MLB屈指の強打者に引けを取らない数字
打率.354・4本塁打・13打点──。
これはカブスの鈴木誠也が開幕からの16試合で叩き出した打撃3部門の数字だ。
メジャー全体の順位を付け加えると、打率から順に「8位タイ」「10位タイ」「7位タイ」とすべてトップ10圏内。
さらに、出塁率と長打率を足して求めるOPSに至っては1.180で、堂々のメジャー1位である。
開幕から1カ月も経たずにカブスファンを虜にしたといわれる鈴木。そのスゴさは「O-Swing %」と「Barrel %」いう2つの指標を見ても明らかだ。
前者は「Outside the Zone Swing Percentage」の略で、ボールゾーンに投じられた投球に手を出した(スイングした)割合のこと。つまり、打者の「選球眼」を測るうえで有効な指標の一つといえる。
広島時代から球界屈指の選球眼を持つと評価されていた鈴木だが、今季ここまでのO-Swing %は「14.0%」。これは規定打席に達している両リーグの182打者中、2位である。
メジャー平均が31.2%なので、ルーキーの鈴木がいかにメジャーの投手に適応できているかが分かるだろう。
もう一つの「Barrel %」は、「バレル率」として日本のメジャーファンにもおなじみの指標だろう。
「バレル率」のバレルとは、長打が出やすいとされる打球の速度と角度を組み合わせた打球のこと。これを全打球で割ったものが「バレル率」である。
鈴木の今季のバレル率は「21.2%」。全打球33本のうち7本を「バレルゾーン」と呼ばれる速度と角度で記録している。実は、この指標もメジャー全体で2位にランクインしている。
ちなみにバレル率1位はヤンキースの主砲アーロン・ジャッジで26.2%。3位がジャンカルロ・スタントン(ヤンキース)の21.1%で、4位はサルバドール・ペレス(ロイヤルズ)の20.5%。5位がホセ・アブレイユ(ホワイトソックス)の18.4%と続く。
トップ5にランクインした選手は、いずれもメジャーを代表するパワーヒッターで、毎年のように本塁打王候補に名前が挙がる面々だ。開幕からまだ日は浅いとはいえ、鈴木はそんなメジャーを代表する怪力男たちと比較される対象になっているのだ。
まだシーズンは始まったばかりだが、鈴木なら3割・30本塁打も十分射程圏に入るだろう。
これまでイチローや松井秀喜、大谷翔平といった偉大な日本人打者ですら達成していない同一シーズン内の「3割・30本塁打」という偉業。
“メジャー2位”の選球眼とバレル率をもってすれば、1年目からあっさり達成してしまうかもしれない。
※数字は全て現地24日終了時点。
※「O-Swing %」は『Fangraphs』、「Barrel %」は『baseballsavant.mlb.com』を参照。
文=八木遊(やぎ・ゆう)