コラム 2023.12.12. 06:14

独立リーグは“宝の山”か…!? NPB入りをめざす“有望株”が続々と入団 ドラフト上位候補に浮上しそうな右腕も

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工藤泰成(東京国際大→徳島インディゴソックス)【写真提供・プロアマ野球研究所】

東京国際大の注目右腕が独立リーグへ


 今年のドラフト会議では、独立リーグ勢が躍進した。大谷龍輝(富山GRNサンダーバーズ→ロッテ2位)、椎葉剛(徳島インディゴソックス→阪神2位)の2人が上位指名を受けたのを皮切りに、支配下で6人、育成で17人の合計23人の名前が呼ばれたのだ。

 2位という順位は、又吉克樹(香川オリーブガイナーズ→2013年中日2位)と並ぶ独立リーグ史上最高順位である。さらに、「23人」という数字も歴代最多である。NPBへの人材供給源として、独立リーグが存在感を増していることは間違いない。

 そして、独立リーグの勢いは今オフにもよく表れている。例年であれば、強豪の大学や社会人企業チームに進んでも、おかしくない高いレベルの選手が、続々と独立リーグに活躍の場を求めている。

 東京国際大の工藤泰成は、徳島インディゴソックスに入団する。NPB球団からの注目が高かった右腕だ。

 大学3年春にリリーフで頭角を現すと、同じ年の秋から先発の一角に定着した。調子の波が大きく、リーグ戦通算成績は9勝8敗と大きく勝ち越すことはできなかったが、好調時のストレートは楽に150キロを超え、イニング数を上回る奪三振を記録している。

 フォームに目立った欠点はなく、スライダーやカットボールなど速い変化球のレベルも高い。突如、ボール球が続いて崩れるという課題を克服し、制球力を向上させれば、来年のドラフトで上位候補へ一気に浮上することが期待できそうだ。

 また、東京国際大の大型右腕、荒木隆之介も徳島インディゴソックスに進む。大学での実績は乏しいものの、リリーフで150キロを超えるスピードを誇り、今後が楽しみな存在だ。


奥川恭伸のライバルも独立リーグに進む


 一方、スケールの大きさが光る右腕もいる。国士館大から神奈川フューチャードリームスに入団する重吉翼だ。日本航空石川時代、2年春の選抜に出場し、主戦投手を任されて、準々決勝進出の原動力となった。そして、3年生になると、北陸の高校球界で星稜の奥川恭伸(現・ヤクルト)に次ぐ投手として、プロから注目を集める。

 国士舘大進学後は、下級生の頃から投手陣の一角に定着。一時はフォームを崩して調子を落としたものの、4年秋には5シーズンぶりの勝利投手となり、復調の兆しを見せた。長身で縦に腕が振れ、好調時の150キロに迫るストレートは威力がある。素材の良さは、誰もが認めるところ。独立リーグでのさらなる飛躍に期待だ。

 野手では、名城大から徳島インディゴソックスに入団する塩崎栄多に注目だ。名城大では2年秋からリーグ戦に出場すると、3年時には大学選手権、明治神宮大会で活躍し、チームの上位進出に尽力した。

 最終学年ではさらに成績を伸ばし、4年秋には首位打者とベストナインに輝いた。持ち味は、下半身の強さを生かしたフルスイング。広角に鋭い当たりを放つ。左打者が左投手を苦にしない対応力も魅力だ。守備と走塁は、そこまで飛び抜けたものがないだけに、独立リーグで打撃を磨いてNPB入りを目指したい。


 続いて、高校から独立リーグの門を叩く4人の“有望株”を見ていこう。

 修徳から徳島インディゴソックスに進む篠崎国忠は、190センチを超える超大型右腕。3年夏は調子が上がり切らなかったが、日本人離れしたスケールを誇る。

 誉から石川ミリオンスターズに入団する黒野颯太は、長身から投げ下ろす角度のあるストレートが魅力的な右腕。下半身が安定すれば、見違えるようなボールを投げる可能性が高い。

 多度津の右腕、高橋快秀は徳島インディゴソックスに入団する。細身であるが、柔らかい腕の振りが光る。フィジカル面の強化が進めば、球速が150キロを超えてくるだろう。

 一方、中越から栃木ゴールデンブレーブスに入団する関照永は、シュアな打撃が光る強打の内野手だ。セカンド、サードなど複数のポジションをこなせる。

 最後に、社会人の企業チームを経て、独立リーグに移籍する選手を紹介しよう。日立製作所を経て、神奈川フューチャードリームスに入団する安里海だ。名門・東海大相模ではエースとして活躍して、東海大に進学した。大学時代は怪我に苦しみながら、4年秋のリーグ戦で最優秀投手賞を受賞し、復活を果たした。その後、日立製作所に入社。都市対抗や日本選手権の登板はなかったものの、着実に力をつけて、今年は1年を通じて安定した成績を残した。

 特長は、ゆったりとしたモーションで球持ちの長いフォーム。コーナーに投げ分ける制球力が高い。独立リーグで圧倒的な成績を残せば、貴重な左腕だけに、高い評価を受ける可能性もありそうだ。

 独立リーグは、大学や社会人とは異なり、野球に専念できるという環境がある。このほか、在籍1年目でもドラフト指名を受けられるという大きなメリットもある。また、NPB球団との交流戦などアピールの場が多く、スカウト陣の目に留まりやすい。来年のドラフト会議で騒がれるような選手が出てくることを期待したい。


文=西尾典文(にしお・のりふみ)
☆記事提供:プロアマ野球研究所
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