残りをかけたマウンド…。激しいサバイバルを表すように、4日のオリックス戦で打ち込まれた小林慶祐と岩田稔が再調整となった。
5年目・23歳は少ないチャンスを大きなステップアップにつなげられるか。五輪ブレーク明けのチームの中で注目したい存在だ。
文=チャリコ遠藤(スポーツニッポン・タイガース担当)