オープン戦で3試合・10回無失点の好投
開幕カードを2勝1敗と勝ち越し、神宮で昨季王者のヤクルトに連勝。2年ぶりの優勝を目指す巨人が上々のスタートを切った。
開幕戦はオープン戦でやや不安な一面を見せた菅野智之が6回2失点と仕事を果たし、球団史上最多記録となる開幕戦の5勝目をゲット。その後もプロ初勝利とはならなかったが、大卒2年目の山﨑伊織とドラフト3位ルーキーの赤星優志が先発として好投。キャンプからピリッとしなかった戸郷翔征も今季初戦で7回2失点と結果を残すなど、課題とされた先発陣が奮闘を見せているのは頼もしい限りだろう。
そんな中、31日の試合で先発マウンドを託されるのが高卒3年目の右腕・堀田賢慎だ。
青森山田高から2019年のドラフト1位で入団。将来のエース候補として期待を受けながら、プロ1年目の春に肘の違和感からトミー・ジョン手術を受けてルーキーイヤーは全休に。リハビリに時間を要するため、1年目のオフには自由契約となり、育成選手として再契約を結んだ。
それでも、今年の春はキャンプ一軍スタートを掴むと、実戦で猛アピールに成功。3月11日には支配下選手として再登録を受け、オープン戦でも3試合の登板で10回を無失点と好投。実力で開幕ローテーションの座を掴み取った。
勝てば球団16年ぶりの記録に…?
31日のヤクルト戦が記念すべきプロ初登板・初先発となる20歳右腕。もしプロ初勝利を挙げることができれば、巨人の高卒ドラフト1位の投手としては2006年の真田裕貴(姫路工高→2001年1位)以来で16年ぶりのことになる。
巨人の高卒ドラフト1位入団の投手と言うと、平成以降では堀田が5人目。過去の4人は谷口功一(天理高→1991年1位)、真田裕貴(姫路工高→2001年1位)に辻内崇伸(大阪桐蔭高→2005年[高]1位)、松本竜也(英明高→2011年1位)となる。
過去の4人を振り返ってみると、辻内と松本は一軍登板がないまま現役を引退。谷口は2年目に3試合に登板するも未勝利に終わり、その後はトレードで西武と近鉄を渡り歩いたが、西武では登板がなく、近鉄でも4試合の登板で白星を挙げることはできなかった。
一方、真田は1年目から6勝をマークするなど、巨人に在籍した7年間(2002~2007、2012)で91試合に登板して12勝を記録した。
その他、横浜やヤクルト、台湾でもプレー。NPBでは計312試合の登板で通算24勝を記録している。
巨人の高卒ドラフト1位入団投手による白星を調べてみると、2006年に真田と桑田真澄(PL学園高→1985年1位)が記録したものが最後。厳密に言えば、2006年7月27日に真田が挙げた勝利が最後だ。
それから16年。高卒投手をドラフト1位で指名すること自体が少なかったとはいえ、これほど白星から遠ざかっているというのは驚きである。
巨人もかつては槙原寛己(大府高→1981年1位)や斎藤雅樹(市川口高→1982年1位)、そして桑田といった高卒ドラフト1位からエース格に育った選手が多くいた。
期待される堀田はトミー・ジョン手術明けのシーズンということで、中6日での起用はないかもしれない。まだ若く先がある投手だけに、球数制限やイニング制限なども考えられ、年間を通してローテーションというイメージで見ていくのは酷か。
それでも、実力で掴み取った「開幕ローテーション入り」は、本人にとってこのうえない自信となるはず。大先輩たちのような球界を代表する投手になるためにも、まずはプロ初勝利を。そこから階段を一歩ずつ登っていきたいところだ。