コラム 2022.03.24. 06:44

スカウト陣も熱視線…秋の神宮王者・大阪桐蔭の「打てる捕手」松尾汐恩

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大阪桐蔭・松尾汐恩選手 [写真提供=プロアマ野球研究所]

1回戦最後の試合で登場!


 『第94回選抜高校野球大会』が3月19日に開幕。ドラフト戦線という意味では、主要カテゴリーで最初に行われる全国規模の大会だ。

 ドラフト候補となる新3年生には、今年からプロの世界で戦う小園健太(市和歌山→DeNA1位)や達孝太(天理→日本ハム1位)、松川虎生(市和歌山→ロッテ1位)のような有力な1位候補は不在という印象だが、それでも今大会での活躍次第で浮上する可能性を秘めた好素材がいる。




 今回は大会6日目の第1試合、1回戦最後の戦いで鳴門(徳島)と対決する大阪桐蔭(大阪)から、この世代屈指の“打てる捕手”を取り上げたい。

 秋の近畿大会を制し、明治神宮大会で初優勝を飾った高校球界屈指の名門。今年も能力の高い選手が多い印象だが、中でも攻守の中心選手として注目を浴びているのが松尾汐恩(まつお・しおん)だ。

 もともとは内野手ながら、強肩とフットワークの良さを買われて捕手に転向したのは高1の秋のこと。昨年のセンバツは試合途中からの出場だったが、夏には正捕手の座を掴み、甲子園でも2回戦の近江戦でセンターへの見事な本塁打を放っている。



▼ 松尾汐恩(大阪桐蔭)
・捕手
・178センチ/75キロ 
・右投右打

<秋季近畿大会/明治神宮大会成績>
7試 率.500(26-13) 本2 点6
打席31 二塁打3 三塁打0 四死球5
出塁率.581 長打率.846 OPS1.427

<イニング間のセカンド送球タイム>
1.88秒

<各塁へのベスト到達タイム>
一塁到達:4.48秒


守でもアピールを


 夏の甲子園を終えて、新チームでは「3番・捕手」が定位置に。そんな松尾が改めて能力の高さを見せつけたのが、秋の明治神宮大会だった。

 初戦の敦賀気比戦と準決勝の九州国際大付戦ではともに2安打を放つと、決勝の広陵戦では2本の本塁打を含む4安打・4打点の大活躍。チームの優勝に大きく貢献した。


 バッティングでとにかく目立つのが「リストの強さ」である。

 テイクバックでバットを引く動きが少し大きいのは気になるものの、トップの形が安定しており、振り出しも鋭いためあらゆるコースに対応することができる。

 捕手としてはそれほど立派な体格というわけではないが、体の回転が鋭く、遠くにボールを飛ばす能力も素晴らしい。特に神宮大会決勝で放った2本目の本塁打はいずれも内角高めの難しいボールをさばいたもので、並のバッターであれば詰まるか、芯でとらえてもファウルになるケースが多かっただろう。


 守りでも、2.0秒を切れば強肩とされるイニング間のセカンド送球タイムで常時1.8秒台をマークするなど、スローイングの速さは申し分ない。前述したように元々は内野手で、フットワークに素晴らしいものがあり、バント処理などの出足の鋭さも目立つ。

 一方で、課題となるのがキャッチング、ブロッキングと送球の正確性だ。秋は膝を痛めていた影響だろうか、ワンバウンドや横に逸れるボールに対して反応が遅くなり、簡単に後逸してしまうシーンが目立っていた。

 捕手に転向してわずか1年ということを考えれば、仕方がない部分も当然あるが、キャッチャーとしてより高いレベルを目指すためには、守備面のレベルアップはやはり必要になりそうだ。


 ただし、それでも高校生捕手としては、攻守ともに高いレベルにあり、特に“打てる捕手”というのは大きな魅力である。

 守備面でも成長した部分をアピールできれば、より上の順位でのプロ入りの可能性がぐっと高くなることは間違いない。


☆記事提供:プロアマ野球研究所
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