日本人選手として史上2人目の「20-20」達成への期待
メジャー3年目を迎えた鈴木誠也が、主軸の一人としてポストシーズン進出を狙うカブスをけん引している。
今季は開幕から打撃好調で、4月14日まで.305と打率3割を維持。本塁打こそ3本にとどまっていたが、2番打者としてチャンスメーク(出塁率.368)だけでなく、走者を還す役割(得点圏打率.333)も担っていた。
ところが、2安打を記録した4月14日の試合で右脇腹を痛めて負傷者リスト(IL)入り。1か月近い戦線離脱を強いられた。
マイナーでのリハビリ出場を経て、復帰したのは5月11日。復帰初戦こそ2安打を放ったが、その後、成績は右肩下がりで、打率は一時2割4分台まで落ち込んでいた。
それでも徐々に調子を取り戻すと、オールスター前に7試合連続安打をマーク。打率を.270まで引き上げ、いい形で前半戦を終えることができた。
自慢のパワーも気温の上昇とともに本領発揮。量産態勢というわけではないが、ここまで13本塁打を放ち、昨季の20本を上回る21本ペースとなっている。後半戦にケガがなければ、自己ベストを更新する可能性は高いだろう。
さらにIL入り前に0個だった盗塁数は、復帰後の52試合で9個。これはルーキーイヤーの2022年にマークした自己最多にすでに並んでいる。
そこで鈴木に期待したいのが「20-20」だ。広島時代に何度も達成していたイメージがあるが、実は28本塁打&25盗塁を記録した2019年の1度だけだった。先述した通り本塁打数は20本に達するペースだが、盗塁数はこのままだと14個前後の計算。「20-20」の達成には若干のペースアップが必要となる。
もし鈴木が「20-20」を達成することになれば、日本人選手として史上2人目。もちろん1人目はドジャースの大谷翔平で、21年、23年に続く3度目の快挙をすでに今季前半戦だけで決めている。
「40-40」さえ視界に入る大谷は規格外として、他の日本人選手が一度も記録していないのは意外といえば意外。大谷以外で「20-20」に最も近づいたのはイチローで、2005年に15本塁打&33盗塁をマークしていた。
「イチロー超え」も視界に入る鈴木だが、自身の成績以上にこだわっているのがチームのポストシーズン進出だろう。
昨季はわずかの差でポストシーズンを逃したが、シーズン最終盤の大事な局面で自ら失策を犯し、痛恨の敗戦を喫したことは記憶に新しい。
今季のカブスは地区最下位に沈んでいるとはいえ、大激戦のワイルドカード争いで3.5ゲーム差につけている。地区首位のブリュワーズにも8.5ゲーム差なら諦めるのは時期尚早だ。
鈴木とすれば、勝負の3年目で「20-20」と「ポストシーズン進出」。この2つを同時に達成できれば、充実したシーズンだったといえるかもしれない。
文=八木遊(やぎ・ゆう)