快進撃を支える安定感抜群のブルペン
8月に入って反転攻勢を強めているDeNA。19日終了時点で今月は12勝2敗と絶好調で、勝率はなんと.857。19勝4敗と勝ちまくっていた6月のヤクルトが残した月間勝率.826をしのぐ勢いで首位を猛追している。
しかも、8月の試合のほとんどが僅差だということも興味深い。12勝のうち最大点差となったのは、8-3で勝利した8月19日の広島戦における5点差。残る11勝を挙げた試合も10試合は3点差以内であり、1点差ゲームが5試合もある。よくいわれる話ではあるが、僅差のゲームをきっちりものにするという、まさに強いチームの勝ち方をしているのがいまのDeNAだ。
ただ、打ち勝ったという試合は意外に少ない。現在、12試合連続で安打数は1桁だ。そうなると、当然ながら大きな勝因は投手陣にある。DeNA投手陣の8月の月間防御率2.36は、2位・中日の2.63を上回るリーグトップの数字だ。
なかでも注目すべきは中継ぎ陣だろう。先発陣も8月の先発防御率2.77としっかり試合をつくっているが、それ以上に際立つのが救援防御率1.51。安定感抜群のリリーフ陣がチームの快進撃を支えているとみていいだろう。
気になるのは“方程式”の登板過多
今季のDeNAは、伊勢大夢、エスコバー、山﨑康晃という勝ちパターンの投手たちが、全員そろって防御率1点台とまさに盤石の状態。
加えて、シーズン序盤には失点を重ねたものの、6月25日の広島戦から15試合連続で無失点登板を続けている入江大生も勝ちパターンのひとりといっていいだろう。8月19日の広島戦でも、伊勢、エスコバー、入江の他に平田真吾と、登板した中継ぎ投手の全員が無失点登板を披露した。
昨季までのDeNAは中継ぎ陣にやや不安があり、事実、昨季の救援防御率3.87はリーグワーストであった。それが、今季はシーズン通算の数字でも阪神(2.29)に次ぐリーグ2位の2.85と大きく改善されている。
とはいえ、以前から指摘されている中継ぎ陣の登板数の多さは心配なところ。DeNAは他球団より消化試合数が4~10試合少ないにもかかわらず、エスコバー、伊勢の53登板はダントツのリーグ最多。しかも、8月は勝ち試合が多いために必然的に勝ちパターンの投手たちの出番も増えている。
9月には10連戦を含む27試合が組まれており、このまま中継ぎ投手陣が登板を重ねれば、疲弊する可能性が大きい。そこで期待したいのは、8月19日から一軍に復帰した三上朋也、ファームで調整中の三嶋一輝といった実績あるベテラン勢、あるいはクリスキー、ガゼルマンといった外国人らによるバックアップだ。
DeNAが9月以降のシーズン最終盤にも現在の勢いを継続できるか。中継ぎ陣の総力戦が鍵となる。
※数字は8月19日終了時点
文=清家茂樹(せいけ・しげき)