コラム 2021.08.08. 07:07

192センチの“超大型右腕” 静岡・高須大雅、聖地での飛躍に期待

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静岡・高須大雅選手 [写真提供=プロアマ野球研究所]

初日に登場!静岡高のエース


 東京オリンピック野球競技・金メダルの余韻も冷めやらぬなか、真夏の野球イベントと言えば忘れてはならないのが“高校野球”だ。

 いよいよ8月9日(月)に開幕する『第103回全国高等学校野球選手権大会』。今季も朝から野球漬けの毎日がはじまる。




 出場校のドラフト候補を見ると、秋田大会で最速157キロをマークした風間球打(ノースアジア大明桜)を筆頭に、今年も楽しみな選手が多い。

 今回取り上げるのは、初日・8月9日に登場する静岡代表・静岡高のエース右腕。

 192センチの長身から繰り出されるボールを武器に、地方大会で抜群の安定感を見せたのが高須大雅だ。



▼ 高須大雅(静岡)
・投手
・192センチ/84キロ
・右投右打

<主な球種と球速帯>
ストレート:136~146キロ
カーブ:110~115キロ
スライダー:122~125キロ
チェンジアップ:115~120キロ


中日ドラゴンズジュニアとしても活躍


 県内で最多となる26回目の夏の甲子園出場を決めた静岡高校。そんな名門校で早くから高い期待を背負ってきたのが、エースの高須大雅だ。

 小学校6年の時には、中日ドラゴンズジュニアの一員として12球団ジュニアトーナメントにも出場。早くから注目を集めた右腕の投球を初めて見たのは、2019年8月25日に行われた静岡中部地区の秋季大会・静清戦だった。


 高須は当時1年生ながら、背番号1を背負って先発マウンドへ。4回まで投げて2失点で降板したものの、187センチ(※当時)の長身とボールの角度は評判になるだけのものを感じた。ちなみに、その時の取材ノートには「最速は134キロ」という数字が残っている。

 残念ながらその後はなかなかプレーを見る機会がなかったが、今年3月に県内のライバル・掛川西と練習試合を行うとの話を聞き、掛川西グラウンドに足を運んでみた。


超大型右腕に成長、そのピッチングは…?


 1年生の時に比べ、身長は192センチまで伸び、“超”のつく大型右腕に成長していた。そして、そんな大きな体ながらも、まず目につくのは器用さだ。

 この試合でも、先発で5回まで投げて与えた四死球は0。球数は67球と、常にストライク先行の安定したコントロールが光った。

 春先ということもあって、ストレートの最速は140キロとまだまだという数字だったが、リリースの感覚が良く、高い位置から腕を振り下ろすことから、長身がさらに生きているように見えた。

 特に左打者の外角に決まるストレートは、わずかにシュート回転することでより厳しいコースに決まり、打者にはかなり厄介なボールだった。


 また、変化球もしっかり腕を振って投げることができており、緩急をつけるカーブと斜めに変化するスライダーのどちらもしっかり低めに集めていた。

 これに加え、ストレートと同じ軌道で小さく沈むチェンジアップもブレーキがあり、どの球種でもフォームが変わらないという点も大きな武器である。

 上背と長いリーチの割に力強さはまだまだという印象も残るも、これだけの大型投手でありながら、コントロールと変化球のレベルが高いというのは得難い長所だ。

 ちなみに、この夏はストレートが常時140キロを超えるまでにアップ。最速は146キロをマークしている。


“開花状況”はまだ3~4割程度


 そして迎えた静岡大会。5試合に先発し、37回を無失点と完璧な内容のピッチングでチームを優勝に導いた。

 残念ながら、この夏の投球は映像でしか見ることができなかったが、体重移動にスピードが出て、腕の振りも力強さが増しているように見える。


 猛暑の中でも持ち味である制球が乱れることなく、5試合を0点に抑え込んだという安定感は見事。

 190センチを超えるような高校生の大型投手の場合、どのように投球にまとまりが出てくるかが課題となるが、高須の場合は既にまとまりと安定感を備えており、あとは筋力アップで出力を上げれば、自然と凄みが出てくる可能性は高いだろう。


 彼の持つ潜在能力を考えると、“開花状況”はまだ3割から4割程度という印象を受ける。ただ、夏の甲子園でのプレーがその成長を一気に加速させることも考えられる。

 全国の大舞台で、静岡大会で見せたようなピッチングに凄みが加わってくれば、高校からのプロ入りも十分に期待できるだろう。


☆記事提供:プロアマ野球研究所


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