早くもチームに欠かせない投手に
昨オフにFA権を行使してソフトバンクに移籍した又吉克樹が「さすが」の投球を続けている。
5月8日のロッテ戦でも4点リードの8回からマウンドに登ると、2番・菅野剛士からはじまる中軸を3人斬り。これで開幕からの連続無失点が「17試合」に伸びた。
今季はここまで17回と1/3を投げ、1勝0敗10ホールドで1セーブ。防御率は0.00と安定感抜群の投球を披露している。
1投球回あたりに許した走者の数を示す「WHIP」も、一般的に素晴らしいとされる1を大きく切る0.63。内容も見事としか言いようがない。
また、10ホールドも平良海馬(西武)とジェシー・ビドル(オリックス)と並ぶリーグトップタイ。ソフトバンクという日本球界随一の選手層を誇るチームの中で、すでにブルペンに欠かせない投手の一人となっている。
リーグが変わってもタフネスぶりは健在
今季のソフトバンクはここにきて6連勝と波に乗ってきたが、万全の状態とは言いがたい。
現在は復帰しているものの、開幕後まもなく柳田悠岐が左肩を負傷して戦線離脱。栗原陵矢も3月30日に行われたロッテ戦で、守備の際に味方と交錯して左ひざを負傷。復帰まで7~9カ月と、今季中の戦線復帰は絶望視されている。さらに長くチームを支えてきた松田宣浩も、今季はここまで打率.182で0本塁打。打撃不振に苦しんでおり、出場試合数は15にとどまる。
投手陣を見ても、武田翔太と高橋礼がともにケガからの復帰を目指している最中で、ここまで一軍登板はなし。開幕からクローザーとして6セーブを挙げた森唯斗も、4月6日のオリックス戦以降に5試合で3敗を喫するスランプに陥り、現在は出場選手登録を抹消されている。
そのようなチーム状況において、又吉のタフネスぶりはありがたい限りだろう。
2014年から昨季まで8年のキャリアのうち、5シーズンで50試合以上に登板。そのうち4シーズンは60試合以上に登板を果たしている。
もちろん、それだけの試合に起用されるということは、成績も伴っているということ。昨季は66試合に登板して3勝2敗33ホールド・8セーブをマーク。防御率も1.28という申し分ないものであった。
独立リーグ出身の選手として、はじめてFA権を行使しての移籍を果たした又吉。その活躍は、ソフトバンクはもちろん、NPB入りを夢見る独立リーグ所属の選手たちにも大きな希望となっているはずだ。
文=清家茂樹(せいけ・しげき)