夢の高校ジャパンを考える!
史上最多7度の順延で20日間に渡った『第103回全国高等学校野球選手権大会』もついに閉幕。
史上初の“智弁決戦”を制した智弁和歌山が21年ぶり3度目の夏の頂点に輝いた。
激闘の余韻も冷めやらぬ中ではあるが、本来であればこの後に“夏のつづき”があったはずだった。
アメリカ・フロリダ州で開催される『第30回WBSC U-18ワールドカップ』に侍ジャパンU-18代表が挑む予定だったのだが、コロナ禍の情勢を鑑みてチームの派遣が中止に…。昨年に続き、2年連続で高校日本代表の結成が見送られることとなった。
この夏は東京五輪で侍ジャパンが金メダルを獲得。しかし、実はU-18のカテゴリーにおいて、日本はいまだ世界の頂点に輝いたことがない。今年も楽しみな選手が揃っていただけに、世界に挑戦する球児たちを応援することができないのは残念だ。
そこで今回は、もしも日本がU-18・W杯に臨むとしたら、どんなメンバーになっていたかを“仮想”で選出してみよう!という企画に挑戦。
地方大会と甲子園でのプレーを参考に、「仮想・侍ジャパンU-18代表」を組んでみた。なお、チームの人数は過去に行われた国際大会を参考に20名とした。
▼ 仮想・侍ジャパンU-18代表
(※いずれも3年生)
<投手>
小園健太(市和歌山)
風間球打(明桜)
森木大智(高知)
深沢鳳介(専大松戸)
畔柳亨丞(中京大中京)
木村大成(北海)
秋山正雲(二松学舎大付)
石田隼都(東海大相模)
松浦慶斗(大阪桐蔭)
<捕手>
中川勇斗(京都国際)
松川虎生(市和歌山)
<内野手>
金子京介(盛岡大付)
小沢周平(健大高崎)
有薗直輝(千葉学芸)
大塚瑠晏(東海大相模)
粟飯原龍之介(東京学館)
<外野手>
皆川岳飛(前橋育英)
田村俊介(愛工大名電)
池田陵真(大阪桐蔭)
吉野創士(昌平)
先発は小園・風間・森木の豪華3本柱
投手は2019年の「侍ジャパンU-18代表」と同様に9人、左右のバランスも考えて選んだ。
先発を任せたいのは小園・風間・森木・松浦の4人。なかでも試合を作る能力という意味では、小園がNo.1となるだろう。コントロールと投球術はこの世代では頭一つ抜けている印象。チームでは完投を考えて少しセーブしながら投げることも多かったが、球数制限のある中では凄みが増した投球も期待できる。
風間と森木もスピードがクローズアップされることが多いが、実は変化球が一級品でスタミナも申し分ない。松浦はこの夏復調した姿を見せており、大型サウスポーらしからぬ安定感が光っている。
第2先発は深沢・木村・秋山の3人。深沢はサイド気味のスリークォーターから、両サイドを突くコントロールと緩急を使った攻めは安定感が抜群。また、走者を背負った場面からでも使いやすいのが強みだ。
一方、木村と秋山は春から夏にかけてスピードが向上。ストレートで打者を圧倒できるようになった。同じ左腕でも高低を上手く使う木村と、左右のコンビネーションが光る秋山とタイプが異なるのもチームの強みとなるだろう。
そして、セットアッパーは石田、抑えは畔柳に任せたい。
石田は左の強打者相手にも内外と高低を上手く使って攻めることができ、短いイニングであればストレートも140キロ台中盤までアップする。奪三振率の高さも魅力だ。
畔柳はやはりストレートの強さが光る。先発でもギアを上げた時のボールは圧倒的だけに、1イニングに限定すれば、さらに勢いを増すだろう。
野手陣の打順は…?
続いて、野手陣は以下を想定打順として考えた。
1.(右)池田陵真 [大阪桐蔭]
2.(二)小沢周平 [健大高崎]
3.(三)有薗直輝 [千葉学芸]
4.(指)田村俊介 [愛工大名電]
5.(一)金子京介 [盛岡大付]
6.(中)皆川岳飛 [前橋育英]
7.(左)吉野創士 [昌平]
8.(捕)中川勇斗 [京都国際] or 松川虎生 [市和歌山]
9.(遊)粟飯原龍之介 [東京学館] or 大塚瑠晏 [東海大相模]
捕手は守備型の中川と打撃型の松川の2人体制に。
中川は小柄だがキャッチャーらしいキャッチャー。キャッチングをはじめ、ブロッキングやスローイングといった全てが高いレベルにある。また、夏の甲子園でも一発を放っているように、パンチ力があるのも魅力だ。
一方の松川は中軸を任せられる打力がウリ。守備は少し雑な面も見られるが、地肩の強さに加えてフットワークの良さが光る。
つづいて内野手。2019年のチームでは、本職ショートの選手ばかりを集めたチーム編成に一部で批判が出ていたので、今回の仮想ジャパンではあくまでそのポジションの本職を選んだ。
ファーストの金子は長打力と確実性を備えた右の大砲。セカンドの小沢も上背はないが、長打力とスピードが光る。
また、サードの有薗は打撃に注目が集まっているが、守備も一級品で安心して任せられる。ショートは捕手と同様に守備型の大塚と、打撃型の粟飯原を選んだ。この2人は他のポジションのバックアップ要員にもなる。
外野は左右の強打者を2人ずつ選出。守備力を考え、田村はDHに回すこととした。
4人ともスタンドまで軽々と運ぶ長打力があるが、池田は下級生の頃の経験も生かしてトップバッターでの起用に。吉野は確実性を考えず、下位打線でのびのびと長打を狙ってもらいたい。また、皆川と田村は緊急時に投手として起用できるのも大きな魅力である。
このようにメンバーを選出してみると、佐々木朗希(現ロッテ)・奥川恭伸(現ヤクルト)・宮城大弥(現オリックス)らが揃った2年前のチームと比べても、見劣りがしない顔ぶれが揃っている。
このチームで世界の強豪と戦うことができないのは誠に残念だが、次のステージで彼らが“日本代表”として活躍する姿を楽しみにしたい。
☆記事提供:プロアマ野球研究所