はじめてのドラフト会議
過去に何人もいた“立浪2世”。スカウトが期待し、指名を受けたプレーヤーも2世を望んだ。
だが、今季は違う。指揮官になって初めての「プロ野球ドラフト会議 supported by リポビタンD」(10月20日)を控える中日・立浪和義監督は、自らの目で2世を探し、運命の日を迎える考えを持っている。
就任後、初めてのドラフト会議となる。1年前は、与田剛前監督が関わっている。その後に、立浪監督は誕生した。
今季はすでに用意されていた戦力で戦い、何とかCS争いに踏みとどまっているのが実情。球団にとって、ドラフト会議は外国人補強、トレードと合わせて戦力アップの柱のひとつ。そのひとつに直接、関与する。すでにスカウト登録も済ませた。
「遠征先で東京へ行った際など、試合があれば見てみたいなとは思っています。先を見据えたプランでやっていかないと。ここ数年なかなかうまいこといっていないので。ポジションもありますしピッチャーは毎年ほしいんですけどね。いろいろ野手との兼ね合いも」
全体の戦略は『バランス重視型』になりそう。
1年前は指名6選手のうち5選手が野手だった。1位のブライト健太と2位の鵜飼航丞は外野手。長距離砲を求める『戦略的特化ドラフト』だった。
投手は3位の石森大誠のみ。先発投手の指名は見送っているから、今年は誰を注目するのか。
「1位候補を打者か野手か、そこを決めるのはこれからです」と話した。
夏の甲子園にも熱視線
間違いなく、補強ポイントになるのが「遊撃」のポジションだ。
京田陽太が打率1割台に低迷し、三ツ俣大樹や溝脇隼人を起用。後半戦は、高卒2年目の19歳・土田龍空をメインにスタメンで送り出している。
センターラインの固定は、強竜の再建には欠かせない。
球団のスカウト陣も注目しているのは、大学球界では天理大・友杉篤輝、亜大・田中幹也。関東遠征時に東都大学リーグが行われていれば、立浪監督は自ら“立浪2世”を探す。
夏の甲子園は、テレビでチェックした。
「時間が許す限りテレビで見ています」
鶴岡東(山形)の捕手・土屋奏人や、ヤクルト・村上宗隆の弟で九州学院(熊本)の内野手・村上慶太に目が留まった。
村上については、「兄ちゃんが高校生のときよりも、いいスイングしてるかもしれへんね」と感想を語っている。
また、数年後も見据え「将来が楽しみ」としたのは、二松学舎(東東京)の1年生内野手・片井海斗。学年に縛られず、素材見極めに目を凝らした。
指揮官は今後、スカウト会議にも参加する構えでいる。現場の意見を主張し、フロントの考えと擦り合わせていく。
球団一体となって足を使い、来季、近未来のチームづくりに汗をかく。
文=川本光憲(中日スポーツ・ドラゴンズ担当)