2年目の時点で活躍している選手も多い世代
3月に入り、プロ野球も実戦が増加。この週末も各地でオープン戦が開催された。
6日の試合では奥川恭伸(ヤクルト)や宮城大弥(オリックス)、森下暢仁(広島)といったプロ3年目を迎える投手たちが揃って先発。奥川は4回を1失点、森下は4回まで無安打ピッチの5回1失点、宮城も2回で1失点とはいえ被安打は1と、それぞれが開幕に向けて順調な仕上がりぶりを見せている。
また、前日には同じく2019年ドラフト組である佐々木朗希(ロッテ)も登場。ソフトバンクとの試合で自己最速タイとなる163キロをマークするなど、160キロ超えの速球を連発。5回を投げて被安打2、無失点の圧巻投球を披露した。
ここまで名前を挙げた選手たちは全員いわゆる“ドラフト同期”であり、かつドラフト1位で入団したという共通項もある。森下はプロ1年目にセ・リーグ新人王に輝き、宮城も2年目の昨季パ・リーグ新人王を受賞した。奥川と佐々木もポストシーズンで先発を任されるなど、今季はシーズン通して主力としての活躍に期待がかかっている。
3年目のシーズンを前にしてこれだけの活躍選手が出ているというのも末恐ろしいことだが、「2019年ドラフト1位組」の逸材は彼らだけではない。そこで今回は、あらためて2019年のドラフト会議で1位指名を受けた選手と成績を振り返ってみたい。
▼ 2019年・ドラフト1位指名選手と昨季成績
・奥川恭伸(ヤクルト)
18試(105回) 9勝4敗 奪三振91 防御率3.26
・西 純矢(阪神)
2試(8回) 1勝1敗 奪三振2 防御率3.38
・堀田賢慎(巨人)
※一軍出場なし
・森下暢仁(広島)
24試(163.1回) 8勝7敗 奪三振132 防御率2.98
・石川昂弥(中日)
※一軍出場なし
・森 敬斗(DeNA)
44試 率.194(103-20) 本0 点5 盗4
・宮城大弥(オリックス)
23試(147回) 13勝4敗 奪三振131 防御率2.51
・佐々木朗希(ロッテ)
11試(63.1回) 3勝2敗 奪三振68 防御率2.27
・小深田大翔(楽天)
121試 率.248(391-97) 本3 点21 盗5
・佐藤直樹(ソフトバンク)
25試 打率.000(9-0) 本0 点0 盗1
・河野竜生(日本ハム)
40試(90.1回) 3勝6敗9ホールド 奪三振68 防御率2.99
・宮川 哲(西武)
29試(24.2回) 1勝2敗6ホールド 奪三振30 防御率6.57
「伝説のドラフト」になる予感…?
プロ1年目の途中から遊撃のレギュラーを張った小深田大翔や、昨季は中継ぎを中心に40試合に登板して防御率2.99の成績を残した河野竜生は、すでにチームの主力と言っていいだろう。
河野も5日に行われた巨人とのオープン戦に先発しており、5回二死まで無安打投球を続けるなど好投。今季は再び開幕ローテーション入りが期待される。
一方で残念なのは、森敬斗が2日に行われた広島とのオープン戦で負傷。開幕戦の出場が絶望視される状況となってしまったことだ。機動力に課題があるDeNAにとって、俊足の森にかかる期待は大きい。
また、昨季はケガの影響もあって一軍出場はなかったものの、長打力が大きな課題である中日は、右の大砲候補として石川昂弥の台頭を待ち望んでいる。
また、堀田賢慎は1年目の4月に右肘のトミー・ジョン手術を受けたことが発表され、育成契約となっている。
しかし、2日の西武とのオープン戦に先発すると、3回を1安打・無失点の好投で堂々の本拠地・東京ドームデビュー。トミー・ジョン手術からの実戦復帰には一般的に12~16カ月かかると言われることを思えば、今季が本当の力を見せてくれるシーズンになるかもしれない。
森下・宮城・奥川・佐々木…。冒頭で取り上げたところだけでも十分に魅力的なメンバーだが、他の顔ぶれや今後に対する期待値を考えてみると、ここからが“本領発揮”という感もある。
「伝説のドラフト」…。2019年ドラフト1位組がこう呼ばれる日が来るのも、そう遠くないかもしれない。
文=清家茂樹(せいけ・しげき)