コラム 2023.08.23. 06:00

夏の甲子園決勝は「仙台育英-慶応」! 勝敗を分ける3つのポイントとは?

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第105回全国高校野球選手権記念大会 (C) Kyodo

「連覇」か「107年ぶり」か…いよいよ夏の王者が決定


 夏の甲子園は準決勝の2試合を終え、残すは1試合のみとなった。

 23日に行われる注目の決勝は、夏連覇を目指す仙台育英(宮城)と、107年ぶりの優勝を目指す慶応(神奈川)による一戦。地区予選から無敗のまま頂点を極めるのは果たしてどちらのチームとなるのか、ポイントを3つに絞ってみた。

1. 『疲労』

 史上初めてクーリングタイムが設けられた今大会だが、例年以上の炎天下での試合が続いた。大会の初日に登場した仙台育英は、決勝が6試合目。一方の慶応は2回戦から登場し、次が5試合目となる。

 消化した試合数が異なるチーム同士が決勝戦で対戦するのは、2015年以降3度目で、過去2回はどちらも1回戦から登場したチームが苦杯をなめている。

●2021年=3回戦から登場の智弁和歌山が、1回戦から登場の智弁学園に勝利(智弁和歌山は2回戦を不戦勝)
●2015年=2回戦から登場の東海大相模が、1回戦から登場の仙台育英に勝利

 疲労度を考えると、試合数が1つ少ない慶応が有利にも見えるが、準決勝の土浦日大戦で慶応のエース小宅雅己投手は118球を投げ完投。中1日でどれだけ回復しているかは大きなポイントだ。いずれにしても両チームともに継投が予想されるだけに、監督の采配も重要となるだろう。


2. 『先制点』

 野球界のセオリーの一つでもある“先制点”。今大会はドラマチックな逆転劇も少なくないが、やはり決勝ともなると、先制点を奪って主導権を握りたいところだ。今大会を通してみても、先制点を挙げたチームが33勝14敗で、勝率は7割を超えている。

 仙台育英は、5試合中4試合で先制。リードを許したケースは履正社戦と神村学園戦で2度あるが、どちらも直後の攻撃ですぐさま同点に追いついている。つまり、大会を通じて終始試合を優位に進めているということだ。

 慶応は、4試合中3試合で先制。リードを許したケースは準々決勝の沖縄尚学戦のみで、4回裏に2点を先制されたが、6回表に一挙6点を奪って逆転に成功すると、そのまま逃げ切っている。仙台育英と同様にこちらもほぼリードを奪われることなく勝ち上がってきている。

 どちらも先制点を奪って、試合を優位に進めたいところだろう。


3. 『ファンの声援』

 空席も目立つ今大会だが、1試合だけの決勝は満員御礼が予想される。試合がもつれるようなら終盤は会場のボルテージも最高潮となるだろう。過去には決勝の独特な雰囲気にのまれ逆転負けを喫する試合も多々あった。

 慶応とすれば、清原勝児選手を代打に送るタイミングが一つのカギになり得る。準々決勝の沖縄尚学戦では、6回に代打で登場すると、観衆は大盛り上がり。自身は2打席凡退に倒れたが、逆転劇の“雰囲気”を作り出した。

 春のセンバツでは、初戦の仙台育英戦に5番でスタメン出場した清原。延長10回表に2死満塁の勝ち越しチャンスに打席に立ったが、三振に倒れるなど、5打数1安打と悔しい結果に終わっている。決勝の大舞台で安打を放つようなら一気に流れが慶応に傾く可能性もあるだろう。

 いずれにしても両校の選手たちには最高の舞台で最高のパフォーマンスを披露してもらいたい。


文=八木遊(やぎ・ゆう)
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