コラム 2022.01.10. 17:15

中日・岩嵜翔も続けるか…?「人的補償」として移籍先で活躍した選手たち

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入団記者会見後、写真撮影に応じる中日・岩嵜翔 (C) Kyodo News

「人的補償ではなくトレード」という声も


 1月6日、ソフトバンクにFA移籍した又吉克樹の人的補償として中日入りした岩嵜翔が入団会見を行い、「シーズンが終わったときに立浪(和義)監督を胴上げできるようにチームに貢献したい」と活躍を誓った。

 近年は右肘のケガの影響もあって成績を落としている岩嵜だが、2017年にはセットアッパーとしてリーグ最多の72試合に登板し、46ホールドポイントを挙げて最優秀中継ぎ投手のタイトルを獲得。ソフトバンクのリーグ優勝、日本一に大きく貢献するなど過去の実績は十分だ。また、2021年には48試合に登板し、一時はクローザーを任されて6セーブを挙げるなど復活の兆しも見せている。

 もちろん又吉の実力は疑うまでもないが、岩嵜が残してきた実績から、ファンのあいだからは「人的補償ではなく実質的なトレード」「岩嵜が又吉より活躍する可能性もある」といった声も聞かれる。

 実際、過去には人的補償として移籍した選手が想定以上の大活躍をした例もある。その代表格として多くのファンが思い浮かべるのは、巨人へFA移籍した大竹寛の人的補償として広島入りした一岡竜司だろう。そんな例を探るべく、直近10年において人的補償となった選手の移籍1年目成績を振り返ってみる。


【直近10年人的補償選手の移籍1年目成績】

▼ 2012年
・藤井秀悟(巨人 → DeNA)
16試 84回 7勝7敗 40振 防3.75

・高口隆行(ロッテ → 巨人)
4試 打率.167(6-1) 0本 0点 0盗

▼ 2013年
・高宮和也(オリックス → 阪神)
1試 1回 0勝0敗 1振 防27.00

・馬原孝浩(ソフトバンク → オリックス)
3試 3回 0勝0敗1H 4振 防0.00

▼ 2014年
・一岡竜司(巨人 → 広島)
31試 31回 2勝0敗2S16H 27振 防0.58

・藤岡好明(ソフトバンク → 日本ハム)
9試 12回 1勝0敗2H 8振 防5.25

・鶴岡一成(DeNA → 阪神)
77試 打率.221(154-34) 0本 12点 0盗

・脇谷亮太(巨人 → 西武)
96試 打率.263(205-54) 2本 20点 4盗

・中郷大樹(ロッテ → 西武)
14試 22回1/3 1勝0敗1H 7振 防6.45

▼ 2015年
・奥村展征(巨人 → ヤクルト)
一軍出場なし

▼ 2017年
・金田和之(阪神 → オリックス)
34試 39回 4勝1敗2H 34振 防4.15

・平良拳太郎(巨人 → DeNA)
4試 14回 1勝3敗 6振 防7.07

▼ 2018年
・尾仲祐哉(DeNA → 阪神)
12試 11回2/3 0勝1敗 14振 防3.86

・高木勇人(巨人 → 西武)
8試 19回2/3 1勝2敗 10振 防8.69

▼ 2019年
・内海哲也(巨人 → 西武)
一軍出場なし

・竹安大知(阪神 → オリックス)
10試 54回 3勝2敗 37振 防4.50

・長野久義(巨人 → 広島)
72試 打率.250(180-45) 5本 20点 0盗

▼ 2020年
・酒居知史(ロッテ → 楽天)
46試 44回1/3 3勝2敗12H 34振 防3.65

・小野郁(楽天 → ロッテ)
40試 39回 2勝2敗4H 32振 防3.23

▼ 2021年
・田中俊太(巨人 → DeNA)
58試 打率.146(48-7) 0本 8点 0盗


数字以上に貢献するベテランも


 10年間でFA移籍選手の人的補償となった選手は計20人。こうして振り返ってみると、やはり一岡の成績が抜きん出ている。巨人時代は2シーズンでわずか13試合の登板だった一岡が、移籍1年目にいきなり31試合に登板し防御率は0.58。プロ初セーブ、初ホールドを挙げるなど勝ちパターンの一角として躍動し、のちの広島のリーグ3連覇にも大きく貢献した。

 近年の投手でいうと、美馬学(ロッテ)の人的補償として楽天入りした酒井知史の活躍が光る。ロッテ時代も社会人出身の即戦力としてプロ1年目から先発に中継ぎにと奮闘していた酒居だが、楽天に移っても1年目からチーム2位の46試合に登板するなどフル回転。移籍2年目の2021年シーズンはチームトップ、リーグ2位の28ホールドを挙げるなど楽天に欠かせない投手となった。

 野手に目を向けると、丸佳浩(巨人)のFA移籍に伴い、一岡と同じように巨人から広島入りした長野久義も人的補償として移籍した選手の成功例といえるだろう。もちろん、ベテランとなった長野が広島での3年間で残した数字は、首位打者や最多安打のタイトルを獲得した巨人時代と比ぶべくもないものだ。

 しかし、「気配りの男」として知られる長野の場合、その存在意義は残している数字だけではない。その人柄から多くの若手から慕われている他、英語やスペイン語を使って外国人選手とも積極的にコミュニケーションを図りチームに一体感をもたらすこともできる。その存在感は、巨人における丸のそれに劣らぬものだろう。

 果たして岩嵜は新天地・中日でどんな姿を見せてくれるだろうか。投手有利のバンテリンドームナゴヤで存分に活躍してくれることを、中日ファンはもちろんソフトバンクファンも願っているはずだ。


文=清家茂樹(せいけ・しげき)

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