悔しさをバネに飛躍なるか
今年は3月18日(金)に開幕する『第94回選抜高校野球大会』。
1月28日には選考委員会が開かれ、春の大舞台に出場する32校が決まった。
出場校と同時に発表されるのが「補欠校」。
惜しくも聖地行きの切符を掴むことができなかったチームにも、プロ注目の逸材は少なくない。
今回は補欠校の20チームの中から、注目してもらいたい選手をピックアップした。
「北海道No.1左腕」東海大札幌・門別啓人
まず投手では門別啓人(東海大札幌)、北村流音(桐生第一)、吉村優聖歩(明徳義塾)の3人の名前が挙がる。
なかでも、秋の時点で最もプロ入りの可能性が高く感じられたのが門別だ。
秋の北海道大会では、準々決勝の白樺学園戦で12奪三振を記録する四死球0の1失点完投。準決勝では優勝したクラーク国際打線につかまり、6回を投げて4失点で負け投手となったものの、ストレートの最速は145キロをマーク。ポテンシャルの高さを十分に見せつけた。
身長182センチ・体重85キロという恵まれた体格を誇り、力みなく速いボールを投げられるのが大きな長所。指先の感覚が良く、高校生の本格派サウスポーにありがちなコントロールの不安も感じられない。
2年秋の時点では、同じサウスポーで昨年の北海道を代表する投手だった木村大成(北海→ソフトバンク3位)と比べても、全く遜色ない印象を受ける。
大学の系列校で進学する選手が多いチームではあるが、実力的に高校からのプロ入りも狙える素材と言えるだろう。
「将来性トップクラス」桐生第一・北村流音
北村は関東でも指折りの本格派右腕。夏の群馬大会・伊勢崎清明戦ではリリーフで4回をパーフェクト、6奪三振の好投を見せ、この時点で既に最速145キロをマークしている。
秋の関東大会では準々決勝で浦和学院に敗れたものの、初戦の土浦日大戦では3回1/3を投げて無失点、4奪三振の好リリーフでチームを勝利に導いた。
体つきはまだ細いものの、全身を使った伸びやかなフォームで躍動感も申し分ない。体が大きくなればまだまだスピードアップしそうな雰囲気があり、将来性の高さは全国でもトップクラスだ。
「変則サウスポー」明徳義塾・吉村優聖歩
吉村は昨年夏の甲子園で好投したサウスポー。ストレートは130キロ台前半が多いものの、クロスにステップするフォームで独特の角度があり、右打者にも左打者にも内角を厳しく突くことができる。
四国大会では準決勝で鳴門に延長11回の末に敗れたとはいえ、2試合・19回を1人で投げ抜き、さすがの安定感を見せた。
ボールの威力は課題だが、貴重な制球力の高い変則サウスポーだけに高く評価する球団もあるだろう。
「投打ともにプロ注目」近江・山田陽翔
投手でもう1人忘れてはならないのが、山田陽翔(近江)だ。
夏の甲子園では全5試合に先発。最速146キロのストレートと鋭く落ちるスプリットを武器に、30イニングで31奪三振を記録した。
秋は右肘の故障で登板を回避したが、旧チームから中軸を任されているバッティングについても注目度は高い。
投手・野手どちらで評価するかは球団によって判断が分かれそうだが、注目度の高さはレベルの高い近畿でも屈指だ。
このほかの投手では、海星の宮原明弥、向井恵理登の両右腕も将来が楽しみな存在である。
野手の注目候補は…?
野手では、葛西凛(八戸工大一/捕手)や川崎広翔(日大三/捕手)、盛島稜大(興南/捕手)、宇地原丈智(岡山学芸館/遊撃手)、三塚琉生(桐生第一/外野手)、武井京太郎(東海大相模/外野手)などが面白い。
捕手のスローイングでは、川崎の評判が高い。体はそれほど大きくないが、フォームが良く安定した球筋が光る。
一方の盛島は、強打が魅力の大型捕手。打席での雰囲気は十分で、無駄な動きが小さく振り出しの鋭さが光る。秋の九州大会初戦では先制の適時打と貴重な追加点となる本塁打を放ち、4番としての役割をしっかりと果たした。葛西もまた、「4番・捕手」としてチームを牽引する存在だ。
ショートで注目される選手は宇地原だ。中学時代から評判の選手で、旧チームから中軸を任されており、攻守ともに形の良さが目立つ。体の力がついてくれば、一気にドラフト戦線に急浮上することも考えられる。
外野手の三塚と武井は、長打力と脚力を備えており、秋の関東大会では高いバッティング技術を見せていた。
今回、紹介した選手のなかでは吉村と山田が甲子園を経験しているが、それ以外の選手は夏が聖地へのラストチャンスとなる。
あと一歩でセンバツ出場を逃した悔しさをバネに、スケールアップしたプレーを見せてくれることを期待したい。
☆記事提供:プロアマ野球研究所