世界一奪還へ、あと3つ……
『カーネクスト 2023 WORLD BASEBALL CLASSIC™ 準々決勝ラウンド 東京プール』が15日に東京ドームで開幕。初戦はキューバがオーストラリアを破り、一番乗りで準決勝進出を決めた。
16日は1次ラウンド・プールBを全勝で突破した野球日本代表・侍ジャパンが出陣。アメリカ・マイアミ行きのチケットをかけて、大混戦のプールAを2位で通過してきたイタリアと激突する。
ここからの戦いは一発勝負のトーナメント形式。準々決勝の勝者はアメリカへと渡り、4強が集う決勝ラウンドへ。つまり、侍ジャパンが3大会ぶりの優勝を飾るためには、残り3試合を全勝する必要がある。
1次ラウンドではライバルチームに力の違いを見せつけた侍ジャパンだが、一戦必勝で臨む準々決勝以降は、相手関係だけでなくプレッシャーの類も変わってくるだろう。
4試合で計38得点の打棒を見せつけた打撃陣では、大谷翔平を中心にラーズ・ヌートバーや近藤健介といった上位打線を担う選手がスポットライトを浴びてきたが、いずれもWBCの出場は今回が初めて。そこで、これから先は前回大会で酸いも甘いも嚙み分けた山田哲人がカギを握るとみる。
前回大会の悔しさを知る男
今大会の野手メンバーでは唯一、WBCでのプレー経験があった山田。24歳で迎えた6年前は、2年連続で“トリプルスリー”を達成した直後のまさに全盛期だった。
その時は守備の名手・菊池涼介が二塁を担っていたため、山田は指名打者(DH)としての起用がメイン。1次ラウンドではキューバ・オランダ・中国と対戦し、山田は1番と3番で全3試合に先発したが、打率.167と不振に苦しんだ。
ところが、オランダ・キューバ・イスラエルとの2次ラウンドでは打棒もすっかり回復。キューバ戦では2本塁打を含む3安打3打点と大爆発し、勝利に大きく貢献した。続くイスラエル戦でも2安打の活躍で、チームを決勝ラウンドへと導いている。
そして、負ければ終わりの準決勝はアメリカとの対戦。この大一番で「1番・指名打者」に起用された山田は、初回に死球での出塁があったが、続く2打席はあえなく凡退。
アメリカに1点を勝ち越された直後に回ってきた8回裏の4打席目では、犠打を決めたものの得点には結びつかず。結局、日本はそのまま1-2で敗れ、決勝進出を逃した。
あれから6年ぶりに迎えた今大会。山田は1次ラウンドの4試合中3試合に出場している。
大会前の強化試合や壮行試合では極度の不振に苦しんだが、初戦の中国戦は途中出場で1打数1安打。いきなり快音を響かせると、韓国戦では出番がなかったが、続くチェコ戦は「6番・二塁」でのスタメン起用に応え、3打数1安打・2四球の活躍を見せた。
しかし、オーストラリアとの最終戦は5打数無安打で3三振。試合を重ねるごとに調子は上向いてきたとはいえ、まだまだ本調子とはいえない状態だ。
一戦必勝態勢で臨む準々決勝以降、山田がスタメンで起用される可能性は決して高いとはいえないが、その経験値が必要となる場面は必ず巡ってくるはず。
意地とプライドをかけて、6年前のリベンジに燃える山田哲人の奮起に期待したい。
文=八木遊(やぎ・ゆう)