“高速化”傾向にある現在のプロ野球
2月19日、日本ハムとの練習試合に先発したロッテ・佐々木朗希が、自己最速タイとなる球速163キロをマークした。
小雨が降るあいにくのコンディションながら、初回、日本ハムの3番・細川凌平への5球目に163キロを計測。2回にも6番・野村佑希への初球が163キロを記録するなど、2イニングで投じた26球のうち16球が160キロ台だった。
佐々木朗の球速が163キロに達したのは、大船渡高3年時に参加した高校日本代表候補による研修合宿における紅白戦以来のこと。中日のスカウトが計測したこのときの記録はもちろん、今回の記録も非公式のものだ。
当然ながら投手の武器は球速だけではない。
ただ、やはり「球が速い」というのは投手にとってあきらかな武器であり、観戦するファンにとっては大きな魅力として映る。
しかも、近年の日本人投手の球速は上がっている傾向にあり、その球速ランキングの上位に佐々木朗が名を連ねる日もそう遠くないかもしれない。
ここで、日本人投手におけるNPB歴代球速ランキングを見てみる。
【日本人投手NPB歴代球速ランキング】
1位 165キロ 大谷翔平(日本ハム)2016年10月16日
2位 162キロ 藤浪晋太郎(阪神)2020年10月19日
3位 161キロ 由規(ヤクルト)2010年8月26日
3位 161キロ 千賀滉大(ソフトバンク)2019年3月29日
3位 161キロ 国吉佑樹(DeNA)2019年4月6日
4位 160キロ 平良海馬(西武)2020年7月19日
4位 160キロ 杉山一樹(ソフトバンク)2021年5月11日
大舞台で史上最速を記録したスーパースター
かつては伊良部秀輝(ロッテ)や五十嵐亮太(ヤクルト)が当時の日本記録である158キロを出したことが大きな話題となった時代もあったが、2010年代後半からは158キロや159キロは珍しいものではなくなり、160キロを超える球速をマークする日本人投手が続々と登場している。
なかでもファンに印象深い投手というと、やはりNPB日本人投手最速である165キロを記録した大谷翔平(当時日本ハム/現MLBエンゼルス)だろう。その球速はもちろんだが、165キロをマークした場面がまた印象深い。
2016年10月16日、ソフトバンクと行われたCSファイナルステージ第5戦。大谷は指名打者として先発出場しながら、3点リードの9回にクローザーとして登板した。
すると、先頭・松田宣浩への初球でいきなり163キロを記録し、3球目には164キロをマーク。そして、続く吉村裕基への初球がついに165キロに到達。その後も本多雄一に対して165キロを2度も記録するなど、圧巻の投球でチームを日本シリーズ進出へと導いた。
プロ3年目を迎えた今季の佐々木朗には、いよいよシーズンを通じてローテーション投手としてチームを支えるような働きも期待されるだろう。
だが、それだけでなく、大谷らに次ぐ160キロ超投手となれるか、あるいは大谷を超える記録を残すようなこともあるのかという点も大きな注目を集めるシーズンになりそうだ。
文=清家茂樹(せいけ・しげき)