コラム 2022.06.21. 07:08

続々と台頭する高卒野手…今のヤクルトこそプロ球団の理想形?

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ベテランと若手が融合したヤクルトの安定感 (C) Kyodo News

ベテランと高卒野手の活躍で8連勝


 交流戦覇者・ヤクルトの勢いが止まらない。

 リーグ戦再開となった17日からの広島戦でも3連勝。これで6月8日からはじまった連勝が「8」に伸び、2位に9ゲーム差の独走状態となっている。




 19日の試合では、先発マウンドに登った42歳の大ベテラン・石川雅規が力投。初回に2点を失いながら、その後は粘って7回3失点と試合を作る。

 打線では40歳・青木宣親が2回にすぐさま試合を振り出しに戻す2ラン。2人のベテランの奮起に若手も応え、主砲・村上宗隆は2打席連発となる20号・21号を含む3打数3安打の大暴れ。それだけでなく2四球を選んで5打席全出塁と、すでに貫禄すら感じさせる村上だが、年齢はまだ高卒5年目の22歳である。

 また、青木や村上の一発攻勢に加わったのが高卒4年目の濱田太貴。もともと中軸候補として期待されながら故障などに苦しめられてきた21歳は、8回にダメ押しとなる5号ソロ。本塁打は昨季の3本をすでに上回っており、ついに開花のときを迎えつつある。



若手を育成しながら勝利も掴む


 このほかにも、高卒3年目の長岡秀樹と、高卒2年目の内山壮真もともに2安打を放つ活躍。

 しかも、この2人はポジションがそれぞれ「遊撃」と「捕手」という守備の要である。その重要な持ち場を担いながら20歳と19歳がきっちりと結果も残しているというのだから恐れ入る。


 高卒野手の場合、早くに台頭することができれば当然ながらそのキャリアは長くなり、それだけチームに貢献してくれることとなる。

 しかし、一般的に高卒野手の育成には時間がかかるといわれ、多くの球団が高卒野手の育成を理想としながらもなかなか実現できない。

 だが、そんな風潮のなかでも、ヤクルトは2015年に14年ぶりのリーグ優勝を果たした直後から、高卒選手を獲得して強化・育成していく方針を固めたとされる。

 だからこそ、ベテランと若手がともに躍動するいまのヤクルトがあるのだろう。これだけ多くの高卒野手が台頭してくれば、野村克也監督が率いた1990年代のような黄金期が再び訪れる可能性は十分にある。


 若手を育成して世代交代を進めながら、かつ勝利をもつかむ──。

 口にするのは簡単でも、実現するのは難しい。

 そんなプロ球団としての理想形が見えるのが、いまのヤクルトなのかもしれない。


文=清家茂樹(せいけ・しげき)

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