メジャー関係者の間で日本人投手の評価はすこぶる高い。
今オフにも米挑戦が有力視される山本由伸(オリックス)や、今永昇太(DeNA)らはもとより、「投手としての素材は大谷以上」と激賞される佐々木朗希(ロッテ)らの特Aランクがズラリ。さらに若手に目を向ければ平良海馬(西武)、高橋宏斗(中日)らもいる。
面白い存在として話題を集めているのが、高卒3年目の逸材・山下舜平大(オリックス)だ。
この春にデビューすると破竹の5連勝。今月9日のDeNA戦では超大物助っ人のトレバー・バウアーと投げ合って初黒星を喫したが、「サイ・ヤング賞男」がその将来性を高く評価、再戦を希望したと言う。メジャーの獲得リストに名を連ねるのも時間の問題だろう。
彼らに共通しているのは、150キロ中盤から160キロ近い快速球を投げ、三振を奪えるウィニングショットを持っていること。しかもコントロールが良くて試合を作れる。レベルの高い日本人投手は、メジャーでも引く手あまた。“日本詣で”は益々加熱の度を増して行く。
こうした近年の日本人投手のレベルアップに貢献するキーマンがいる。パドレスのエース・ダルビッシュ有だ。
世界一に駆け上ったWBC侍ジャパンの影の功労者。2月の強化合宿にメジャーリーガーとしてただ一人合流すると、“伝家の宝刀”スライダーの握り方や投球術を惜しげもなく伝授する。プライベートでも再三にわたって「投手会」を主宰して結束を高める。「ダルビッシュ教室」の効果は絶大で佐々木朗や戸郷翔征(巨人)らが新たな球種を習得、“ダル教信者”は日に日に増えていった。
昨オフ、パドレスと新たに6年契約を結んだ。36歳からの長期契約はメジャーでも異例で、いかにチームにとって必要不可欠な存在かを物語っている。
日本時間の今月10日にはロッキーズ戦に勝利してMLB通算100勝を記録、日米通算200勝にもあと7つと迫っている。
長寿の秘訣は飽くなき研究と向上心にある。以前から動作解析機器の「ラブソード」などを使って、自らの投球の球速やボールの回転数、最善のリリースポイントなどの改善に取り組んできた。
11日付の『スポーツニッポン紙』では現地で取材する奥田秀樹通信員がこんなエピソードも紹介している。
昨年のパドレス本拠地のクラブハウスで、チームのデータベースを使って相手選手の研究に没頭。打ち取った時の球種やコースに対戦打率まで調べ上げて「個人用のスカウティングレポート」まで作成していたと言う。
その多彩な変化球は10種とも、12種類とも言われる。それでもさらに上を行く研究を怠らないのだから、「野球博士」の面目躍如だ。
今では、プロ野球を志す若者たちの多くが「将来はメジャーで活躍したい」と大志を抱く。彼らはインターネットを駆使して、ダルビッシュの投球術を学び、メジャーの流儀を吸収していく。日米の垣根は年々低くなり、そこに「野球伝道師」と化したダルビッシュの影響も見て取れる。
野茂英雄やイチローなどのパイオニアが、挑戦して結果を残すことで、メジャー関係者の日本人プレーヤーへの見る目は変わっていった。今は大谷翔平と言う太陽のような存在がいる。「メイドイン・ジャパン」の商品価値は飛躍的に上がり、今日も各球団担当は日本レポートの作成に追われている。
文=荒川和夫(あらかわ・かずお)
今オフにも米挑戦が有力視される山本由伸(オリックス)や、今永昇太(DeNA)らはもとより、「投手としての素材は大谷以上」と激賞される佐々木朗希(ロッテ)らの特Aランクがズラリ。さらに若手に目を向ければ平良海馬(西武)、高橋宏斗(中日)らもいる。
面白い存在として話題を集めているのが、高卒3年目の逸材・山下舜平大(オリックス)だ。
この春にデビューすると破竹の5連勝。今月9日のDeNA戦では超大物助っ人のトレバー・バウアーと投げ合って初黒星を喫したが、「サイ・ヤング賞男」がその将来性を高く評価、再戦を希望したと言う。メジャーの獲得リストに名を連ねるのも時間の問題だろう。
彼らに共通しているのは、150キロ中盤から160キロ近い快速球を投げ、三振を奪えるウィニングショットを持っていること。しかもコントロールが良くて試合を作れる。レベルの高い日本人投手は、メジャーでも引く手あまた。“日本詣で”は益々加熱の度を増して行く。
多くの若者がダルビッシュの投球術を学び、メジャーの流儀を吸収していく
こうした近年の日本人投手のレベルアップに貢献するキーマンがいる。パドレスのエース・ダルビッシュ有だ。
世界一に駆け上ったWBC侍ジャパンの影の功労者。2月の強化合宿にメジャーリーガーとしてただ一人合流すると、“伝家の宝刀”スライダーの握り方や投球術を惜しげもなく伝授する。プライベートでも再三にわたって「投手会」を主宰して結束を高める。「ダルビッシュ教室」の効果は絶大で佐々木朗や戸郷翔征(巨人)らが新たな球種を習得、“ダル教信者”は日に日に増えていった。
昨オフ、パドレスと新たに6年契約を結んだ。36歳からの長期契約はメジャーでも異例で、いかにチームにとって必要不可欠な存在かを物語っている。
日本時間の今月10日にはロッキーズ戦に勝利してMLB通算100勝を記録、日米通算200勝にもあと7つと迫っている。
長寿の秘訣は飽くなき研究と向上心にある。以前から動作解析機器の「ラブソード」などを使って、自らの投球の球速やボールの回転数、最善のリリースポイントなどの改善に取り組んできた。
11日付の『スポーツニッポン紙』では現地で取材する奥田秀樹通信員がこんなエピソードも紹介している。
昨年のパドレス本拠地のクラブハウスで、チームのデータベースを使って相手選手の研究に没頭。打ち取った時の球種やコースに対戦打率まで調べ上げて「個人用のスカウティングレポート」まで作成していたと言う。
その多彩な変化球は10種とも、12種類とも言われる。それでもさらに上を行く研究を怠らないのだから、「野球博士」の面目躍如だ。
今では、プロ野球を志す若者たちの多くが「将来はメジャーで活躍したい」と大志を抱く。彼らはインターネットを駆使して、ダルビッシュの投球術を学び、メジャーの流儀を吸収していく。日米の垣根は年々低くなり、そこに「野球伝道師」と化したダルビッシュの影響も見て取れる。
野茂英雄やイチローなどのパイオニアが、挑戦して結果を残すことで、メジャー関係者の日本人プレーヤーへの見る目は変わっていった。今は大谷翔平と言う太陽のような存在がいる。「メイドイン・ジャパン」の商品価値は飛躍的に上がり、今日も各球団担当は日本レポートの作成に追われている。
文=荒川和夫(あらかわ・かずお)