大谷は2年連続トップも視野
日本時間20日、ロサンゼルスのドジャー・スタジアムでメジャーリーグのオールスター戦が行われ、ア・リーグがナ・リーグを3-2で下した。
すでに後半戦も再開しているが、日本人メジャーリーガーの再始動は日本時間の23日から。そこで今回は、各選手の前半戦を「WAR(Fan Graphs版)」の数値を基に振り返っておきたい。
WARとは、打撃・走塁・守備・投球を総合的に評価して選手の貢献度を表す指標で、昨季は大谷翔平(エンゼルス)が打者として「5.1」をマーク。投手としての「3.0」を加えた合計「8.1」はメジャー全体でもトップだった。
今季の大谷は前半戦を終えた段階で、打者として「1.8」、投手として「2.9」の合計「4.7」を記録している。
これはヤンキースのアーロン・ジャッジと並んでメジャー1位。投手としてのWARはすでに昨季のそれに迫っており、後半戦に“打者・大谷”が成績を伸ばしてくれば、2年連続のMVP獲得も夢ではないだろう。
1年目の鈴木誠也も上々
日本人選手の中で、大谷に次ぐWARをマークしているのはダルビッシュ有(パドレス)だ。
来月には36歳を迎えるが、パドレスでの2年目は開幕から年齢を感じさせない投球を披露している。
前半戦の17試合でダルビッシュが記録したWARは「2.1」。パドレス1年目の昨季はフルシーズンで「2.9」だったが、これを上回るペースだ。
実際に勝利数はすでに昨季の8勝に並んでおり、防御率も1点近く良化。昨季はオールスター以降に1勝8敗と成績を落としたが、今季はその二の舞を避けられるか。
そのためにも、まずは5年ぶりのシーズン2ケタ勝利をなるべく早く確定させたいところだろう。
メジャー1年目の鈴木誠也(カブス)は、チームが低迷する中でWAR「1.0」をマーク。
誠也フィーバーを巻き起こした序盤戦の“貯金”と、ケガから復帰後の打棒復活もあって、トータルで見れば及第点といえる。
オールスター休みの直前には6試合連続安打をマーク。一時は2割3分台まで落ち込んでいた打率を.272まで戻している。
後半戦もこの調子を維持して、打率3割台に乗せることができるか。
メジャー残留に崖っぷち
前半戦のWARが「0.3」だった澤村拓一(レッドソックス)。今季防御率は2.55で、昨季の3.06から改善しているものの、首脳陣からの信頼は今一つといったところか。
ホールド数が昨季の10個から今季は1個だけになっており、勝ちパターンで投入されることはほぼない。7月に入ってからは防御率こそ1.80と上々だが、10イニングで8四球と制球難が露呈。後半戦は制球力を改善させて、首脳陣の信頼を取り戻したい。
菊池雄星(ブルージェイズ)と筒香嘉智(パイレーツ)は、ともに前半戦のWARがマイナス値だった。
WARが「0」の選手は代替が可能なレベルと位置付けられているが、まさに2人はメジャー残留に崖っぷちの状態といえそうだ。
後半戦に入ってもWARがプラスに転じないようなら、チーム内での居場所はなくなることになりそう。
特に筒香に残された時間はそう多くないだろう。昨季パイレーツに加入後に見せたV字回復を再び見せることはできるか。
主な日本人選手・2022年前半戦のWAR
大谷翔平(エンゼルス)
4.7 [1.8+2.9]
ダルビッシュ有(パドレス)
2.1
鈴木誠也(カブス)
1.0
澤村拓一(レッドソックス)
0.3
菊池雄星(ブルージェイズ)
-0.6
筒香嘉智(パイレーツ)
-1.0
文=八木遊(やぎ・ゆう)