セ3強の9連戦を振り返り
パ・リーグは丸1か月もの間、連敗がないソフトバンクが着実にマジックを減らしている。いつ、どこで、ソフトバンクが4年ぶりのリーグ優勝を飾るかが今後の焦点となりそうだ。
一方で開幕から混戦模様のセ・リーグは、15日現在、1位から3位までが4ゲーム差の3強ムード。ただ、阪神がやや失速しており、3強から広島・巨人の一騎打ちとなる雰囲気も漂っている。
改めて上位3チームの成績をおさらいしておくと、首位の広島は102試合を消化して55勝42敗5分。107試合を消化した56勝45敗6分の巨人が1ゲーム差で追う展開だ。
さらに108試合を消化した阪神が54勝49敗5分で、巨人とは3ゲーム差。広島には4ゲーム差をつけられており、これ以上の差はつけられたくないところ。
実はセ・リーグの各チームにとって15日は待望のオフ日だった。天候に恵まれたこともあって、全6チームが、6日から14日まで9連戦を強いられた。
この9連戦で、上位3チームは三者三様の投手起用法で臨んでいたので、振り返っておきたい。
まず、広島の新井貴浩監督は9連戦を前にローテーションを再編。9日間で8人の先発投手を起用した。唯一、2度先発したのは、勝ち頭の床田寛樹で、快刀乱麻の投球とはいかなかったが、2試合ともに試合をつくることには成功した。
また、9連戦の初戦に先発したアドゥワ誠がプロ初完封を達成。9日の阪神戦に先発した森翔平は今季初登板だったにもかかわらず5回無失点の好投を見せた。結局、広島は5勝3敗1分で9連戦を終えている。
全く同じ5勝3敗1分の成績で広島に食らいついているのは巨人だ。阿部慎之助監督が執念を見せたのは、12~14日に行われた阪神との3連戦。通常は移動日となる月曜日が振替休日だったため試合が行われたが、中5日で山崎伊織を先発マウンドに送り込むと、グリフィンと戸郷翔征も同じ中5日で登板させた。
グリフィンこそ打ち込まれたが、山崎伊は7回途中まで投げ無失点、戸郷は今季3度目の完封勝利を飾り、阪神との3連戦を2勝1敗で乗り切った。ライバルとの直接対決を重視した阿部監督の采配はひとまず成功したといえそうだ。
そんな中、阪神の岡田彰布監督は、12日の巨人との3連戦初戦にベテラン西勇輝をぶつけた。ローテーション通りなら前日の11日の広島戦に登板するところだが、同日のマウンドに上がったのは高橋遥人。なんと3年ぶりの一軍登板だったにもかかわらず、高橋は強力なカープ打線を翻弄し、復活勝利をもぎ取った。
ただ中7日で巨人との初戦に登板した西は7回1失点の粘投を見せたものの、打線が沈黙。結局、阪神は9連戦を3勝6敗で終え、縮めたかった上位2チームとの差は逆に広がってしまった。
3強の中では“一人負け”の成績で9連戦を終えた阪神。ただ、高橋の復活劇はこれ以上ない明るい希望の光となるかもしれない。16日から中日と、20日からはヤクルトと、阪神は下位2チームとの3連戦が控えている。この6試合でしっかりと貯金をつくり、23日からの広島3連戦を迎えたいところだ。
文=八木遊(やぎ・ゆう)