復活期待の元守護神
3年連続Bクラスに低迷している広島は、宮崎県日南市で春季キャンプをスタートさせた。昨年は移動を少なくすることや宿舎の確保が難しかったこともあり、一軍キャンプは全期間を沖縄で実施した。そのため、一軍が日南の地でキャンプを張るのは2年ぶりとなる。
第1クール2日目にはフリー打撃がはじまり、高橋昂也、玉村昇悟、森浦大輔といった若手投手たちが続々と登板。そして3日目には中﨑翔太がマウンドに上がった。キャンプ序盤で調整中ということもあり本調子とはいかないまでも、小園海斗ら若手野手に対し、まずまずの投球を見せている。
通算115セーブを誇る中﨑は、リーグ連覇の途絶えた2019年から36試合(防御率4.08)、6試合(防御率9.00)、4試合(防御率13.50)と3年連続で登板機会が減少し、成績も右肩下がり。2019年オフには右膝の手術、2020年9月には右後上腕回旋動脈瘤切除の手術を受けた影響もあり、近年は苦しいシーズンが続いている。
昨シーズンの広島は、中継ぎ陣で苦しんだ。9回の栗林良吏は固定できたものの、勝ちパターンの一角である7回、8回は手探り状態。チーム合計96ホールドはセ・リーグ5位で、チーム内での最多ホールドは森浦の17ホールド。調べてみると、セ・リーグで20ホールドに届いた投手がひとりもいなかったのは広島だけである。リードしている場面で、信頼して送り出せる投手がいなかったということを物語る数字だ。
3連覇を支えた盟友たちが退団
現時点でも状況は変わっていない。栗林が9回を任されることは間違いないが、僅差の試合終盤での勝ちパターンは決まっていないと見ていいだろう。
塹江敦哉、島内颯太郎、ケムナ誠、森浦、フランスア、コルニエルら有力候補の名前は多数挙がるが、明確な序列が決まるのはこれから。オープン戦の結果次第では、中﨑が重要なイニングを任されることも当然あるだろう。
今シーズンは、昨シーズンと異なり延長12回制になることが濃厚だ。長いペナントレースを勝ち抜くためには、昨年以上に中継ぎ投手陣の層の厚さが重要なポイントになってくる。通算115セーブ、66ホールドの実績がある中﨑が完全復活すれば、チームにとって大きなプラスとなるはずだ。
3連覇を支えた勝ちパターンの主力投手を見ると、今村猛は昨シーズン限りで現役を引退し、ジャクソンもすでにチームを去った。戦力としてはもちろんだが、3連覇を支えた経験を若い投手たちに伝えることも、中﨑に求められる役割になってくる。
中﨑は今年8月で30歳の節目を迎えるが、まだまだ老け込む年齢ではなく、故障が癒えれば完全復活も十分にあり得る。元守護神の2022年シーズンに期待したい。