コラム 2022.11.15. 07:08

「400グラムのステーキ」「フォークの握りでドアノブを回す」…語り継ぎたい村田兆治伝説

無断転載禁止
村田兆治さん (C) Kyodo News

とにかく走り、鍛えていた村田さん


 登板日に400グラムのステーキを食べて体を起こし、グイッと一杯飲むコップの持ち方は持ち球フォークの握り。ドアノブを回す時だって、人さし指と中指でつかみ親指で支えてグルッと回す。

 これは11日に東京都内の自宅で亡くなった元ロッテ・村田兆治さんの逸話である。


 独特のダイナミックな「マサカリ投法」で知られ、剛速球とフォークを操る。通算215勝を挙げた名球会員。野球殿堂入りも果たしている。

 なぜ亡くなったか、と同時に浮かぶのはどういうスタイルで投げ続けるアスリートだったのか。ロッテ時代のチームメートで、中日の用具係・平沼定治さんが明かしてくれた。


 多弁ではなかった。速球のスピードアップの方法を聞けば「走れ、走れ」。フォークの落差の秘訣を尋ねると「もっと指を開け」と返ってくる。

 確かに、練習と言えば右翼と左翼、外野のポール間を「2時間でも3時間でもずっと走っていた」のだとか。

 トレーニングルームにこもれば、チームメートが部屋をそそくさと出ていく。同じ腹筋・背筋のメニューを課せられると分かっているからだった。

 「サダ、やれ」と言われて平沼さんはこなした。「自分にしたら明らかにやりすぎの量だった」。練習前だから、試合に影響が出る。

 「投げていて腹がつったからね。腹がつるなんて後にも先にも、あの1度きりだよ」。村田さんは走り、鍛えていた。


「野球選手だろ。持ち方が違う」


 村田さんが飲むお酒の量は「ほどほどだった」という。

 1980年代後半。世の中のブームも後押しして、野球選手は焼酎からウイスキーに移行していた。

 村田さんはコップに注ぎ、常温の水で割る。体を冷やすから氷は入れない。フォークを意識するように、人さし指と中指の2本でコップを持ち上げ、流し込む。

 平沼さんがコップをわしづかみすると、頭をたたかれた。「野球選手だろ。持ち方が違う」。指導だった。


 頼もしくもあった。1989年9月23日の西武戦(西武球場)。清原和博さんに死球を与えて、バットを投げられる。

 カッカしていた平沼さんは、翌日に清原さんから謝罪を受ける。選手会長・辻発彦さんに連れられた清原さんを見る。平沼さんの後ろで、にらみを利かせていたのが村田さん。

 「村田さんが何を言ったのかは覚えていないんだけど、叫んでいたのは覚えている」。味方のベテランに守られているのが分かり、妙にうれしかった。


 引退後も気に掛けてもらった。平沼さんはロッテから中日に戻り、その後は打撃投手に転身する。

 ホームの一塁ベンチ裏には、スタッフの小部屋がある。そこが平沼さんの居場所。新聞の評論やテレビ解説で足を運んだ村田さんは、きまって小部屋に来る。ニコニコして、近況を話していたという。

 豪快で仲間思い。他界した右腕のエピソードは、恩を感じた後輩たちが語り継ぐ。
 

文=川本光憲(中日スポーツ・ドラゴンズ担当)

【PR】千葉ロッテマリーンズを観戦するなら「DAZN Baseball」

吉井監督体制2年目を迎えるロッテ。"令和の怪物"佐々木朗希がエースとしてフル回転し、チームを悲願のリーグ制覇へ導けるか注目!

「DAZN Baseball」とは、月額2,300円(税込)でDAZNのプロ野球コンテンツをすべて楽しめるプランです(月々払いの年間プランのみ)。

プロ野球だけを楽しみたい方は、月額4,200円(税込)のDAZN Standard​よりも1,900円お得に視聴できます。

POINT

ペナントシリーズ、交流戦、CSまで余さず堪能できる!

② オフシーズンもドキュメンタリーやバズリプレイなどコンテンツが充実!

毎月2,300円でライブ配信・見逃し配信・ハイライトまで視聴可能!

【PR】「DMM×DAZNホーダイ」でプロ野球を観よう!

「DMM×DAZNホーダイ」とは、DMMプレミアムとDAZN Standardをセットで利用できるプラン。

単体契約ならDMMプレミアム月額550円(税込)、DAZN Standard月額4,200円(税込)のところ、本プランなら月額3,480円(税込)だからとってもお得です。

POINT

① 「DMM×DAZNホーダイ」なら単体契約より月額1,270円(税込)も安い!

② DAZNだけの契約と比較しても月額720円(税込)お得に楽しめる!

③ 新規入会月から最大3カ月間、「DMMポイント」を550ポイント付与!

ポスト シェア 送る

もっと読む

  • ALL
  • De
  • 西