今年のドラフト戦線で中心となるのは、3月に行われた侍ジャパンの壮行試合に選出された宗山塁(明治大)、金丸夢斗(関西大)、西川史礁(青山学院大)、中村優斗(愛知工業大)という4人の大学生だ。彼らの春季リーグ戦は全て終了したが、果たして、プレーぶりはどうだったのだろうか。
▼ 金丸夢斗(関西大、投手)
<関西学生野球 春季リーグ戦成績>
6試(39回)1勝1敗 防御率0.00
奪三振52 被安打13 失点0(自責点0)与四死3(2四球・1死球)
奪三振率12.00 被安打率3.00 四死球率0.69 WHIP0.38
金丸は、最も圧倒的なインパクトを残した。開幕戦の京都大戦では0対1(※自責点0)で敗れて、リーグ戦の連勝は18でストップした。その後は1点も奪われることなく、リーグ戦を終えた。
リーグ戦の成績を単純計算すると、1試合、9回を投げて被安打3、12奪三振で毎回完封したことに相当する。全ての指標で、驚異的な数字をたたき出しており、相手チームから研究されているなかで、この成績は見事だ。リーグ戦終盤に腰を痛めて、最終週の登板は回避するも、改めて“ドラフトの目玉”であることを証明した。
▼ 中村優斗(愛知工業大、投手)
<愛知大学野球一部 春季リーグ戦成績>
8試(40回2/3)3勝3敗 防御率1.99
奪三振61 被安打29 失点12(自責点9)与四死5(3四球・2死球)
奪三振率13.50 被安打率6.42 四死球率1.11 WHIP0.79
一方、中村も持ち味を十分にアピールした。開幕戦では16奪三振で完封。翌週も5回までに12個の三振を奪っている。奪三振率は、先発投手として驚異の13.50をマークした。
ストレートの球速は150キロ台中盤をコンスタントに記録し、四死球はわずかに5個で制球力も高い。ただ、少しリズムが単調になって手痛いホームランや長打を浴びるところは課題だ。スカウト陣からは「リリーフであれば1年目から一軍の戦力となりそうだが、先発ではまだ不安だ」との声が聞かれる。ボールの力自体は間違いないだけに、どう課題を克服していくか、今後の注目ポイントとなりそうだ。
▼ 西川史礁(青山学院大、外野手)
<東都大学野球一部 春季リーグ戦成績>
12試 率.318(44-14) 本1 点7
打席48 二塁打1 三塁打0 盗塁0 犠飛打0 四死球4
出塁率.375 長打率.409 OPS.784
野手では、西川が結果を残した。開幕戦で、ドラフト上位候補と見られている国学院大のエース坂口翔颯から決勝のタイムリーを放つと、翌週の亜細亜大戦では2試合連続で3安打をマークした。
それ以降は相手の徹底的なマークで、本来の豪快な打球はなかなか見られず、長打は2本に終わった。それでも。打率は3割を超え、7打点を記録するなど、4番の役割をしっかり果たしている。
今春からセンターに回った守備でも安定したプレーを見せており、走塁に対する意識が高くなった印象を受けた。青山学院大はリーグ戦を制している。6月の大学選手権でも、昨年に続く豪快なホームランが見られるか。
▼ 宗山塁(明治大、遊撃手)
<東京六大学野球 春季リーグ戦成績>
5試 率.174(23-4) 本0 点4
打席27 二塁打0 三塁打0 盗塁1 犠飛打0 四死球4
出塁率.296 長打率.174 OPS.470
宗山は、最も不本意な成績に終わった。2月のオープン戦で死球を受けて右肩甲骨を骨折。何とかリーグ戦開幕には間に合い、3試合連続でヒットを放つ順調なスタートを切った。
だが、その後は成績を大きく落とし、上半身のコンディション不良で5試合の出場に終わった。守備ではさすがというプレーを見せており、評価が大きく下がることは考えづらいが、少し打撃に力みが目立ったのは気になるところ。大学日本代表に選ばれたとしても参加するかは微妙な状況だ。まずは体調を万全にして、本来の打撃を見せてほしい。
こうして見ると、やはり金丸が最も評価を上げたと見られ、貴重な左腕ということもあって多くの球団の人気を集めることが予想される。ただ、大学日本代表や秋のリーグ戦がまだ残されている。そのプレー次第で、各球団の優先順位が変わることも大いに考えられる。宗山、金丸は故障もあっただけに、秋は4人が揃って万全の状態で持ち味を発揮してくれることを期待したい。
文=西尾典文(にしお・のりふみ)
☆記事提供:プロアマ野球研究所
▼ 金丸夢斗(関西大、投手)
<関西学生野球 春季リーグ戦成績>
奪三振率12.00 被安打率3.00 四死球率0.69 WHIP0.38
金丸は、最も圧倒的なインパクトを残した。開幕戦の京都大戦では0対1(※自責点0)で敗れて、リーグ戦の連勝は18でストップした。その後は1点も奪われることなく、リーグ戦を終えた。
リーグ戦の成績を単純計算すると、1試合、9回を投げて被安打3、12奪三振で毎回完封したことに相当する。全ての指標で、驚異的な数字をたたき出しており、相手チームから研究されているなかで、この成績は見事だ。リーグ戦終盤に腰を痛めて、最終週の登板は回避するも、改めて“ドラフトの目玉”であることを証明した。
▼ 中村優斗(愛知工業大、投手)
<愛知大学野球一部 春季リーグ戦成績>
8試(40回2/3)3勝3敗 防御率1.99
奪三振61 被安打29 失点12(自責点9)与四死5(3四球・2死球)
奪三振率13.50 被安打率6.42 四死球率1.11 WHIP0.79
一方、中村も持ち味を十分にアピールした。開幕戦では16奪三振で完封。翌週も5回までに12個の三振を奪っている。奪三振率は、先発投手として驚異の13.50をマークした。
ストレートの球速は150キロ台中盤をコンスタントに記録し、四死球はわずかに5個で制球力も高い。ただ、少しリズムが単調になって手痛いホームランや長打を浴びるところは課題だ。スカウト陣からは「リリーフであれば1年目から一軍の戦力となりそうだが、先発ではまだ不安だ」との声が聞かれる。ボールの力自体は間違いないだけに、どう課題を克服していくか、今後の注目ポイントとなりそうだ。
▼ 西川史礁(青山学院大、外野手)
<東都大学野球一部 春季リーグ戦成績>
12試 率.318(44-14) 本1 点7
打席48 二塁打1 三塁打0 盗塁0 犠飛打0 四死球4
出塁率.375 長打率.409 OPS.784
野手では、西川が結果を残した。開幕戦で、ドラフト上位候補と見られている国学院大のエース坂口翔颯から決勝のタイムリーを放つと、翌週の亜細亜大戦では2試合連続で3安打をマークした。
それ以降は相手の徹底的なマークで、本来の豪快な打球はなかなか見られず、長打は2本に終わった。それでも。打率は3割を超え、7打点を記録するなど、4番の役割をしっかり果たしている。
今春からセンターに回った守備でも安定したプレーを見せており、走塁に対する意識が高くなった印象を受けた。青山学院大はリーグ戦を制している。6月の大学選手権でも、昨年に続く豪快なホームランが見られるか。
▼ 宗山塁(明治大、遊撃手)
<東京六大学野球 春季リーグ戦成績>
5試 率.174(23-4) 本0 点4
打席27 二塁打0 三塁打0 盗塁1 犠飛打0 四死球4
出塁率.296 長打率.174 OPS.470
宗山は、最も不本意な成績に終わった。2月のオープン戦で死球を受けて右肩甲骨を骨折。何とかリーグ戦開幕には間に合い、3試合連続でヒットを放つ順調なスタートを切った。
だが、その後は成績を大きく落とし、上半身のコンディション不良で5試合の出場に終わった。守備ではさすがというプレーを見せており、評価が大きく下がることは考えづらいが、少し打撃に力みが目立ったのは気になるところ。大学日本代表に選ばれたとしても参加するかは微妙な状況だ。まずは体調を万全にして、本来の打撃を見せてほしい。
こうして見ると、やはり金丸が最も評価を上げたと見られ、貴重な左腕ということもあって多くの球団の人気を集めることが予想される。ただ、大学日本代表や秋のリーグ戦がまだ残されている。そのプレー次第で、各球団の優先順位が変わることも大いに考えられる。宗山、金丸は故障もあっただけに、秋は4人が揃って万全の状態で持ち味を発揮してくれることを期待したい。
文=西尾典文(にしお・のりふみ)
☆記事提供:プロアマ野球研究所