相変わらずの勝負強さで健在アピール
昨シーズン、パ・リーグの打点王に輝いた楽天・島内宏明が順調な仕上がりを見せている。
3月17日終了時点でオープン戦9試合(先発7試合)に出場し、7試合で安打を放ち打率.391(23-9)を記録。得点圏打率は.364と勝負強さも健在で4打点をマークしており、いますぐに開幕してもいいような状態だ。
今年の楽天は外野陣の競争が熾烈になった。昨シーズンの盗塁王であり、島内と同じ左翼が本職の西川遥輝が日本ハムから加入。ここまでのオープン戦では9試合の出場で打率.455(22-10)、出塁率.571とリードオフマンとして文句ない成績を残している。
新外国人のマルモレホスもMLBでは両翼での出場が多かった選手だ。その他にも、小郷裕哉、和田恋、内野手登録の小深田大翔らも外野での出場でアピールを続けており、誰が開幕オーダーに名を連ねるのかわからない状態だ。
そのなかで島内は、スタメン出場した7試合すべてで4番として起用され、守備では本職の左翼だけでなく、2019年以降は守っていない右翼での出場もあった。石井一久監督も、打線を組む上での最適解を模索すべく「右翼・島内」を試したのだろう。
長打力のある浅村栄斗や新外国人選手との兼ね合いもあり、打順は昨シーズンチーム最多となる101試合で任された「4番」ではないかもしれない。それでも、ここまでの起用法を見る限り、島内が今年も打線の主軸を担うことは間違いなさそうだ。
新戦力も“球団史上初”を後押しか?
押しも押されもせぬ主力選手として、島内は2年連続の打点王を目指すことになる。
だが、楽天の過去のタイトルホルダーを調べてみると、同一の打撃タイトルを複数年連続で獲得した選手はひとりもいないどころか、年度を空けて複数回獲得した選手もいない。複数個の打撃タイトルを獲得しているのも、2007年に本塁打と打点の二冠王に輝いた山崎武司だけだ。
三冠に輝いた岩隈久志、田中将大、5年連続で奪三振王に輝いた則本昂大といったタイトルホルダーを誇る投手と比べると、やはり個人タイトルになかなか届かない打者陣の歴史は寂しいものがある。
楽天がNPBに新規参入した2005年以降で見ても、他11球団からは同一タイトルを複数回獲得している野手が少なくとも1人は誕生しており、球団創設18年目を迎える楽天も、そろそろタイトル常連という主力選手の台頭を期待したいところだろう。
今年の楽天は、リードオフマンとして球界屈指の実績と能力を持つ西川が加入したことで、上位打線がより強力になった。その後ろで構えるであろう島内が昨年同様の勝負強さで打点を稼ぐことができれば、チームの勝利への貢献はもちろん、打点王のタイトルも見えてくる。
球団史上初の2年連続となる打点王獲得へ――。今年は新打線で輝く島内の打棒に注目だ。
<楽天の打撃タイトル獲得者>
※◎は現役
・首位打者
リック(2008年)
鉄平(2009年)
・本塁打王
山崎武司(2007年)
浅村栄斗(2020年)◎
・打点王
山崎武司(2007年)
島内宏明(2021年)◎
・盗塁王
聖澤諒(2012年)
・最多安打
獲得者なし
・最高出塁率
獲得者なし