コラム 2022.09.20. 06:29

東大に京大、名大も…難関国立大の「ドラフト候補」

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名古屋大・本田健悟選手 [写真提供=プロアマ野球研究所]

近づいてきた“運命の一日”


 今年は10月20日(木)に開催されるドラフト会議。運命の一日まであと1カ月となった。

 この9月は大学野球の秋季リーグも本格的にはじまり、大学生のドラフト候補にとっては最後の大きなアピールの場となっている。




 今年は“二刀流”として注目を浴びている矢澤宏太(日本体育大)や、東京六大学を代表するスラッガーの蛭間拓哉(早稲田大)などが上位候補と見られている一方で、実はこれまでになかった現象が起きている。

 それは東京大・京都大・名古屋大という全国で指折りの難関国立大学に、プロのスカウト陣が注目する選手が存在していることだ。


東大の強肩捕手とエースがドラフト戦線に浮上


 東京大では、捕手の松岡泰希とエースの井沢駿介の名前が挙がる。

 松岡は強肩が武器。元中日の外野手であり、東京大の井手峻監督が「肩の強さなら(東京)六大学の中でもNo.1」と話すほどの実力者だ。

 打撃面は今春のリーグ戦で不振に陥るが、3年春には打率.276で5打点と結果を残している。

 進路に関しては、社会人野球入りが濃厚という話が出ているものの、秋のリーグ戦のプレーに引き続き注目したい。


 一方の井沢は、2年春から主戦投手として役割を得て、3年秋に待望のリーグ戦初勝利をマークした。

 ストレートは140キロ前後と驚くような速さはないが、数字以上に打者の手元で勢いがあり、年々安定感が増している。

 9月8日にはプロ志望届の提出が完了。東京大から7人目となるNPB入りに期待がかかる。


京大の“150キロ右腕”にスカウト陣が大注目


 一方で、京都大から2人目のNPB入りを目指すのが投手の水口創太だ。

 高校時代は無名の存在で、1年の浪人を経て京都大へ進学。3年春にリーグ戦デビューを果たすと、秋にはリリーフで9試合に登板するフル回転の活躍で初勝利をマークしている。

 対同志社大戦では、最速152キロをマークして注目を集めた。これまで京都大の投手が記録した最速というと、田中英祐(元ロッテ)の149キロとされており、150キロの大台を突破したのは水口が初めてだ。

 また、194センチという長身も大きな魅力。ボールの出所を上手く隠したフォームが、打者にとって打ちづらい要因となっている。

 医学部人間健康科学科で勉学に励む水口は、理学療法の実習があり、春のリーグ戦は平日の試合に出場できず、4試合の登板にとどまった。

 とはいえ、水口のポテンシャルに対するプロ側の注目度は高く、こちらも9月8日にプロ志望届を提出した。

 秋のリーグ戦では、春にあまり投げられなかった悔しさを晴らすようなピッチングに期待したい。


名大のエースはドラフト指名が濃厚


 最後に取り上げるのは、名古屋大のエース・本田健悟だ。前述した選手を含め、実力的に最もドラフト指名の可能性が高いと見られている。

 高校時代は全く目立った実績を残していないものの、昨年からは140キロ台後半のスピードをマークし、密かに注目を集める存在へと成長した。

 大きな飛躍となったのが今春のリーグ戦。二部リーグながら、7試合に登板して6勝0敗と圧倒的な成績を残し、名古屋大の2位躍進に大きく貢献した。

 リーグ戦後のプレーオフで敗れ、惜しくも一部昇格をかけた入替戦に出場することはできなかったが、このピッチングで「愛知大学リーグに本田あり」ということを強烈に印象付けた。


 愛知大学リーグの二部リーグからは、浅尾拓也(日本福祉大/元中日)や田島慎二(東海学園大/中日)、さらに昨年ドラフト2位で指名された安田悠馬(愛知大/楽天)といった多くのプロ選手が誕生している。

 二部とはいえどもレベルは低くないリーグであり、本田がこれだけ圧倒的な成績を残しているというのは見事という他ないだろう。

 また、8月19日に行われた静岡大との定期戦では、先発で5回を投げてノーヒット、7奪三振と見事なピッチングを見せた。

 静岡大は全日本大学選手権に出場した強豪校で、そんな相手でさえ本田は全く寄せ付けなかった。

 この試合には10球団のスカウトが集結し、中には部長クラスが顔を見せている球団も。本田に対する注目度の高さがうかがえた。

 2019年のドラフト会議では、投手の松田亘哲が育成1位で中日に指名されて話題となったが、本田の“快挙”も十分期待できそうだ。


 4人とも高校時代には無名の選手であり、またコロナ禍の中でチームとしての活動が制限されることが多いなか、学業と両立しながら野球の実力を伸ばしていった。

 これは他の多くの大学生や、これから大学でのプレーを考えている高校球児にとっても、大きな希望を与える存在だ。

 念願のドラフト指名に向けて、大学野球最後のシーズンで彼らがどんなプレーを見せてくれるのか。ぜひ注目してもらいたい。


☆記事提供:プロアマ野球研究所
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