10連戦負けなしで乗り切ったヤクルトが一歩リードの優勝争い
セ・リーグの優勝争いも佳境に入ってきた。
8月までは阪神と巨人の一騎打ちだったが、そこからヤクルトが猛チャージ。9月17日から続いた10連戦を7勝3分と負けなしで乗り切るなどして、9月終了時点で1位ヤクルト、1ゲーム差の2位に阪神。そして、巨人が首位ヤクルトまで5ゲーム差の3位となっている。
それこそまさに、3チームともに本当に負けられない試合が続くわけだが、残りの直接対決での勝利は、優勝のために欠かせない要素となる。
まずは、残りの直接対決の日程の確認から。
<10月5〜7日>
ヤクルト - 巨人(神宮)
<10月8〜10日>
ヤクルト - 阪神(神宮)
<10月12〜14日>
巨人 - 阪神(東京D)
<10月15日>
ヤクルト - 巨人(神宮)
<10月19〜20日>
阪神 - ヤクルト(甲子園)
<10月23日>
巨人 - ヤクルト(東京D)
<10月24日>
ヤクルト - 巨人(神宮)
ヤクルト対阪神のカードが残り5試合、ヤクルト対巨人は残り6試合、そして阪神対巨人が残り3試合となっている。その直接対決で好結果を残している選手をここでは取り上げてみたい。
対上位チーム相手でも打ちまくる若き4番・村上宗隆
ここでは、今季の対戦成績が打率3割超え(30打数以上)、防御率2点台以下(10イニング以上)の選手たちにスポットをあてたい。
■ ヤクルト
▼ 対阪神
<野手>
・塩見泰隆 打率.304(46-14)0本塁打 5打点
・村上宗隆 打率.306(72-22)6本塁打 16打点
・サンタナ 打率.340(47-16)1本塁打 12打点
<投手>
・スアレス 防御率1.80(2試合10イニング)0勝0敗 11奪三振
・今野龍太 防御率0.00(10試合12 1/3イニング)0勝0敗 13奪三振
・奥川恭伸 防御率2.16(4試合25イニング)1勝1敗 24奪三振
▼ 対巨人
<野手>
・塩見泰隆 打率.324(71-23)3本塁打 13打点
・村上宗隆 打率.356(73-26)8本塁打 22打点
<投手>
・奥川恭伸 防御率2.77(2試合13イニング)2勝0敗 12奪三振
対阪神、対巨人ともに若き4番・村上宗隆と、今季ブレイクした塩見泰隆が名を連ねた。投手陣では、勝ち星こそなかったものの阪神戦におけるスアレスの健闘が光り、今野龍太は防御率0.00と完璧に抑え込んでいる。
そして、今季8勝を挙げ、後半戦からはエース級の働きをしている奥川恭伸も、対巨人戦での防御率は2.77で2戦2勝。対阪神戦は4試合に投げて防御率は2.16。7月以降の対戦成績に限定すれば、防御率0.64とほぼ完璧に抑え込んでいる。
■ 阪神
▼ 対ヤクルト
<野手>
近本光司 打率.349(86-30)1本塁打 4打点
大山悠輔 打率.323(62-20)3本塁打 13打点
マルテ 打率.338(65-22)6本塁打 15打点
<投手>
ガンケル 防御率1.80(4試合25イニング)2勝0敗 24奪三振
▼ 対巨人
<野手>
該当者なし
<投手>
該当者なし
今季打撃好調の近本光司は対ヤクルト戦でも打率3割超えを果たしているが、特筆すべきは打った相手投手だろう。小川泰弘との対戦成績は12打数5安打で打率.417。そして、今季からヤクルトへ移籍してきた田口麗斗には16打数10安打で打率.625だ。
そして、現在の打率が.252とシーズンを通じて低迷気味の大山悠輔も、ヤクルトが相手になると奮起。セットアッパー・清水昇と相性がよく、4打数2安打1本塁打。清水との対戦で印象深いのは、7月8日の試合。1点ビハインドで迎えた8回に清水のストレートをとらえ、勝ち越し3ランを放ち、チームの勝利に貢献。印象深い一打だった。
他にも、マルテとガンケルの両外国人選手もヤクルト相手に好結果を残していたが、対巨人では該当者なしだった。
巨人首脳陣は、故障から復帰予定の梶谷隆幸に期待か
最後に、自力優勝が消滅しリーグ3連覇に黄色信号が灯った巨人の選手たちを見ていく。
■ 巨人
▼ 対ヤクルト
<野手>
・ウィーラー 打率.450(60-27)2本塁打 9打点
・丸佳浩 打率.339(59-20)5本塁打 13打点
・岡本和真 打率.314(70-22)9本塁打 26打点
・梶谷隆幸 打率.300(40-12)1本塁打 4打点
<投手>
・菅野智之 防御率0.00(2試合12イニング)1勝0敗
▼ 対阪神
<野手>
・坂本勇人 打率.364(66-24)5本塁打 8打点
・吉川尚輝 打率.327(52-17)2本塁打 7打点
・梶谷隆幸 打率.316(38-12)1本塁打 4打点
・松原聖弥 打率.300(70-21)3本塁打 8打点
<投手>
・高橋優貴 防御率1.45(5試合31イニング)4勝0敗
・中川皓太 防御率0.00(11試合11イニング)0勝0敗
投手、野手ともにヤクルトと阪神を得意としている選手が多い。なかでも目立つのは、ヤクルト戦で打率4割台を記録するウィーラーと、9本塁打を叩き込んでいる岡本和真。阪神戦では、坂本勇人が打率.364と打ちまくっている。
両チームとの対戦成績が打率3割を超える梶谷隆幸の復帰も、首脳陣からすると待ち遠しいのではないか。怪我によるリハビリ、調整を重ねてきたが、ここにきて一軍昇格間近だという報道もある。
投手陣に目を向けると、最多勝争いを演じている高橋優貴が阪神戦で4勝を挙げ、防御率は1.45とまさにキラーぶりを発揮。首位ヤクルト相手では、エース・菅野智之が防御率0.00とまったく打たれていない。
現在のゲーム差を考えると逆転優勝はかなり難しくなっている巨人だが、ヤクルトとの6試合、阪神との3試合と、上位チームとの直接対戦は9試合残されている。幸い、相手チームを得意としている選手も多く、直接対決で叩くことができれば、優勝の可能性もゼロとはいえないだろう。
文=福嶌弘(ふくしま・ひろし)