加藤豪将

◆ 白球つれづれ2022~第45回・“逆輸入”選手の加藤豪将は日本球界で成功をつかむことができるか

 「生まれも育ちもアメリカのガイジンです」

 日本ハムからドラフト3位指名を受けた加藤豪将選手が今月4日、入団会見を行った。

 どこかで聞いたセリフ、と思ったら「フーテンの寅さん」を思い浮かべた。

 確かに2013年、名門ヤンキースに2位指名で入団してから10年。なかなか、メジャーリーガーにはたどり着けずにマイナーを転々、全米各地をさ迷い歩く生き様と、それにもめげない実直で明るい性格は野球版の「寅さん」と言ってもいいだろう。

 先月に行われたドラフト会議で話題を集めたのは、日本ハムならではの戦略だった。

 1位指名の投打二刀流・矢澤宏太選手(日体大)は、事前公表通りだが、3位にMLBメッツ傘下・シラキュースの加藤、さらに育成3位でも米テキサス大タイラー校中退の山口アタル選手を指名。共に日本の学校に通ったことのない“逆輸入”のサプライズ指名が周囲を驚かせた。

 中でも新庄剛志監督の強い希望で獲得に動いたのが加藤豪だ。

 1994年生まれの28歳。長い期間をマイナーで暮らした、下積みの経験と根性、内外野どこまで守れるユーティリティー性を高く評価したと言われる。

 今季の加藤豪は念願のメジャー昇格も果たしている。ブルージェイズに在籍していた4月には8試合に出場。レッドソックス戦では初安打となる二塁打も放った。しかし、故障明けの選手が戻ると押し出されるように再びマイナーに降格。4球団目となるメッツでも、メジャーの壁は厚く日本行きを決断した。

◆ セカンドに定着できれば新庄ハムの救世主になり得る可能性も

「メジャーリーグと(NPBの)野球は全然違うスポーツだと思っている」と語る加藤豪は入団発表の席で、秋季キャンプ参加を即決。来年の開幕を見据えて「この3カ月で20年分の“野球”を学ばないと」とゼロからのスタートを強調する。このあたりも、普通の新人選手とは違う。

 これまでの「助っ人」なら、米国での実績をもって来日するケースがほとんどだったが、加藤豪の場合は事情が異なる。

 逆に日本人野手のメジャー挑戦から見れば、近年では鈴木誠也選手(広島からカブス)こそ、まずまずの及第点を残したが、秋山翔吾(レッズから広島)、筒香嘉智(ブルージェイズ傘下)両選手らは、打撃不振に陥りマイナー生活を強いられている。「3A以上でメジャー以下」と言われる日本野球のレベルを考えても、加藤豪の現在地は微妙な立場と言うしかない。

 ヤンキース傘下1年目のルーキーリーグでは、ベストナインに選出され、米国野球誌の「将来の有望株」としても紹介されたほどの逸材も、パワー不足に泣かされた。いつしか、自らの生き残る道を「監督から求められるものを何でもこなせる選手」に求めている。10年の苦労は自らのストロングポイントを磨くことより、使い勝手のいい「便利屋」として認められることを選択したのだろうか。

 走攻守共に一定のレベルにはあるが、メジャーの一流選手には及ばない。そんな1.5流の男が新天地でどんな働きを見せるのか、現時点では誰も予測がつかない。しかし、活躍度によっては今後の外国人選手獲得の新たな目安になるかも知れない。

 内外野どこでもこなせる万能型だが、日本ハムでは二塁が主戦場となるだろう。昨年までのレギュラー格だった渡邉諒選手を阪神にトレード。遊撃にはルーキーの上川畑大悟選手が急成長している。あのイチローさんを“師”と仰ぐシュアな打撃と幅広い守備範囲に、盗塁まで期待出来れば、新庄ハムの救世主になり得る可能性もある。

 ドジで、憎めない性格が映画の「寅さん」なら、加藤豪は踏まれても、落とされても這い上がって来る雑草派。これに日本球界で実績を残せば、寅さん並みの人気者になるのも夢ではない。

「JRにも乗ったことがない」と言う逆輸入選手・加藤豪。その大いなる野望の結末がハッピーエンドとなるのを期待するばかりだ。

文=荒川和夫(あらかわ・かずお)

【荒川和夫・プロフィール】
1975年スポーツニッポン新聞社入社。野球担当として巨人、西武、ロッテ、横浜大洋(現DeNA)等を歴任。その後運動部長、編集局長、広告局長等を経て現在はスポーツライターとして活動中。

この記事を書いたのは

荒川和夫

1975年スポーツニッポン新聞社入社。野球担当として巨人、西武、ロッテ、横浜大洋(現DeNA)等を歴任。その後運動部長、編集局長、広告局長等を経て現在はスポーツライターとして活動中

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