コラム 2022.09.06. 06:44

1試合で「8打点」「11打点」…恐るべきバッティングを見せた名選手

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ヤクルト・村上宗隆 (C) Kyodo News

無双状態


 2022年のペナントレースもいよいよ大詰め。優勝争いとともに、個人の成績にも注目が集まる時期がやってきた。

 中でも話題の中心にいるのが、ヤクルトの主砲・村上宗隆。目下セ・リーグの打撃3部門でトップを快走中。18年ぶりの三冠王誕生に向けて、期待が高まっている。




 その村上、8月末の対DeNA3連戦では圧巻の打撃を披露。初戦で2本の本塁打を放って4打点を挙げると、第2戦では5打数5安打1本塁打の大暴れで2日連続の4打点。2試合で計8打点を叩き出した。

 第3戦でも本塁打を含む2打数2安打で1打点。3戦合計で4本塁打・9打点という離れ業をやってのけ、奇跡の逆転優勝に向けて快進撃を見せたライバルを一蹴した。

 しかし、過去にはこの村上に匹敵する激打を1試合で発揮した猛者もいた。今回は1試合での“打点数”にフォーカスを当て、恐るべき打撃を見せた選手を紹介したい。



あまりにも運が悪い…


 まずは、1人で「8打点」を記録したのに、チームの勝利に結びつかなかった運の悪い打者から。それが広島時代の江藤智だ。

 1998年6月30日の横浜戦。「4番・三塁」で出場した江藤は、0-2とリードされた4回に戸叶尚から左越えの同点2ランを放つと、2-2の5回にも3番・前田智徳の勝ち越し適時打のあと、河原隆一から左越えに2打席連続の14号満塁アーチを放ち、一気に差を広げた。

 さらに、3点を返された直後の7回一死一塁でも、阿波野秀幸から3打席連続となるダメ押し2ランを記録して9-5。ところが、江藤1人で8打点も稼いだのに、リリーフ陣が“貯金”を吐き出してしまう。

 その裏、玉木重雄が二死から鈴木尚典に四球を許し、ロバート・ローズの右翼線二塁打で1点を失ったのが、ケチの付きはじめ……。

 代わった田中由基も駒田徳広に四球を与えた直後、佐伯貴弘に同点3ランを被弾してしまう。

 山内泰幸も進藤達哉と石井琢朗に2ラン2発を浴び、悪夢の1イニング8失点……。広島は8回に1点を返したものの、9回は“大魔神”・佐々木主浩に3人で抑えられ、10-13で敗れた。


 これまで1試合8打点以上を記録した打者は延べ36人いたが、自軍が試合に負けたのは江藤が初めてだった。

 ちなみに江藤は、1994年8月18日の同一カードでも1試合3発の5打点をマークしながら、7-9の敗戦。2度にわたって1試合3発が“空砲”に終わったのは、大洋時代の青田昇と中日時代の宇野勝に次いでNPB史上3人目だった。

 だが、1999年8月12日の横浜戦では、これまた1試合3本塁打を記録。1人で10打点(セ・リーグタイ/NPB歴代2位タイ)の大暴れ。試合も19-5と大勝し、因縁の横浜相手にリベンジをはたしている。


プロ野球記録は1試合11打点


 一方、1人で最も多くの打点を挙げた選手はというと、大映時代の飯島滋弥だ。

 1951年10月5日の阪急戦。1回無死満塁で打席に立った飯島は、フルカウントから捕邪飛を打ち上げるが、捕手の山下健が落球した。

 こんなときは、得てして流れが変わってしまうもの。間一髪命拾いした飯島は、直後の阿部八郎の7球目を左越えに先制の満塁本塁打を放つ。

 2打席目は左飛、3打席目四球のあと、飯島は7回の4打席目に野口二郎から左越えに3ラン。この一発で火がついた大映打線は打者一巡の猛攻を見せ、満塁で飯島にこの回2度目の打席が回ってきた。

 押せ押せムードで気合が充実した飯島は、野口からまたも左越えに満塁弾を放ち、1イニング2本塁打で7打点。1試合11打点の快挙を達成した。

 もし、飯島が1回の第1打席で捕邪飛に倒れていたら、球史に残る大記録も生まれていなかったかもしれないという意味でも、記録は“生き物”と言えるだろう。


 なお、飯島に次ぐ歴代2位の10打点を記録したのは、前出の江藤のほかに、トニー・ソレイタ(日本ハム)とレオン・リー(大洋)、ローズ(横浜)に二岡智宏(巨人)の計5人。

 ソレイタは1980年4月20日の南海戦のダブルヘッダー第2試合で、1死球を挟んで4打数連続本塁打を記録。10打点の内訳は、3ランが3本にソロが1本だった。

 ダブルヘッダー第1試合終了時点で打率.152、2本塁打とさっぱり当たらず、“ポンコツ”呼ばわりされていた男の突然の覚醒に、大沢啓二監督も「恐れ入りました」と脱帽。翌日の朝日新聞にも「おソレイっタ1試合4発」の見出しが躍った。

 以来、“サモアの怪人”の異名をとったソレイタは、同年9月4日の近鉄戦の第4打席で32号ソロを放つと、翌5日の西武戦でも1打席目から3打席連続本塁打の大当たりで、2試合にまたがる4打席連続本塁打を記録。シーズン2度の4打数連続本塁打はNPB新記録でもあった。


1試合10打点を記録した男たち


 レオンは1985年8月10日の広島戦で、初回に津田恒美から来日通算200号の先制満塁弾を放つと、北別府学からも中越え2ランと右越え3ランの3打席連続アーチを記録。7回にも中前適時打を放ち、1951年の藤村富美男(大阪)のセ・リーグ記録「9」を更新する計10打点を挙げた。

 あとソロ本塁打が出れば、史上初のサイクル本塁打となり、飯島のNPB記録11打点にも並ぶところだったが、9回の5打席目は遊ゴロに倒れ、歴代2位タイの10打点にとどまった。

 6月24日に交通人身事故を起こしたレオンは、それから毎晩車が人にぶつかる夢にうなされ、打率も.268まで落ちていたが、「こうなったら、ゲームで打って、お詫びするしかない」と開き直ったことが、好結果につながった。


 ローズは1999年6月30日の広島戦で、2回に中越え二塁打を放ったあと、一挙12得点のビッグイニングになった5回に中前安打と右越え三塁打、6回にもダメ押しの3ランを右中間席に叩き込み、10打点とともに世界初の3度目のサイクル安打を達成した。

 二岡は2006年4月30日の中日戦で、1回に中田賢一から先制の右越え2ラン、4回に石井裕也、5回にガルバスから2打席連続の満塁本塁打を記録し、球団記録の「9」(1949年の川崎徳次と2001年の清原和博)を更新している。

 飯島も含めて10打点以上を記録した6人の内訳を見ると、ローズを除く5人までが3本塁打以上を記録し、うち満塁弾、3ランが2本以上含まれていた。

 “2ケタ打点”を記録するには、やはり「走者を置いてなんぼ」のようだ。


文=久保田龍雄(くぼた・たつお)

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