コラム 2021.11.28. 08:08

「第二のラオウ」が出てくるかも…?ドラフトで指名を受けた“遅咲きスラッガー”に注目

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トヨタ自動車・中村健人選手 [写真提供=プロアマ野球研究所]

“ラオウ”の活躍がドラフトにも影響?


 今年のプロ野球を振り返った時、最も驚きの活躍を見せた選手と言えば、この選手の名前を思い浮かべる方も多いのではないだろうか。

 オリックスを25年ぶりのパ・リーグ制覇に導いた主砲・杉本裕太郎、プロ6年目の30歳である。




 徳島商高から青山学院大、社会人のJR西日本を経て、2015年のドラフト10位でプロ入りした和製大砲。

 昨年までの5年間はアマチュア時代からの課題であった“打撃の確実性”という部分が改善されず、一軍に定着できない時間が続いていたが、30歳を迎えた今季は134試合に出場して打率.301をマーク。32本塁打で本塁打王にも輝くなど、大ブレイクを果たしている。

 190センチ・104キロという日本人離れした体格から、漫画「北斗の拳」のキャラクターにちなんだ“ラオウ”のニックネームと、本塁打を放った後に見せる「昇天ポーズ」は、もうすっかりお馴染み。ラオウの活躍なくして、チームの優勝と日本シリーズ進出はなかったと言っても過言ではないだろう。



 そして、杉本の大ブレイクは今年のドラフト会議にも大きな影響を与えたように思う。

 このあと詳しく取り上げる広島のドラフト3位・中村健人(トヨタ自動車/24歳・外野手)と、同じく広島6位の末包昇大(大阪ガス/25歳・外野手)、そして日本ハムに育成ドラフト2位で指名された速水隆成(群馬ダイヤモンドペガサス/24歳・捕手)。共通点は「24歳を過ぎたスラッガー」ということだ。

 広島は今オフに不動の4番・鈴木誠也がメジャーに移籍する可能性が高く、スラッガータイプの選手が補強ポイントだったというチーム事情もあるが、杉本裕太郎という遅咲きの大砲の成功例が後押しとなったことは想像に難くない。

 そこで今回は、そんな次世代の“ラオウ候補”と言える3人について、アマチュア時代のプレーぶりとプロでブレイクするためのポイントを探ってみたい。


中村健人の魅力は“飛距離”


 まずは、3人の中で最も高い「3位」という順位で指名されたのが中村から。

 中京大中京高では、3年夏に「3番・中堅」として甲子園に出場。慶応大では3年秋のシーズンに5本塁打を放ってベストナインにも輝くも、4年時に成績を落としたためドラフト指名は見送られ、社会人の強豪・トヨタ自動車に進んだ。

 社会人1年目はなかなか打撃が安定せず、目立った活躍を見せることはできなかったが、2年目の今年は層の厚いチームで4番に定着。10月1日に行われた都市対抗野球予選のJR東海戦では、試合を決める満塁本塁打を放ってみせ、チームの本大会出場にも大きく貢献している。

 大学時代からとらえた時の打球の飛距離は目を見張るものがあり、高い弾道で遠くへ飛ばせるのは大きな魅力。ただし、その一方で体勢を崩されるようなスイングになることが多く、長打にできるゾーンも狭い。

 脚力と強肩を兼ね備えていることが高評価に繋がったと推測されるが、即戦力と呼ぶには打撃の確実性に不安が残るというのが正直な印象だ。まさに今季の杉本のように、「いかにヒットゾーンを広げられるか」がポイントとなるだろう。


末包昇大は驚異的な“打球速度”を記録


 その中村と来季からチームメイトになるのが末包だ。

 東洋大では4年間のリーグ戦通算安打がわずか6本だったが、その恵まれた体格とパワーが評価されて大阪ガスに入社。25歳となる今年になってようやく本格化してきたという遅咲きの選手である。

 末包の名前が一躍注目を集めたのが、7月に行われた日本選手権でのこと。全5試合に4番として出場すると、打率.450の大活躍でチームの優勝に大きく貢献。自身も打撃賞のタイトルを獲得した。

 また、大会後に行われた社会人日本代表候補合宿では、参加した56人の野手の中でトップとなる171.3キロという打球速度をマークしている。これはプロでもトップクラスの数字だ。

 身長188センチ・体重110キロという日本人離れした体格を誇り、右方向へも長打を放つことができる。打撃スタイルが杉本に最も近いのは末包と言えるだろう。

 その一方で、内角の速いボールへの対応にはまだ課題が残り、守備と走塁に関しては中村より見劣りしている。一日でも早くプロのボールに対応して、いち早く結果を残せるかが重要になりそうだ。


BCリーグで頭抜けた打力を発揮した速水隆成


 速水は上述した2人とは違い、桐生第一高からルートインBCリーグの群馬ダイヤモンドペガサスに入団。そこから6年かかってNPB入りを果たした苦労人である。

 3年目の2018年から4年連続で打率3割と2ケタ本塁打を記録しているように、その打力はBCリーグの中でも頭抜けた存在である。相手投手のレベルという点では社会人よりも落ちるとはいえ、4年続けて安定した成績を残してきたことは評価できる。

 少し気になる点としては、外国人選手のような打撃スタイルであること。スイングする時に右肩が下がることが多く、内角高めの速いボールへの対応は不安が残る。

 また、捕手の守備はプロで目立つレベルではなく、他のポジションも守れるかという点も重要になってくるだろう。


 杉本もなかなか一軍に定着することができなかったように、今回紹介した3人もプロ入り当初は苦労する可能性は高いように見える。ただ、“ひょっとして”と思わせるだけの打撃を持っていたからこそ指名されたというのは間違いない。

 杉本が作った流れを絶やさないためにも、彼らがプロで大ブレイクする日が来ることを期待したい。


☆記事提供:プロアマ野球研究所



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