最速154キロ右腕が躍動
6月9日、CAR3219フィールド(西武第二球場)でルートインBCリーグ選抜チームと西武二軍との交流戦が行われた。
BCリーグ選抜チームとNPB二軍との交流戦は基本的に毎年行われているが、一昨年は小沼健太(茨城→2020年・ロッテ育成2位)、昨年は岩田幸宏(信濃→2021年・ヤクルト育成1位)がアピールに成功。見事にドラフト指名を勝ち取っている。そんな“ショーケース”とも言える試合で、キラリと光るプレーを見せた選手を紹介したい。
投手は9人が1イニングずつ登板したが、なかでも最も強烈なインパクトを残したのが群馬・西浜勇星(20歳/関東学園大付)だ。
関東学園大付では、3年夏に行われたプロ志望高校生合同練習会に参加。最速147キロをマークするも、この年のドラフト指名はなく、昨年から群馬でプレーしている。
1年目はコントロールに苦しみ防御率5点台と結果を残すことができなかったが、今年は成長したピッチングを見せて今回の選抜チーム入りを勝ち取った。
この日は9回からマウンドに上がると、いきなり150キロを超えるストレートを連発。最速は154キロに到達した。
2つの四球も与えたが、その前までに2本の長打を放っていた西川愛也を併殺に打ち取るなど1回をノーヒット、無失点に抑えて試合を締めた。
高校時代よりも明らかに体つきは大きくなっており、体重移動のスピードや腕の振りの鋭さはこの日登板した投手の中で突出したものがある。
また、もともと持っていた柔らかさを失っていないというのも大きなプラス要素。緩い変化球で腕の振りが緩み、ストレートは力んで引っかけるボールも目立った一方で、そんな課題以上にストレートの勢いは際立っていた。
今年で20歳という若さも大きな魅力。今後のリーグ戦の成績次第では、支配下の指名も十分に狙えるだろう。
3度目の正直…ドラフト指名なるか
西浜以外の投手で見事なパフォーマンスを見せたのが、茨城・楢嵜塁(25歳/日本経済大)と信濃・鈴木駿輔(24歳/聖光学院)の2人だ。
楢嵜は大学卒業後、四国アイランドリーグの徳島で2年間プレー。昨年も候補に挙がっていた投手だ。
今年から茨城に移籍し、安定感はアップしている。この日は最速148キロをマークしたストレートと、鋭く落ちるフォークを武器に三者凡退と好投。ジョセフと川野涼多からは三振を奪っている。
今年で25歳だが、大学で本格化してきたのは4年時からと比較的遅く、まだまだ成長も見込めるだけに獲得を検討してくる球団もありそうだ。
一方の鈴木は、青山学院大を2年秋に中退して福島に入団した。昨年から信濃に移籍し、今年でBCリーグでのプレーは4年目となる。
一昨年からドラフト候補として名前が挙がりながらも指名は見送られていたが、気持ちを切らすことなく、今年も6月9日時点でリーグトップとなる6勝をマークしている。
この日も、二軍調整中の源田壮亮を遊ゴロに打ちとると、仲三河優太からは内角のストレートで見逃し三振を奪うなど、1回を1奪三振で三者凡退と見事なピッチングを見せた。
少し重心が上下動するのは気になるものの、ダイナミックな腕の振りでストレートはコンスタントに145キロを超え、この日の最速は147キロをマーク。変化球でもしっかり腕が振れるのも長所だ。
このままアピールを続けていけば、“3度目の正直”となるドラフト指名も見えてくるだろう。
野手で活躍した選手は…?
投手に比べると、野手は少し低調な印象だった。その中でも持ち味をアピールしたのは、群馬・奥村光一(23歳・外野手/東海大)、福島・幸田風揮(21歳・内野手/一関学院)、埼玉武蔵・樋口正修(24歳・内野手/駿河台大)の3人だ。
奥村は第1打席から鋭い左直を放ち、第3打席ではあわや本塁打というレフトフェンス直撃の適時二塁打を放って長打力を見せた。
たくましい体格のパワーヒッターで、強く引っ張れるバッティングが持ち味だ。
幸田は9番での出場。2打席連続で適時打を放ってミート力の高さを見せたほか、途中出場の樋口は2安打2盗塁とスピードを生かしたプレーが目立った。
リーグ戦の成績では奥村や樋口が大きく上回っているが、幸田は若さがあるだけに、今後楽しみな存在になるだろう。
この日は多くのスカウト陣がスタンドに詰めかけていたが、アピールに成功した選手はドラフト指名に向けて一歩前進したことは確かだろう。
また、目立った活躍ができなかった選手も、まだリーグ戦の活躍次第ではまだまだチャンスはあるはずだ。
今後も急成長を見せて、ドラフト戦線に浮上してくる選手が出てくることを期待したい。
☆記事提供:プロアマ野球研究所