明治神宮大会で活躍した逸材たち【大学生編】
11月18日から24日まで行われた『明治神宮野球大会』。
アマチュア野球の主要カテゴリーを締めくくる大会としてもお馴染みの大舞台。今年は高校の部が大阪桐蔭、大学の部は明治大の優勝で幕を閉じた。
今秋のドラフト会議で指名を受けた選手の発表会が各球団で行われている中、この大会では早くも来年のドラフト会議に向けたアピールを見せた逸材たちが数多くいる。
スカウト陣へアピールした選手は誰だったのか、カテゴリー別にピックアップして紹介したい。前回の高校生編につづいて、今回は今回は大学生編だ。
大勢のような高評価も…?
大学生で最も強烈なインパクトを残した選手と言えば、松本凌人(名城大/投手)だろう。2年時から主戦として活躍しており、今年は大学日本代表にも選ばれた本格派サイドスローである。
この秋は抑えを任されることが多かったが、明治神宮大会でも全3試合にリリーフで登板。6回1/3を投げて被安打1、9奪三振で無失点と圧倒的な成績を残して見せた。
最速151キロをマークしたストレートは、変則のサイドスローから投げ込まれることから、打者からすると数字以上に怖さがある。
また、昨年までと比べて大きく成長したのが変化球で、140キロを超えるカットボール、130キロ台中盤のスライダーとフォークは、全て勝負球として使えるボールだった。
独特のフォームは唯一無二のとも言えるもので、イニングをまたいでも球威が落ちないスタミナも魅力。今年セ・リーグの新人王を獲得した大勢(巨人)のように、高い評価でプロ入りする可能性も高いだろう。
明治大・村田賢一と大阪商業大・上田大河に注目
松本に続く投手となると、村田賢一(明治大)と蒔田稔(名城大)。さらに武内夏暉(国学院大)、岩井俊介(名城大)、上田大河(大阪商業大)、高太一(大阪商業大)、坂元創(九州共立大)などの名前が挙がる。
なかでも今大会抜群の安定感を見せたのが、優勝投手になった村田だ。
ストレートは140キロ前後ながら、数字以上に回転の良さを感じるボールで、緩急の使い方も上手い。関西大戦は1失点完投、決勝の国学院大戦では完封と、相手打線を寄せ付けなかった。ストレートに凄みが出てくれば、ドラフト候補に浮上してくることも考えられるだろう。
一方、実績で一歩リードしているのが上田だ。
松本ともに大学日本代表にも選ばれており、今大会も初戦の環太平洋大戦では雨でコンディションが悪い中でしっかりと試合を作り、ストレートは最速147キロをマークしている。順調にいけば、来年、関西の大学球界をリードする存在となるだろう。
野手は上武大・進藤勇也、明治大・上田希由翔が目立つ
野手は投手に比べると、3年生に目立つ選手が少なかった。
だが、そんな中で双璧と言える存在だったのが進藤勇也(上武大/捕手)と上田希由翔(明治大/三塁手)の2人だ。
進藤は初戦で名城大に敗れたものの、盗塁阻止と牽制で2つ走者を刺すなど、持ち味である強肩を披露した。
イニング間のセカンド送球では少し力を抜いてワンバウンドになることが多いのは気になるものの、それでも送球タイムはコンスタントに1.8秒台をマーク。アマチュア全体でトップクラスのスローイング能力を誇る。タイプの違う投手の良さを引き出すリード面も持ち味だ。
そして、高校時代と比べて大きく成長したのがバッティングである。少しアウトステップ傾向なのは気になるとはいえ、下半身の強さを感じるスイングで軽々とスタンドに運ぶ長打力を誇る。貴重な“打てる捕手”として今後も注目を集めそうだ。
上田は、高校時代から愛知県内で評判だった左の強打者。大学入学後も着実にスケールアップを果たし、大学日本代表に選ばれている。
パワーはもちろんだが、スイングに柔らかさがあり、センターを中心に広角に鋭い当たりを放つ。大型選手にもかかわらず、脚力が抜群で、高校時代は投手も務めていただけあって肩の強さも申し分ない。内野も外野も守れる器用さがあるのも魅力だ。
昨年この大会で活躍した萩尾匡也(慶応大→巨人2位)は、最終学年でも大きな成長を見せ、上位指名でのプロ入りを勝ち取っている。来年もここで紹介した選手から、上位指名でプロ入りする選手が出てくることを期待したい。
☆記事提供:プロアマ野球研究所