コラム 2022.07.22. 07:08

社会人最注目エースが本日登場 「都市対抗野球」で注目すべきドラフト候補【投手編】

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東芝・吉村貢司郎 [写真提供=プロアマ野球研究所]

3年ぶりの夏開催「都市対抗野球」


 7月18日に開幕した社会人野球の祭典『第93回都市対抗野球大会』。

 昨年までの2年間は東京オリンピック・パラリンピックの影響により、ドラフト会議後の冬に行われていたが、今年は例年通りのスケジュールに戻った。




 社会人野球最大の大会であり、ドラフト戦線にも大きな影響を与える大舞台。

 中でも秋の有力候補となる選手を、投手と野手の2回に分けて紹介したい。今回は「投手編」だ。


最注目は東芝のエース 


 投手で最も注目を集めることになりそうな選手が、東芝のエース・吉村貢司郎(24)だ。

 昨年もドラフト候補に挙がっていたがチームに残留。ドラフト会議後に行われた都市対抗にはENEOSの補強選手として出場すると、150キロを超えるストレートを連発して再び注目を集めた。


 今年もシーズン開幕を告げる3月のJABA東京スポニチ大会でチームを優勝に導き、自身もMVPを受賞するなど好調をキープしている。

 上半身の無駄な力を抜いたフォームから投げ込むストレートはコンスタントに150キロを超え、数字以上に威力抜群。コントロール、変化球なども一級品だ。

 総合力では間違いなく今年の社会人No.1投手であり、今大会でも結果を残すことができれば、1位指名の可能性も高くなるだろう。


 そして、今年は吉村以外にも、昨年のドラフトで指名がなかった、いわゆる“解禁済”の選手に注目株が多い印象を受ける。

 なかでも今年スカウト陣の評価を上げているのが、鷺宮製作所・小孫竜二(25)と日本通運・前田敬太(25)だ。


 小孫は遊学館高時代から評判の投手で、創価大でも杉山晃基(現・ヤクルト)や望月大希(現・日本ハム)とともに注目を集めていた右腕。

 大学時代から150キロを超えるスピードがありながら、調子の波が大きく、安定感には乏しかったが、今年はここまでエースに相応しいピッチングを披露。チームを東京都第1代表に導いている。

 しかし、迎えた都市対抗の初戦・Honda熊本戦では先発から外れただけでなく、ベンチ入りメンバーにも名前がない。後に報じられたところによると、大会前に新型コロナの陽性が発覚。チームも初戦敗退となり、残念ながらこの夏のアピールはならなかった。


 一方の前田は、専修大時代から“大器”と言われていた大型右腕。

 小孫と同様にコントロールが課題だったが、年々安定感を増しており、代表決定戦の日本製鉄かずさマジック戦では被安打4、四死球0で完封と見事なピッチングを見せた。典型的な遅咲きタイプの投手だけに、まだまだここからの成長が見込めるだろう。

 日本通運は21日に行われた初戦で宮崎梅田学園に7-0で快勝。3投手による完封リレーで勝ち上がったが、前田の登板はなかった。


指名解禁となる選手にも逸材が…?


 続いて、今年のドラフト会議で指名が解禁される選手たちを見ていこう。

 まずは、大学卒2年目の有力候補から。今シーズン見事なピッチングを見せているのが日本製鉄鹿島・大津亮介(23)とトヨタ自動車・吉野光樹(24)だ。


 大津は4月に行われたJABA静岡大会でチームを優勝に導き、自身もMVPを受賞。都市対抗予選でも安定した投球で出場権獲得に貢献した。

 体つきは細身だが、柔らかさと強さを兼ね備えた腕の振りは抜群で、常時150キロ近いストレートは勢い十分だ。

 日本製鉄鹿島は18日の初戦で三菱重工Westに4-3で逆転サヨナラ勝ち。大津は8回3失点の力投を見せている。


 吉野も豊富な投手陣の中でエース格へと成長。全国で最も過酷と言われる東海地区予選でも3試合に先発し、23回を投げて自責点1と圧倒的な成績を残している。

 バランスの良いフォームから140キロ台後半のストレートと多彩な変化球を投げ込み、コントロールも高レベル。プロでも早くから使える先発候補としてリストアップしている球団も多いだろう。

 トヨタ自動車は19日に行われた初戦で日本製鉄かずさマジックに2-0で勝利。吉野は先発して4回無失点の好投。足を痛めて治療を受けるシーンもあり、早いイニングでの降板にはなったが、その才能の片りんを見せつけた。


▼ その他の注目投手
高野脩汰(日本通運/24歳)
益田武尚(東京ガス/24歳)
小谷野楽夕(JR東日本/24歳)
関根智輝(ENEOS/23歳)
長谷部銀次(トヨタ自動車/24歳)
伊藤開生(ロキテクノ富山/24歳)
末野雄大(JR西日本/24歳) ※三菱自動車倉敷オーシャンズからの補強選手


高校卒3年目にもプロ注目選手がズラリ


 若さが魅力となる高校卒3年目の投手では、西濃運輸・林優樹(21)と大阪ガス・河野佳(21)、JR西日本・石黒佑弥(21)の3人が有力候補となる。

 なかでもNo.1の実績を誇るのが河野だ。2年目の昨年はチームの日本選手権優勝に大きく貢献し、大会MVPを受賞。都市対抗予選を除く公式戦での成績は6勝0敗、防御率0.21と圧倒的な数字を残し、年間最多勝に最優秀防御率、ベストナインの投手三冠に輝いている。

 今年は相手チームの厳しいマークに苦しんだが、負けたら予選敗退となる都市対抗の近畿第5代表決定戦では、日本生命を相手に完封勝利とさすがの投球を見せてくれた。スピードは140キロ台中盤と驚くような速さはないが、力みなくコーナーに投げ分けるピッチングはとても21歳と思えない安定感がある。

 本大会ではJR東日本打線につかまり初戦で敗退となったが、ここからの立て直し次第では秋の指名も十分に期待できるだろう。


 今年は例年に比べて高校生や大学生に上位候補と見られる投手が少ないため、社会人投手にスカウト陣の注目が集まっている。

 ここで挙げた投手はもちろんだが、他にも見事なパフォーマンスを見せて評価を上げる選手が出てくることを期待したい。


※記載した年齢は今年度中にむかえる年齢


☆記事提供:プロアマ野球研究所
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