17試合で全体2位の打率.383をマーク
5月24日に開幕した『日本生命セ・パ交流戦 2022』の全日程が終了。
13日には個人表彰も発表され、ヤクルトを“完全優勝”に導いた村上宗隆がMVPを受賞した。
敢闘賞にあたる「日本生命賞」には、本塁打と打点の二冠となった阪神・大山悠輔と、全体トップの打率.391を叩き出したオリックス・杉本裕太郎が選出。
その杉本に一歩届かず“首位打者”にはなれなかったが、全体2位の打率.383をマークしたのがソフトバンク・牧原大成だった。
交流戦は17試合に出場し、安打がなかったのは代打出場となった5月26日のDeNA戦だけ。27日の広島戦から14試合連続で安打を放ち、良い状態のまま交流戦を終えている。
チームに欠かせないユーティリティープレーヤー
故障者や不調によりなかなか戦いぶりが安定していない今季のソフトバンク。それでも、交流戦を終えて首位・楽天と1.5差の2位に踏みとどまることができているのは、縁の下の力持ちとしてチームを支える牧原のはたらきによるところも大きい。
代打での出場からはじまり、遊撃でスタメン出場をして試合終了は三塁で迎えるといったケースは序の口。6月2日の巨人戦から11日のヤクルト戦にかけては「三塁」「遊撃」「三塁」「二塁」「中堅」「三塁」「遊撃」「二塁」と、毎日違うポジションでスタメンに名を連ねた。
各選手の状態を見ながら、まさに“日替わり”で持ち場をこなしてきた29歳。その中で毎日欠かさず安打を放ち、全体2位のハイアベレージを記録。これまで途中出場も多かったため規定打席には届いていないが、シーズン通算の打率も.327の好成績となっている。
思えば昨季も牧原は内外野の計6ポジションと指名打者で試合に出場。藤本博史新監督は負担を軽減すべく、牧原を遊撃に固定する方針も就任直後に打ち出していた。
ところが、いざシーズンが開幕すると栗原陵矢や上林誠知を故障で欠き、さらに新型コロナウイルスの濃厚接触疑いで今宮健太が登録抹消となったほか、序盤は好調だった三森大貴が不振に陥るなど、様々なアクシデントがチームに直撃。窮地を乗り切るためには、牧原の「便利さ」に頼らざるを得なかったのだろう。
藤本監督はそんな牧原を「ジョーカー」と呼び、全幅の信頼を寄せている。日替わりの打順・守備位置を起用にこなし、ベンチに控えても勝負どころの代打や代走、さらには守備固めまであらゆる役割を任せることができる最強のユーティリティー。今季のチームに牧原がいなかったらと考えると、ゾッとするファンも多いのではないか。
交流戦首位打者こそならなかったが、14試合連続安打中と勢いに乗ったまま交流戦を終了。リーグ戦再開後も牧原の躍動に大きな期待がかかる。
鷹に勢いをもたらす「ジョーカー」の躍動に、引き続き注目だ。
文=清家茂樹(せいけ・しげき)