コラム 2023.11.06. 21:29

もがき苦しむ元王者たち【白球つれづれ】

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ソフトバンクへトレードされた巨人・ウォーカー (C)Kyodo News

白球つれづれ2023・第45回


 日本シリーズ一夜明けの6日、巨人とソフトバンク両球団は交換トレードを発表した。巨人からはアダム・ウォーカー外野手、ソフトバンクからは高橋礼、泉圭輔両投手が移籍する1対2のトレードだ。

 米独立リーグから巨人入りしたウォーカーは、来日1年目の22年には打率.271、本塁打23本の好成績を残したが、守備に不安面があり、今季は控えに回ることが多く57試合の出場に終わった。

 ソフトバンクの高橋礼は入団2年目の19年には12勝をあげて新人王受賞。プレミア12の日本代表にも選出されたサブマリン投手だが、ここ数年は故障と制球難で出番が減っていた。最速150キロ超えの泉は、主に中継ぎとして活躍してきたが今季は一軍登板が3試合と激減したものの、両投手ともファームでは安定した成績を残している。いずれも新天地で再び花開く可能性を秘めたトレードと言えるだろう。

 巨人とソフトバンクと言えば共に一時期はリーグの覇者として君臨した元チャンピオンチームである。共に21年から3年連続でリーグ優勝を逃し、巨人に至っては2年連続Bクラスに転落している。巨人・阿部慎之助、ソフトバンク・小久保裕紀両監督が来季から指揮をとるのも強豪復活に向けて背水の陣を敷いた格好だ。


 巨人再建の最大ポイントは投手陣の強化に尽きる。

 長年、大黒柱として活躍した菅野智之に衰えが目立ち、10勝以上を計算できるのは戸郷翔征と山﨑伊織だけ。救援陣の防御率も3.81とリーグワーストではペナント奪還もおぼつかない。一方でチーム全体の若返りも喫緊の課題。すでに先月の時点で中島宏之、鍵谷陽平選手ら大量7選手に戦力外通告を行い、ドラフトでは1位の西舘勇陽投手(中大)以下、5位の又木鉄平選手(日本生命)まで、全て大学、社会人から指名している。異例とも言えるドラフト戦略は若返りと同時に即戦力が絶対的に欲しいチーム事情が反映している。


 ソフトバンクもまた、大幅な改造に迫られている。

 千賀滉大投手のメジャー流失で投手陣も苦しいが、全盛期に比べて打線の老齢化と迫力不足が解消されるかがカギを握る。特に工藤公康元監督時代に猛威を振るっていたアルフレド・デスパイネ、ユリスベル・グラシアルの両助っ人を欠いた現在では柳田悠岐、近藤健介選手の前後を打つ強打者が不在。今宮健太や中村晃選手らも含めて、いずれも30代では先行きが不安視される。だからこそのウォーカー獲得だった。


今オフ巨人とソフトバンクが「マネーゲーム」に参戦するか注目


 この秋の球界全体を見ると「嵐のオフ」となるのは間違いない。

オリックスの絶対エース、山本由伸を筆頭に日本ハム・上沢直之投手がポスティングによるメジャー挑戦を表明。さらに楽天・松井裕樹やDeNA・今永昇太投手らもメジャーを視野に入れている。

 FAでも西武・山川穂高、オリックス・山﨑福也、広島・西川龍馬、ヤクルト・田口麗斗選手らの去就が注目され、巨人では中田翔や丸佳浩と言った大物選手の動向も見ものだ。


 近年、新外国人選手の“不作”が続いている。メジャー自体が人材不足に泣いているうえに、円高とMLBのサラリー上昇が止まらない。そのため、日米格差が広がり優秀な助っ人獲得につながらない。ドラフトによる新人補強に期待はしても今すぐ計算が立つわけではない。そうなれば各球団ともに、若手の育成はもちろん、国内のFAとトレードで活路を見出したいのが現状だ。

 過去には大型補強を意味する「マネーゲーム」と言えば巨人とソフトバンクの独壇場だった。

 巨人は近年、FA戦線から撤退したかに見えるが、今季は参戦が予想されている。ソフトバンクは昨年も日本ハムから近藤、ロッテからロベルト・オスナ、さらにメジャーから出戻りの有原航平まで獲得して「80億円補強」と話題を呼んだ。

 今回の巨人とソフトバンクの交換トレードはまだ嵐の序章。この先も金満球団と呼ばれる両チームを中心に激しい補強作戦が展開されるのは確実だ。

 いつまでも、関西に話題をさらわれているわけにはいかない。


文=荒川和夫(あらかわ・かずお)

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