コラム 2022.03.28. 17:30

野手新人王なら球団16年ぶり!広島・末包昇大が開幕カードで大暴れ

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広島・末包昇大 (C) Kyodo News

球団64年ぶりの「開幕戦猛打賞」


 開幕3連勝を飾った広島の打撃陣が好調だ。

 まだ3試合を終えたばかりだが、チーム打率.357と28得点はリーグどころか12球団トップ。今のところは、鈴木誠也の抜けた穴を感じさせない充実ぶりを見せている。




 個人成績を見ても、昨季の打率ランキングで2位に入った坂倉将吾が打率.500(14-7)とロケットスタート。また、中堅と三塁でスタメン出場した上本崇司も打率.500(12-6)とヒットが止まらない。その両選手に続くのが、ドラフト6位ルーキーの末包昇大である。

 オープン戦の初戦から4番として起用されていたことからも、主砲が抜けた打線の迫力不足を埋める存在として、その期待の大きさがよく分かるだろう。しかし、オープン戦では初戦で一発を放つもその後が続かず、8試合終了時点で打率.129(31-4)とプロのボールに苦戦を強いられる。

 9試合目からは松山竜平が復帰したこともあって打順が下がるも、打率.226(31-7)と大きな上昇はなく、オープン戦通算の打率は.177(62-11)というもの。本塁打も1本だけだった。



 しかし、迎えた開幕戦。初打席でいきなり適時打を放つと、2打席目と4打席目にも安打を放っていきなりの1試合3安打。広島の新人が開幕戦で“猛打賞”を記録したのは、1958年の古葉毅(後に竹識)と森永勝治以来で64年ぶりの快挙だった。

 勢いのままに、2試合目・3試合目にも安打をマーク。3試合で打率.455(11-5)と開幕カードで爆発した。


野手の新人王は2006年が最後


 直近10年で4人がルーキーイヤーに新人王を受賞している広島。その数は12球団最多である。

 しかし、その4人と言うのは栗林良吏(2021年)、森下暢仁(2020年)、大瀬良大地(2014年)、野村祐輔(2012年)となっており、いずれも投手だった。


 一方の野手では、梵英心が2006年に1年目で新人王を受賞。ところが、それ以降の受賞はなく、規定打席に到達したルーキーも梵以降はひとりもいない。規定打席の75%以上の打席に立った選手で見ても、田中広輔(333打席/2014年)ひとりだけだった。

 現在の大卒もしくは社会人出身の主力選手というと菊池涼介(234打席/2012年)や西川龍馬(58打席/2016年)、松山竜平(2打席/2008年)がいるが、彼らも1年目からレギュラーを獲得したわけではない。


 広島は伝統的に高卒の選手を育て上げるのがうまいという印象がある球団だ。

 鈴木や丸佳浩(現・巨人)もそうだが、昨季も小園海斗や坂倉将吾、林晃汰ら高卒出身の若手が一軍での出番を掴み取った。そのなかで、社会人出身でプロ1年目からレギュラーの座を掴もうとしている新星が現れたのはチームにとっても喜ばしいことだ。

 もちろん、プロの世界は甘くない。相手の研究も日に日に進み、この好調をキープするのは簡単なことではないだろう。それでも、梵以来となる野手による規定打席到達、新人王獲得に向けてどこまで突き進むことができるか。まずは好スタートを切った末包昇大の今後の歩みに注目したい。



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