データで振り返る!メジャー日本人選手の2022年:第2回・大谷翔平(打者)
先日発表されたア・リーグのMVP。大谷翔平はアーロン・ジャッジ(ヤンキース)に次ぐ2位に終わった。
2年連続の受賞は逃したが、今季は打席数と投球回数の両方で規定に到達する史上初の偉業を成し遂げた。
投打にわたって一線級のレベルを誇った大谷が残した今季のWAR(=勝利への貢献度/Fangraphs版)は9.5。これは昨季の8.0を大きく上回った。
ところが、今季のジャッジはそれをさらに上回る11.4。これではMVPの勲章がジャッジの手に渡ったのも致し方なかったか。
それでも、トップのジャッジには差をつけられたものの、メジャー3位でナ・リーグ1位のマニー・マチャド(パドレス)が7.4なので、3位以下には大差をつけていた。もし大谷がジャッジと別のリーグなら、文句なしにMVPを受賞していただろう。
「ホーム/アウェイの差」が顕著に
今季の大谷のWARを投手と打者に分けて見ると、前者が5.6、後者は3.8とやや差があった。
昨季は投手が3.0、打者が5.0だったので、今季は投手としての活躍が目立つ1年だったといえる。
打者として物足りなさを感じさせたのは、やはり本塁打の減少が原因だろう。
今季放った34本は昨季から12本も減少。特に際立っていたのが、ホームとアウェイでの打撃成績の違いである。
今季の大谷の打棒を改めて振り返ると、ホームのエンゼルスタジアムで活躍していた印象が強い。
実際にアウェイでは打率.233、13本塁打、OPS.747という平凡な数字だったが、ホームでは打率.314、21本塁打、OPSは1.005と、その差は一目瞭然である。
OPSを昨季と比較すると、ホームでは1.003とほぼ変わらなかったが、アウェイが昨季の.926から.747へ、200ポイント近くも減らしていた。敵地での打撃不振がそのままシーズン打撃成績に直結していたと言える。
昨季と異なる点と言えば…
さらに細かく数字を見ていくと、本塁打の減少に最も影響を及ぼしたのは、バレル率の悪化だったことが分かる。
昨季はメジャー全体で2位の22.3%だったバレル率だが、今季は同7位の16.8%。つまり100打席あたりで考えると、長打性の当たりが6本も減っていたことになる。
それでもメジャー全体で7位と高水準なのだが、それを低いと思わせてしまうのが打者・大谷のすごいところともいえるか。
最後に、来季に向けてポジティブな要素をひとつ挙げておきたい。それがシーズン後半戦に成績を向上させたことである。
今季はオールスターまでの前半戦で打率.258、OPS.835と打撃はやや低調。ところが、後半戦に打率.293、OPS.928と数字を大きく伸ばした。
これは疲れを見せた夏場に成績を落とした昨季とは正反対の傾向。W規定に達しつつ、その中で打撃成績を伸ばしたことは、打者・大谷の自信になったはずだ。
文=八木遊(やぎ・ゆう)