コラム 2023.06.16. 07:44

一死無走者でまさかの“送りバント”…?セ・パ交流戦にまつわる「珍事集」

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今年の交流戦もいよいよ大詰め (C) Kyodo News

今年も話題を集める珍事が続発


 5月30日に開幕したセ・パ交流戦もいよいよ大詰め。金曜日からの3連戦が終わると、残すは雨天中止分の振替試合のみとなる。

 今年もバント空振りから重盗を成功させた日本ハム・新庄剛志監督のトリックプレーまがいの奇襲作戦をはじめ、体重115キロ(公称)の西武・渡部健人が決めた驚きのプロ初本盗、阪神ファンとロッテファンによる甲子園でのブーイング合戦などなど、ファンを楽しませる珍プレーや珍ハプニングが話題を呼んだ。

 普段とは違う戦いの中であっと驚く珍事が起こるというのは、過去の交流戦でもたびたび見受けられた。今回はそんなちょっと懐かしい場面の数々をプレイバックしてみよう。


敬遠球で奇襲作戦


 敬遠球を投じた隙に二塁走者が三盗を成功させる珍事が起きたのが、2005年6月5日の巨人-ソフトバンクだ。

 2-1とリードしたソフトバンクは9回、先頭の城島健司が遊ゴロの一塁悪送球の間に一気に二進し、無死二塁のチャンス。もう1点もやれない巨人・堀内恒夫監督は、一塁が空いたところで次打者フリオ・ズレータの敬遠を指示した。

 ところが、2ボールから久保裕也の3球目が「ふわっとした感じだった」のを見た二塁走者の城島は、迷うことなくスタートを切る。

 まったく無警戒だった巨人バッテリーは「走ってくるなんて、まったく頭になかった」(久保)と完全に意表を突かれ、捕手・阿部慎之助が送球したときには、すでに手遅れ。2年前まで城島とチームメイトだったサード・小久保裕紀も「7回に二塁にいるときは、(バッテリーに)『あいつは三盗あるから気をつけろ』とは言っていた。あいつは二盗より三盗が多い。でも、敬遠の場面では、想像できなかった」と振り返り、三塁ベースに離れた位置に立っていた。

 阿部も「タイミングを計られてましたよ。恥だよ、恥」と臍を噛んだが、このあと、二死満塁から大村直之にダメ押しの右翼線2点適時二塁打を打たれ、結果的に痛恨のボーンヘッドとなった。

 一方、足でチームの勝利に貢献した城島は「足が速い川﨑(宗則)なら警戒される。足が遅い僕だから、できるプレーでしたね」と、してやったりの表情。申告敬遠が導入された現在では、こんな奇襲作戦も見ることができなくなった。


パ・リーグの投手がスイッチヒッター


 ふだん打席に立つことがないパ・リーグの投手が左右の打席に入り、両打ちを披露する珍場面が見られたのが、2013年5月15日のヤクルト-西武だ。

 西武の先発・牧田和久は1-0の2回、一死二・三塁の第1打席で左打席に立った。

 登録では右打ちのはずなのに「なぜ左で?」とスタンドのファンも目を白黒。「けっこうざわついてましたね」といたずらっぽく笑った牧田だが、実は高校(静清工)時代はスイッチヒッターだった。

 前年まで交流戦は右手を守るためにすべて右打席に立っていたが、「左のほうが振りやすいし、少しでも打てる確率の高い左で行こう」と考えたのだ。

 だが、追加点が欲しい場面で自らのバットで打点を挙げようという左打ち作戦も、結果は三振。4回一死の2打席目も左で打ったが、再び三振に倒れた。

 ところが6回の3打席目、牧田はネクストサークルで右打者用のヘルメットをかぶって待機した。先頭の炭谷銀仁朗が出塁した場合、送りバントも想定していたからだが、炭谷が三ゴロに倒れて一死無走者となっても、そのまま右打席へ。かくして、1試合で投手による左右両打席の珍事が実現したが、結局、3打席連続三振に終わった。

 とはいえ、本職の投手としては7回3失点で4勝目。この日の西武打線は大量9得点とあって、“9人目の打者”が不発でも大勢に影響はなかったようで。


「打撃マシンの球が速過ぎて怖い」


 走者がいない場面で送りバントという意味不明な出来事が起きたのが、2013年5月28日の中日-ロッテだ。

 2-0とリードの中日は5回、一死無走者で投手のダニエル・カブレラが打席に入った。

 打撃が苦手で、メジャー時代も安打を記録したことがなく、来日後も14打数13三振とまったく当たっていないカブレラは、バントの構えから藤岡貴裕の初球を見送った。

 そして、2球目もバントの構えから今度は本当に送りバントをして、捕ゴロに倒れた。スタンドのファンは「走者もいないのになぜ?」と首を傾げたが、実はバントの下手なカブレラに実戦で練習させたというのが真相だった。

 カブレラは5月14日の日本ハム戦で、同点の4回無死一塁のチャンスに送りバントで走者を進めることができず、三振に倒れた。試合は5-4で勝ったものの、1点を争う試合においてはバントの成否が明暗を分けることがあるのも事実だ。

 高木守道監督は「いくら投げるのが本職でも、バントぐらいはしっかり決めろ」と翌15日の試合前、カブレラにバント練習を命じた。当初は「打撃マシンの球が速過ぎて怖い」と泣きを入れたカブレラだったが、現役時代に通算451犠打を記録した平野謙コーチの指導を受け、何とかボールがバットに当たるまでに上達。さらに念には念を入れて、実戦でも送りバントを練習させたという次第。

 そんな涙ぐましい努力を経て、カブレラは交流戦後の7月27日・巨人戦で野球人生初の送りバントを成功させている。


文=久保田龍雄(くぼた・たつお)

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