データで分かった松井の“傾向”
現地8日(日本時間9日)、敵地ピッツバーグのパイレーツ戦にパドレス・松井裕樹が3番手で登板。1回1/3を投げて、10試合ぶりとなる失点(2失点)を喫した。
前日に続き、今季14度目のイニング跨ぎとなった松井。1点をリードした6回裏二死満塁の場面でマウンドに立つと、アイザイア・カイナーファレファを2球で三ゴロに仕留め、火消しに成功した。
ところが7回裏は一死から安打を許すと、4番ジョーイ・バートに高めのフォーシームをとらえられ、痛恨の逆転弾をレフトスタンドへ運ばれた。
それでもパドレスはその後、粘りを見せ土壇場の9回表に逆転に成功。7-6で接戦を制して、オールスター明けの成績を14勝3敗とした。
松井はオールスター前の先月9日から約1カ月間、9試合にわたって無失点を続けていたが、この連続記録はあえなくストップ。防御率も3.14から3.42へ、ジワリと悪化した。
この日の松井はオールスター後では2度目の連投となった。実は今季の登板間隔別の防御率を見ると、連投(中0日)時は6.14といまひとつの成績。中1日時が4.11、中2日時が3.48、そして中3日以上の時は1.59と間隔が空けば空くほど防御率は良化しているため、この日の2失点は必然だったか。
さらに松井にとって「ホーム>アウェイ」の傾向も強まりつつある。今季ここまでホーム開催の試合では防御率2.19と安定感は抜群。一方で、サンディエゴから離れた途端、防御率は4.62にまで悪化する。8日のパイレーツ戦は松井にとって苦手のアウェイ試合だった。
そしてもう一つ、松井が苦手としているのが相手チームの4番打者である。今季の打順別被打率を見てみると、1番と3番、そして7~9番の5つの打順で被打率1割台以下に抑え込んでいる。
また、2番、5番、6番に対しても被打率2割台とまずまずだが、4番打者だけには.375と打ち込まれている。8日の試合で被弾を許したバートもやはり4番を打っていた。
近年のメジャーではチームの強打者を1~3番の上位に置くことが多いが、松井にとって対4番打者が今後の課題となるかもしれない。
「連投」「敵地」「4番打者」―――。松井にとって“苦手”が全てそろったこの日の登板は、打たれはしたが尾を引くような登板にはならないはず。逆転でチームが勝利を収めたことも、松井には救いとなっただろう。
オールスターを迎えた際は7ゲームあったドジャースとの差も2.5まで縮まり、首位奪還も現実味を帯びてきた。そのためにも勝利の方程式の一翼を担う松井のさらなる活躍は絶対に必要だ。
文=八木遊(やぎ・ゆう)