守護神が新型コロナの影響で出遅れ
球団史上初となる「日本一2連覇」を目指すヤクルトは、例年通りに一軍は沖縄県浦添市、二軍は宮崎県西都市で春季キャンプスケジュールをこなしている。
西都では、オフに新型コロナウイルスの陽性判定を受けた村上宗隆と高橋奎二が2月5日から加わっており、遅れを取り戻すべく練習メニューを消化している。浦添には、来日後の隔離期間を経たホセ・オスナが2月8日に合流。初日から打撃練習で快音を響かせており役者が徐々に揃ってきた印象だ。
そのなかで心配されるのが、守護神のスコット・マクガフだ。日本シリーズの胴上げ投手にもなったマクガフは既に来日しているものの、入国者待機期間中に新型コロナウイルス陽性判定を受け、チームへの合流が遅れている。
開幕までまだ時間があるとはいえ、この時期にブルペンでの投げ込みすら行っていないのは大きな不安材料となる。
マクガフがベストコンディションで開幕に間に合わないとなると、勝ちパターンの再編成に追われる必要が出てくる。そこで守護神の最有力候補となるのは、通算85セーブを挙げているかつての抑え投手、石山泰稚だろう。
返り咲きなら節目の記録も視野に
昨シーズンの石山は守護神として開幕を迎えるも打ち込まれる場面が目立ち、中継ぎへの配置転換を経て6月下旬にはファーム降格。登録を抹消された時点では29試合の登板で防御率は5.40。この数字では守護神はもちろん、勝ちパターンの一角を担うのも難しかった。
しかし、シーズン終盤は完全復活。9月以降は21試合の登板で失点を喫したのは2試合しかなく、防御率は0.89と抜群の安定感を誇った。優勝争いをするなか信頼を取り戻した右腕は、試合の流れを左右する重要局面で登板することも多く、最終的には58試合の登板で防御率3.60と持ち直した。
そんな石山の課題はシーズンを通して一軍で投げ抜くことだろう。2018年シーズン途中から守護神となった石山は、同年に35セーブをマーク。チームでは2005年の石井弘寿(現一軍投手コーチ)以来、13年ぶりとなる日本人投手による30セーブ超えを記録した。
しかし、翌年の2019年はインフルエンザやコンディション不良で戦線離脱しており、フル稼働した短縮シーズンを挟んだ昨季は前述のとおり不振で登録抹消。1年間離脱なく戦うことはもちろん、守護神返り咲きへの想いも胸に、春季キャンプを送っているに違いない。
石山が再び9回のマウンドを任されることになれば、高津臣吾(286セーブ)、林昌勇(128セーブ)に続く球団史上3人目の通算100セーブが視界に入ってくる。開幕戦まで残り6週間。今シーズン9回のマウンドに上がるのは石山か、それともマクガフか…。ブルペン運営に定評ある高津監督ら首脳陣の判断に注目したい。