チームも守護神も好発進
開幕戦の完封負けをはねのけて3連勝。オープン戦優勝の楽天がシーズンでも好スタートを切った。
2013年以来、9年ぶりのリーグ制覇へ。キープレイヤーの一人となるのが、守護神の松井裕樹だろう。
オープン戦では6試合・6イニングを投げて1安打・無失点というほぼ完ぺきな投球を披露。万全な状態で9年目の開幕を迎えた。
公式戦最初のマウンドは、開幕2戦目・3月27日のロッテ戦。同点で迎えた10回表にマウンドに登ると、2イニングを投げて被安打2も失点は許さず。11回裏のサヨナラ勝ちを呼び込んだ。
移動日を挟んで、29日にはオリックスとの3連戦初戦に登板。1点リードの9回裏を打者3人でピシャリと抑え、今季初セーブをマークしている。
ファンが危惧する“隔年の法則”
昨季は抑えに戻って43試合で24セーブ、防御率は0.63という好成績。良い流れのまま、今年も出だしは順調と言って良いだろう。
ところが、この好調ぶりがフルシーズン続くのかどうか……。懐疑的な見方もある。なぜなら、松井が現役でも屈指の“隔年選手”だからだ。
松井裕樹の年度別成績を見てみよう。
【松井裕樹・年度別成績】
2014年:27試(116.0回) 4勝8敗 防3.80
2015年:63試(72.1回) 3勝2敗33セーブ 防0.87
2016年:58試(62.1回) 1勝4敗30セーブ 防3.32
2017年:52試(52.2回) 3勝3敗33セーブ 防1.20
2018年:53試(66.2回) 5勝8敗5セーブ 防3.65
2019年:68試(69.2回) 2勝8敗38セーブ 防1.94
2020年:25試(68.0回) 4勝5敗2セーブ 防3.18
2021年:43試(43.0回) 0勝2敗24セーブ 防0.63
プロ入り2年目に守護神に抜擢された松井。これがズバリ的中し、いきなり33セーブをマークすると、これまで166個のセーブを積み重ねてきた。
こうして年度別の成績を追っていくと、上述した“懸念点”が浮かび上がる。奇数年と偶数年の成績が大きく異なっているのだ。
ジンクスを払拭して自身初の優勝を
防御率を見ると、奇数年は0点台か1点台。一方で、偶数年はすべて3点台となっている。
間の2点台も一度もなく、好調と不調の波が1年ごとに来ていることがよく分かるだろう。
ただし、不調の年といっても防御率3点台に抑えているのが松井のすごいところ。
この“隔年ぶり”が続くのであれば、偶数年の今季の苦戦は免れない、ということになる。
一方、これまで活躍した年はフル回転で働いていることが多く、その反動から翌年に調子を崩すというパターンが多かった。
そんな中で昨季は登板数・イニング数ともに自己最少。過去の偶数年ほどの疲労はないはずだ。
自身初のリーグ優勝を味わうためにも、「偶数年は活躍できない」という嫌なジンクスを覆したい。
背番号1にとって、勝負の年となりそうだ。
文=八木遊(やぎ・ゆう)