1試合あたりの得点・本塁打数が大きく向上
近年長い低迷期に入っている中日が、立浪和義新監督のもとで変貌を遂げている。
4月24日の巨人戦。3回の巨人の攻撃が終わった時点で1-6と大きなリードを許していた。昨季までであれば、多くの巨人ファンがこの時点で勝利を確信していたことだろう。
しかし、終わってみれば5点差をはね返した中日が7-6で大逆転勝利を収めた。
今季の中日の総得点83は巨人と広島に次ぐリーグ3位の数字。昨季はシーズン通じての総得点が405点で、リーグトップだったヤクルトの625点はおろか、リーグ5位だった阪神の541点からも大きく離されたワーストの数字であった。
しかも、ここまでDeNA以外の4球団と比べて消化した試合数が2~4試合少ないことを考えれば、今季の中日の得点力は昨季までと比べて大幅に上がっていることは間違いない。もちろん、これは数字にも表れている。
昨季の中日は総得点405で、本塁打数もリーグ5位だった阪神の121本を大きく下回る69本に終わっている。1試合あたりにすると、それぞれ「2.83得点」に「0.48本塁打」となる。
ところが、今季はまだ22試合時点での数字にはなるが、1試合あたりの得点と本塁打は「3.77得点」と「0.73本塁打」。数字が改善されているのだ。
点を取れさえすれば勝てる
近年の中日と言えば、広い本拠地・バンテリンドームを武器にした投手中心の“守りの野球”に定評があるチームだった。
その一方で、得点力には大きな課題があると方々で指摘されていた。得点を競うスポーツである野球において、点を取れなければ勝てないというのは必然である。
しかし、見方を変えてみよう。投手力と守備力に長けた中日が点も取れるようになったら…?低迷の打破、上位進出がぐっと近づくことは明白だ。
そして、その得点力不足という大きな課題を託されたのが「ミスター・ドラゴンズ」こと立浪監督であり、現役時代に球界を代表する強打者として名を馳せた中村紀洋、森野将彦の両打撃コーチである。
中日ファンであっても、立浪政権1年目からいきなり結果が出ると期待したファンというのはそう多くなかったかもしれない。しかし、ここまでの戦いぶりを見て期待に胸を膨らませるファンの数は増えたはずだ。
新・恐竜打線を武器にBクラス脱出、そして優勝へ……。好スタートを切った立浪ドラゴンズの今後から目が離せない。
文=清家茂樹(せいけ・しげき)