日本ハムの選択は…?
1月を迎え、プロ野球・12球団のキャンプインまで1カ月を切った。
いよいよ2023年シーズンに向けた戦いが迫ってきているが、FA市場の中で"越年"状態となっている事項がまだ残っている。日本ハムからソフトバンクに移籍した近藤健介の補償である。
近藤は所属元の日本ハムで年俸1位~3位の"Aランク選手"にあたるとみられ、日本ハムは「金銭補償」か「金銭プラス人的補償選手1名」を要求することができる。
プロテクトリストは年内にソフトバンクから日本ハムへ届いていると報じられており、日本ハムの稲葉篤紀GMも「良い選手はいる」とコメント。人的補償を選択する可能性が高いと見ていいだろう。
人的補償として他球団に移籍した選手のうち、移籍先で大きな飛躍を見せた選手というと、一岡竜司(広島)の名前が真っ先に思い浮かぶという人も多いのではないか。
2013年のオフ、FA権を行使して広島から巨人へ移籍した大竹寛の人的補償として広島に入団した一岡は、移籍1年目の2014年から勝ちパターンの中継ぎとして活躍。2016〜2018年にかけた広島のリーグ3連覇に大きく貢献した。
では、野手はどうだろうか。ここで、過去にFA権行使に伴う人的補償として他球団に移籍し、新天地で存在感を放った野手を振り返ってみたい。
「日本ハムの~」と認識される選手になれるか
人的補償野手の代表格となると、2007年オフにヤクルトから西武へFA移籍した石井一久の人的補償としてヤクルト入りした福地寿樹になるだろうか。
福地は移籍1年目の2008年から1番打者に定着。持ち前の俊足を活かして自身初のタイトルとなるセ・リーグ盗塁王を獲得すると、翌2009年にも2年連続で盗塁王に輝いた。
その鮮烈な活躍のほか、ヤクルトが最終所属球団ということもあり、今や「ヤクルトの福地」という印象が強いという野球ファンも多いはずだ。
また、福地と同じ2007年オフに、広島から阪神へFA移籍した新井貴浩の人的補償として広島に入団した赤松真人も移籍先での活躍が目を引いた選手だ。
阪神時代には一軍出場が3年間でわずか36試合にとどまっていた赤松だが、広島では移籍1年目の2008年にいきなり125試合に出場。翌2009年には、開幕スタメン入り、規定打席到達、オールスターゲーム出場など、いくつもの「自身初」の経験を果たし、充実のシーズンを送った。
2010年に村田修一(横浜)が放った左中間への大飛球をフェンスによじ登って好捕したスーパープレー、胃がん発症からの復帰などファンの印象に強く残るエピソードも多く、赤松もまた野球ファンのなかで「広島の赤松」となった選手だろう。
また、福地や赤松とはちがった意味合いで移籍先での存在感が光ったのが、2018年オフに広島から巨人へFA移籍した丸佳浩の人的補償となった長野久義だ。
移籍時点ですでに34歳となっていた長野。純粋なプレーヤーとしての働きという意味では、広島時代の成績は移籍前の巨人時代に残した成績には遠く及ばなかったかもしれない。しかし、その高いコミュニケーション能力によって外国人選手も含めた同僚選手のまとめ役としてチームに欠かせない選手だったはずだ。
果たして、近藤の人的補償となるのは誰なのか。そして、将来的に「日本ハムの~」といわれる選手になれるのか。日本ハムファンならずとも注目したいところだ。
文=清家茂樹(せいけ・しげき)