「4番・一塁」が定位置に
3年連続でBクラスに沈んでいた広島が好調だ。
開幕6連勝の好スタートを決めると、ここまで40試合で22勝16敗2分のリーグ2位。首位・ヤクルトとは0.5ゲーム差という好位置につけている。
その原動力のひとつが、打線の奮起である。
チーム本塁打19はリーグワーストながら、総得点の175とチーム打率.261はともにリーグトップ。
チームの顔だった鈴木誠也(現・カブス)が抜けた中、その穴を全員で繋ぐことで必死に埋めている。
新生・赤ヘル打線の中で存在感を放っているのが、新外国人のライアン・マクブルームだ。
開幕2カード目の初戦、3月29日の阪神戦で「6番・左翼」としてNPBデビューを飾ると、翌日からは「4番・一塁」が定位置に。頭部死球を受けた翌日の1試合だけスタメンから外れたものの、ここまで36試合に出場している。
コロナ禍の来日1年目で苦しむ助っ人も少なくない中、規定到達の打率.288(132-38)はチーム3位、5本塁打はチームトップで21打点もチーム3位と各部門で上位にランクイン。得点圏打率も.316と勝負強く、OPSも.825をマークしている。
開幕前は「鈴木誠也の穴が~」という理由から評価を下げられることも多かったが、この戦いを続けていけば上位争いに食い込むことも十分可能だろう。
だが、一方で気になる“ジンクス”もある。近年の広島の外国人野手で、年間を通じて活躍を見せた選手がほとんどいないということだ。
規定到達ならあの助っ人以来…
2010年以降、広島にやってきた外国人野手を振り返ってみると、規定打席到達者を輩出したのは2014年が最後になる。シーズンを通して活躍した最後の助っ人というのが、お馴染みブラッド・エルドレッドだ。
2012年途中から2018年までの長きにわたり、赤ヘル軍団の主軸を務めた名助っ人。しかし、振り返ってみると規定打席到達は本塁打王に輝いた2014年だけだった。それ以外の年は故障や不振での離脱、さらには他の選手との併用もあって、2017年の405打席というのが最多となっている。
その後、エルドレッドと入れ替わるように主力となったサビエル・バティスタも、2019年は423打席で規定には一歩届かず。
以降もホセ・ピレラやケビン・クロンといった助っ人が同じように“規定の壁”に跳ね返され、ファームで三冠王を獲得したアレハンドロ・メヒアも一軍では2019年の173打席が最多だった。
先発投手ではブライアン・バリントンが3年連続通算3度の規定投球回をクリアし、沢村賞に輝いたクリス・ジョンソンも通算で4度の規定投球回到達がある。しかし、なぜか野手の方は年間を通して活躍するケースが少ない。
3番に西川龍馬、5番に坂倉将吾という計算の立つ左打者の間でどっしりと構える「右の強打者」。マクブルームはこの位置を不動のものとすることができるか、今後の活躍から目が離せない。
文=BASEBALLKING編集部