コラム 2022.10.25. 07:08

4年後は目玉候補だ!プロ志望せず大学進学を選んだ高校生の注目株

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星城・田島善信 [写真提供=プロアマ野球研究所]

大学に進む有力選手


 今年は10月20日に開催されたプロ野球のドラフト会議。

 育成ドラフトを含めて126名が指名を受け、夢へのスタートラインに立った。




 その一方で、この秋の挑戦を見送り、進学や社会人入りを決断した選手もいる。

 ここでは仮にプロ志望ならば指名の可能性が高かったであろう「プロ志望届未提出の有力選手」を取り上げてみたい。今回は高校生編だ。


侍ジャパンにも選出された2人


 まず投手で評価が高かったのが、夏の甲子園でも活躍を見せ、侍ジャパンU-18代表にも選ばれた生盛亜勇太(興南)と宮原明弥(海星)である。

 生盛は昨年秋、腰を痛めていて九州大会での登板がなかったものの、春から夏にかけて一気に力をつけ、コンスタントに145キロをマークするまでに成長した。

 緩い変化球がない点は課題とはいえ、スライダーは変化が鋭い。体がまだ細く、ここからしっかり鍛えていけば、まだまだ速くなる可能性は高いだろう。


 宮原は2年時は少し体が太く見えたが、この1年で引き締まり、それに伴ってフォームに躍動感が出てきた。

 生盛ほどのスピードはないが、力を入れると145キロを超え、ブレーキのあるカーブとスライダーも一級品。

 ともに大学に進学予定だが、順調にいけば4年後のドラフト会議で上位候補に名を連ねることも期待できる。


甲子園未出場選手にも注目株が


 甲子園を経験している投手では、鈴木泰成(東海大菅生)の評価が高い。

 下級生の頃から主戦投手として登板し、2年春に出場した甲子園で好投。その後は肘を痛めてしばらく投げられない時期が続くも、この夏は復調したところをアピールした。

 長身で伸びやかなフォームは欠点がなく、スケールの大きさも申し分ない。


 一方、甲子園未出場組で評価が高いのが、田島善信(星城)と渡辺夏一(霞ケ浦)の2人だ。

 田島は中学から野球を始め、本格的に投手になったのは2年秋から。高い運動力を生かして急激に成長した。

 6月に行われた天理との招待試合では、最速146キロをマークし、強力打線を抑え込む快投を見せている。


 渡辺は同じ学年に好投手が多く、春までは目立った成績を残せなかった。

 6月から夏にかけて急成長を見せ、夏の茨城大会ではプロ志望届を提出した赤羽蓮を差し置いて主戦投手として起用され、チームをベスト4に導いている。


 田島と渡辺はフォームに悪い癖がなく、柔らかい腕の振りで、これから筋力をつければ、まだまだスケールアップしそうな雰囲気を持っている。

 いずれも関東の大学に進学予定とのことで、大学入学後は早くからリーグ戦で登板することも十分に考えられる。


野手の注目選手は…?


 続いて、野手を見ていこう。侍ジャパンに選ばれたところでは、渡部海(智弁和歌山/捕手)や光弘帆高(履正社/遊撃手)、内海優太(広陵/外野手)の名前が挙がる。

 渡部は旧チームから不動の正捕手として活躍し、昨年夏の甲子園優勝にも大きく貢献。新チームになってからも、打撃・守備ともに順調にレベルアップしている。

 近畿地区のキャッチャーでは、松尾汐恩(大阪桐蔭)に次ぐ存在と言えるだろう。大学でも持ち味をさらに伸ばして、「打てる捕手」になってくれることを期待している。


 光弘は全国トップクラスの実力を誇るショートだ。

 下級生の頃はどちらかと言えば守備が目立つ選手で、最終学年で体が見違えるように大きくなり、バッティングも力強くなった。大学でも早くからレギュラーをつかむ可能性は十分だ。


 内海は侍ジャパンでも中軸を任せられた左の強打者。無駄な動きのないスイングでインパクトも強く、8月末に行われた大学ジャパンとの交流試合では、打った瞬間に分かる本塁打を放っている。

 守備面はそれほど特徴がないことが課題である一方で、打者としてのスケールの大きさは十分なだけに、将来が楽しみな“大砲候補”といえる。


 プロから需要の高いショートでは、山里宝(神戸国際大付)や宇地原丈智(岡山学芸館)も、プロではなく大学進学を選んだ。

 山里は抜群のスピードとフットワークが光り、ミート力もまた高い。2年時からリードオフマンとして、攻守にチームを牽引する活躍を見せた。

 宇地原はプレーの形の良さが魅力の強打のショート。バランスの良いスイングで広角に鋭い当たりを放ち、守備も安定感が光る。大学で鍛えて、さらにスケールアップしてほしい。


 今年の大学4年生のドラフト候補をみると、曽谷龍平(白鴎大→オリックス1位)や荘司康誠(立教大→楽天1位)といった高校時代は“無名”だった選手が上位候補となっている例は少なくない。

 ここで挙げた選手以外にも、4年後にはドラフト戦線を賑わせる存在が多く出てくることを期待したい。


☆記事提供:プロアマ野球研究所



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