コラム 2022.06.06. 20:14

交流戦の異変を追う【白球つれづれ】

無断転載禁止
阪神・大山悠輔 (C) Kyodo News

白球つれづれ2022~第23回・交流戦でセ・リーグが躍進した理由とは?


 セ・パ交流戦が大詰めを迎えた。

 過去17年の戦績はパ・リーグの13勝3敗(20年は中止)と圧倒的な“パ高セ低”が続いてきたが、今年は6日現在(以下同じ)、首位のヤクルト以下セ・リーグ勢が躍進。残り2カード、各6試合にどんなドラマが待っているのか? ここまでの傾向から今年の異変ぶりを探ってみる。


虎の逆襲、猛牛の反撃

 交流戦の序盤3カードは3勝3敗と目立った戦績を残せないでいた阪神が、ここへ来て上昇気流に乗った。5月31日に始まった西武戦に勝ち越しを決めると、続く日本ハム戦に3連勝で、6月に限れば破竹の5連勝。ついに交流戦トップも視野に捉えている。

 かつて、甲子園で活躍した新庄剛志監督を敵将として迎えた日ハム戦はまさに「猛虎祭り」。連日超満員の観客を集め、胸のすく勝利の連続だから最下位に苦しむ今季の憂さを一気に晴らした格好だ。

 初戦の大逆転劇がチームに勢いをもたらした。最大6点差のビハインドをはね返しての快勝、中でも大山悠輔選手が4年ぶりの1試合3本塁打でお立ち台に立ったのが大きい。

 思えば今季の開幕初戦はヤクルト相手に8-1の大量リードを守れずに逆転負け。歯車の狂ったチームは泥沼9連敗で転落していった。打撃不振で先発メンバーから外れたり、下位打線に名を連ねる大山は不振の象徴のような存在だった。そんな男が交流戦では見事な復活を遂げている。6本塁打はトップ。打率.366(4位)に、13打点も巨人・岡本和真選手らに1差。交流戦の三冠まで見えてきた。

 交流戦の投手成績を見ると1位に防御率0.00で青柳晃洋(他2人)以下、ジョー・ガンケル、西勇輝が同0点台で上位にズラリ。気が付けばペナントレースでも5位のDeNAとは1ゲーム差、Aクラスの広島とも4差だから、後半戦の巻き返しに期待が持てる位置までこぎつけている。

 同じく目下5連勝中のオリックスは投打の主役が戻ってきた。大山以上に打撃不振に陥っていた杉本裕太郎選手が目下、交流戦首位打者(.457)なら、故障で出遅れていたT-岡田選手やチームの大黒柱・吉田正尚選手も戦列復帰。山本由伸、宮城大弥両エースでの勝ちパターンも戻ってきた。昨年も交流戦優勝で勢いを得て、リーグ制覇を成し遂げただけに、上位チームには侮れない存在だ。


投手の打撃に要注意

 西武・辻発彦監督が「今日は小川1人にやられた」とうめいたのは3日のヤクルト戦。何とこの試合ではヤクルの先発・小川泰弘投手が打っても決勝アーチ。投手が「1-0」の試合を自身のバットで決めたのは実に41年ぶりのことだった。西武はその前日の阪神戦でもジョー・ガンケル投手に3安打を打たれて大敗している。

 交流戦と言えば、日頃DH制を採用するパ・リーグにとって、投手の打席が泣き所となるが、逆にセの投手は打ちなれている。ちなみにガンケルの今季打撃成績は.357のハイアベレージ。日本版二刀流も恐るべし、である。

蛇に睨まれた鯉

 好調のセ・リーグ勢にあって一人蚊帳の外が広島だ。ただいま3勝9敗は12球団最下位に沈んでいる。交流戦の得点22に対して失点61と投打にバランスを欠いているのが、苦戦の原因だが中でも悲惨なのがオリックスとの相性の悪さである。5日の同カードに敗れて、ついに12連敗は何とも不可解な相性と言うしかない。ここへ来てエースの大瀬良大地が2軍再調整、主軸の西川龍馬選手もコンディショニング不良で抹消、チームは早くも正念場を迎えている。

打倒パ・リーグは実現するか?

 残り2カードの時点でセの39勝にパの33勝。久々にセの優位で終盤戦を迎えている。

 直近10年の優勝チームはパの7勝3敗だが、今年の異変はパ・リーグ勢の弱さが目につく点だろう。シーズンでは好調だった楽天が交流戦前から下降カーブに入ったのも痛い。日本ハムはチーム改造の途中、など理由はいくつかあるが最大の因はソフトバンクが絶対的存在ではなくなったことではないだろうか? 10年間で7度のパ・リーグ優勝のうち6度はソフトバンクによるもの。その圧倒的な強さがパ・リーグ全体にも「貯金」をもたらして来た。しかし、球界の新盟主にも新旧交代の波はやってきている。

 もっとも、残りカードはすべてパ・リーグの本拠地ゲームだから、1~2ゲーム差の逆転はあり得る。異変の先にどんな決着が待っているのだろうか?

文=荒川和夫(あらかわ・かずお)


《お詫び》
先月23日配信の「白球つれづれ」第21回「二刀流解禁、中日・根尾に求められるもの」の文中、中日・落合英二コーチの談話は同月22日付東京中日スポーツの渋谷真氏コラムからの引用でした。出典を明らかにせず関係者にご迷惑をおかけいたしましたことを、お詫びいたします。

【PR】プロ野球を観戦するなら「DAZN Baseball」

「DAZN Baseball」とは、月額2,300円(税込)でDAZNのプロ野球コンテンツをすべて楽しめるプランです(月々払いの年間プランのみ)。

プロ野球だけを楽しみたい方は、月額4,200円(税込)のDAZN Standard​よりも1,900円お得に視聴できます。

POINT

春季キャンプ、オープン戦、公式戦、交流戦、CSまで余さず堪能できる!

② オフシーズンもドキュメンタリーやバズリプレイなどコンテンツが充実!

毎月2,300円でライブ配信・見逃し配信・ハイライトまで視聴可能!

【PR】「DMM×DAZNホーダイ」でプロ野球を観よう!

「DMM×DAZNホーダイ」とは、DMMプレミアムとDAZN Standardをセットで利用できるプラン。

単体契約ならDMMプレミアム月額550円(税込)、DAZN Standard月額4,200円(税込)のところ、本プランなら月額3,480円(税込)だからとってもお得です。

POINT

① 「DMM×DAZNホーダイ」なら単体契約より月額1,270円(税込)も安い!

② DAZNだけの契約と比較しても月額720円(税込)お得に楽しめる!

③ 新規入会月から最大3カ月間、「DMMポイント」を550ポイント付与!

ポスト シェア 送る

もっと読む

  • ALL
  • De
  • 西