過去同様にチャンスあるか
コロナ禍で各球団が対応に追われるなか、2月1日からいよいよ春季キャンプがスタートした。新人選手では、4球団競合の末に西武に入団した隅田知一郎(西日本工大)や、中日のブライト健太(上武大)など、ドラフト1位ルーキー5人が一軍メンバーに名を連ね、プロ野球界の一員として本格始動した。
楽天では、安田悠馬(愛知大)、松井友飛(金沢学院大)、西垣雅矢(早稲田大)、吉川雄大(JFE西日本)の新人4人が一軍スタートを勝ち取った。
なかでもドラフト2位の安田は、学生時代から「ゴジラ」の愛称で呼ばれるなど、強打の捕手として名を売った選手なだけに、打てる捕手としての活躍に期待がかかる。
楽天の捕手事情を見ると、昨シーズンは太田光(107試合)、炭谷銀仁朗(51試合)、田中貴也(31試合)、下妻貴寛(16試合)、足立祐一(10試合)の5人が一軍出場した。太田がメインで起用されたが「正捕手」として固定されているわけではなく、下妻と足立は昨季限りで戦力外通告を受け退団。手薄になった現状を考えれば、ドラ2ルーキーの安田が正捕手争いに加わるチャンスは十分にあるだろう。
高校生と大学生・社会人の分離ドラフトが終わった2008年以降で、楽天は岡島豪郎(白鴎大/2011年4位)、足立(パナソニック/2015年6位)、太田(大阪商大/2018年2位)と、大学生もしくは社会人出身の捕手を3人指名している。即戦力候補だった3人は、いずれも1年目から一軍で40試合以上に出場した。
捕手という経験値が求められる難しいポジションではあるが、これまでの捕手起用の傾向からすると、この春から入団した大卒の安田にも一定の出場機会が与えられる可能性は十分に考えられる。
捕手の打力不足解消に期待
昨シーズン、捕手としてチーム内最多出場の太田は打率.188とバットが振るわず、OPS.517は12球団のチーム内最多出場捕手の中で最下位の数字だった。
太田は1年目から打率.219(96-21)、打率.200(130-26)、打率.188(240-45)と打率は右肩下がりで、打撃面はかなり苦しんでいる印象。2番手の炭谷も巨人時代の2019年こそ打率.262(126-33)とまずまずだったが、2020年は打率.180(100-18)、昨シーズンは打率.209(153-32)という結果に終わった。
守れて打てる捕手がレギュラーを張るに越したことはないが、近年のプロ野球では複数人の捕手を併用するケースも散見され、捕手に打撃面で多くを求めることは減ってきたようにも思える。とはいえ、他の11球団で最も打席に立っている捕手のなかに打率2割を下回っている選手はひとりもいない。坂倉将吾(広島)や森友哉(西武)のように打率3割を超える打撃ができなくとも、メイン捕手として起用されているならば最低でも打率2割など、ある程度の打撃貢献も期待したいところだろう。
安田は大学2年時から愛知大学野球連盟の二部リーグで過ごしてきたこともあり、全国舞台での経験はない。それでもドラフト2位で指名されたのは、185センチ・105キロの強靭な肉体から生まれるパワーを買われてのこと。
まずは、春季キャンプの一軍スタートを勝ち取った。ここからはじまる実戦で持ち前の打撃をアピールし、開幕一軍入りなるか。今春はロマンあふれる楽天の大型捕手に注目だ。
【2021年シーズン12球団の最多打席数の捕手】
※打率順
※捕手出場3試合のソフトバンク・栗原陵矢は除く
▼ 規定打席到達
広島 坂倉将吾[484打席]
打率.315(422-133)OPS.857
西武 森友哉[520打席]
打率.309(431-133)OPS.889
ヤクルト 中村悠平[445打席]
打率.279(377-105)OPS.718
ソフトバンク 甲斐拓也[479打席]
打率.227(405-92)OPS.658
阪神 梅野隆太郎[458打席]
打率.225(404-91)OPS.603
▼ 規定打席未到達
中日 木下拓哉[393打席]
打率.270(352-95)OPS.748
ロッテ 田村龍弘[165打席]
打率.235(136-32)OPS.618
巨人 大城卓三[386打席]
打率.231(347-80)OPS.660
オリックス 伏見寅威[262打席]
打率.218(238-52)OPS.592
DeNA 伊藤光[192打席]
打率.213(160-34)OPS.582
日本ハム 清水優心[256打席]
打率.206(214-44)OPS.584
楽天 太田光[281打席]
打率.188(240-45)OPS.515