コラム 2024.03.17. 07:00

「江川二世」作新学院のエース、小川哲平がドラフト上位候補に浮上へ センバツでの活躍に期待大

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作新学院・小川哲平選手【写真提供・プロアマ野球研究所】
 昨年秋は全体的なレベルが高いと言われた関東大会を制し、続く明治神宮大会でも準優勝を果たすなど、安定した戦いぶりが目立った作新学院。2年連続の出場となる選抜でも優勝候補の一角に推す声も多いが、チームの中心的存在と言えるのがエースの小川哲平だ。

▼ 小川哲平(作新学院) 
・投手 
・183センチ/92キロ 
・右投右打

<2023年秋季大会成績>
9試(59回) 防御率1.37
奪三振45  被安打37 失点11(自責点9)  与四死11
奪三振率6.86 被安打率5.64  四死球率1.68

<主な球種と球速帯>
ストレート:136~147キロ
カーブ:110~117キロ
スライダー:124~126キロ
カットボール:130~132キロ

<クイックモーションでの投球タイム>
1.22秒

 小川は栃木県日光市の出身で、中学時代は地元の日光市立落合中学の軟式野球部でプレー。中学2年の秋には硬式に比べてスピードが出づらいと言われる軟式ボールで早くも140キロ以上をマークしており、当時から評判となっていた右腕だ。作新学院進学後、1年春からベンチ入りし、県大会の決勝では早くも140キロ台のストレートを連発して期待通りのピッチングを見せた。

 しかし、小川の高校野球生活は決して順風満帆だったわけではない。1年秋に右肘を痛め、関東大会の専大松戸戦では先発を任されたものの3回途中、1失点で降板している。冬の間もなかなか状態が上がらず、昨年春の選抜は、わずか1試合、1/3回を投げただけでストレートの最速は135キロにとどまった。また、夏の栃木大会では140キロ台をマークするなど復調の兆しを見せるも、決勝の文星芸大付戦は、先発で起用され、2回を投げて2失点で降板している。

不振から脱出!明治神宮大会で“圧巻の投球”を披露


 ようやく本来の姿を取り戻したのは2年秋の新チームになってからだった。

秋の関東大会では、初戦の帝京三戦で7回を無失点、準決勝の常総学院戦でも7回を投げて2失点、自責点0と好投。そして、圧巻だったのが明治神宮大会の初戦、北海戦でのピッチングだ。

立ち上がりの1回はボールが先行したものの、三者凡退で抑えると、2回以降も安定した投球を披露。9回まで許したヒットわずかに3本、四死球0で無失点に抑え、チームを勝利に導いたのだ(試合は延長10回タイブレークで作新学院が2対1で勝利)。

北海打線は選抜以降のことを考えて、反発力が低い新基準の金属バットでこの試合に臨んでいたとのことだったが、それを割引いても小川の安定感は際立っていた。

ストレートの最速は144キロと自己最速には及ばなかったとはいえ、力を入れると常に140キロを超え、右打者にも左打者にも腕を振って内角の厳しいコースに投げられる。

変化球は、ストレートと同じ軌道から鋭く変化する130キロ台のカットボールが最大の武器だ。110キロ台のカーブ、120キロ台のスライダーも操り、どのボールもよく制球することができている。北海戦では8個の三振を奪ったが、そのうち7個が空振り三振だったというところにもボールの質の高さがよく表れている。

 堂々とした体格から高校の大先輩である“江川卓二世”と言われることも多いが、ストレートで圧倒するというよりも総合力で勝負するタイプといえる。選抜でストレートがさらに凄みを増してくれば、一気に上位候補へと浮上することも期待できそうだ。

文=西尾典文(にしお・のりふみ)
☆記事提供:プロアマ野球研究所




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